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「ウエイトトレーニングを一切しない」山本由伸は、なぜ「日本のエース」になれたのか?[2023.2.4]

「ウエイトトレーニングを一切しない」山本由伸は、なぜ「日本のエース」になれたのか?

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✍️記事要約

✅ 「ウエイトトレーニングを一切しない」山本由伸は、なぜ「日本のエース」になれたのか? 才能を開花させた“常識外れ”の練習法とは

2022年のプロ野球では千賀滉大(ソフトバンク→現メッツ)と佐々木朗希(ロッテ)の164km/を筆頭に、9人の投手が最速160km/h台を記録。150km/h以上をマークした投手はじつに213人もいた。近年著しく進む球速アップの背景にはウエイトレーニングの浸透が挙げられるなか、“異質”なアプローチを見せるのが同10位タイの159km/hを計測した山本由伸(オリックス)だ。

 山本がウエイトトレーニングを一切行わないことは、球界ではよく知られている。代名詞のように語られるのが、やり投げやブリッジという独特な練習法だ。

 野球選手はウエイトトレーニングをするべきか、否か――。

 しばしば議論になるテーマだが、二元論は不毛に感じる。バーベルやダンベルなどのおもりを持って鍛えるのは、あくまで手段の一つにすぎないからだ。

「ウエイトトレーニングを否定するわけではなく、それよりもBCエクササイズがよりいいっていう言い方になります」

 山本は自身の考えをそう説明する。都城高校時代はトレーナーの下でウエイトを行っていたが、感覚的にしっくり来なかったという。周囲と比べて自分のほうが小さいのに、速い球を投げられていたからだ。

 同時に、高校時代の山本には違和感があった。たびたび悩まされていた右肘の張りだ。当時から最速151km/hをマークするなど出力が高く、肘の靱帯に高いストレスがかかっていた。医者や整体師からストレッチや、インナーマッスルを鍛えてはとアドバイスされたが、山本は「ピンと来なかった」と振り返る。
高卒1年目に訪れた「最大の転機」

プロ入り後、瞬く間に「日本のエース」と言われる現在地へ飛躍するにあたり、最大の転機は高卒1年目の4月、トレーナーの矢田修と出会ったことだった。柔道整復師の彼が考案した「BCエクササイズ」に取り組み始め、特に同年オフの自主トレから力を入れ出すと、球の質が見違えるように変わった。

「本当に徐々にですけど、成果が出てきて、肘の痛みも気づいたら消えていて、ボールがどんどん強くなっていってという感じです」(山本)

 矢田に教わったBCエクササイズや身体の使い方をどのように投球動作に落とし込めばいいかと試行錯誤した。そうして現在のような投げ方に変わると、球の速さと強さがアップし、悩まされてきた肘の痛みも一切なくなった。

 興味深いことに、スーツのサイズは年々大きくなっているという。

「身体がどんどん大きくなっていて、形も変わっています。筋肉もなぜか増えているし」(山本)

 矢田が考案したBCエクササイズは身体の内部、つまりインナーマッスルに働きかけていく。最初に行うのが「正しく立つこと」だ。山本も通い始めた際、ここから取り組んでいる。
「自分では真っすぐ立てているつもりでいたんですけど、まったくそれはちゃんと立てているとは言えなくて。『これ、真っすぐ立てていないんだ』というところから始まりました」

 なぜ、「正しく立つこと」が重要なのだろうか。矢田の解説には以下のように書かれている。

<正しく立てない者は、正しく歩くことはできない
 正しく歩くことができない者は、正しく走ることはできない
 正しく走ることができない者は、正しく投げることはできない
 正しく立つには、正しい呼吸と集中が大切>

「身体知」

 正しく走ることの重要性は、球界でも広がりつつある。例えば阪神や西武は春季キャンプなどで走りの専門家を招き、走り方から指導してもらっている。

 子どもの頃から野球をしてプロになるような選手は、基本的に身体能力に優れ、周囲より速く走れる者が多い。反面、その道のスペシャリストに言わせると、「野球選手は『正しい走り方』を身につけていない場合が少なくない」。

 実際、西武が昨年10月の入団テストで10mや20m走でアジリティテストを行った際、視察した専門家は「ほぼすべての選手が正しい動き方をできていない」と評した。野球選手の多くは自分の感覚だけでプレーして、身体をどう使えば効果的に力を発揮できるかを学んでいないのだ。

 以上を踏まえると、山本が矢田の下で行っているアプローチの方向性をイメージしやすいかもしれない。「身体知」、つまり自分の身体の声に耳を傾け、どうすればより良く動けるようになるかを探っていくのだ。

 矢田が考案したBCエクササイズは、「5B」と言われるメニューが根幹を成す。ブレス(Breath)、バー(Bar)、ボウル(Bowl)、ボード(Board)、ブリッジ(Bridge)で、その頭文字から来ている。5Bの組み合わせや派生を含めると、300種類以上になるという。

 矢田が主宰する「キネティックフォーラム」の信奉者は全国にいて、「奥深い世界」と口をそろえる。SNSやYouTubeが浸透した現在、いかに“わかりやすく”伝えるかがPVや再生回数につながる傾向にある一方、矢田の立場は対照的だ。

「“わかりやすく”ほど大きな落とし穴はない。例えば誤解を招くとか、違う解釈をされることがありますよね。言葉尻だけを捉えると、指導者の意図とは違う形になったとか」

 矢田は初対面の山本にあえて「フルモデルチェンジが必要やね」と刺激的な言葉で伝えるなど、その「奥深い世界」を知るにはある程度の字数をかけて順に見ていく必要がある。筆者が一部を切り取るように“わかりやすく”説明して“落とし穴”に導くことは不本意なので、興味がある人は、2月17日に発売される拙著『山本由伸 常識を変える投球術』を参照してほしい。

「柔らかさじゃなくて、強さを鍛えている」

 本稿で矢田の真髄を少しでも伝える上で、イメージしやすいのがブリッジだろう。前述した「5B」の一つでもある。山本が最優秀防御率を獲得した高卒3年目の2019年、SNSで拡散された動画を見た人も多いはずだ。ブリッジをしながら手足を動かして360度回転していく様子は、「柔らかい」というファンの反響を呼んだ。

 山本によると、身体の柔らかさは先天的ではないという。1年目のオフに「結構頑張って」、ブリッジの応用までできるようになった。

 興味深いのは、柔らかさを求めてブリッジをしているわけではないことだ。

「柔らかさに見えて、強さと言うか。例えばブリッジの練習も、あの映像を見た人は『身体が柔らかいね』ってみんな、絶対言うんですよね。でも本当に鍛えているのは柔らかさじゃなくて、強さを鍛えているんです」

 山本が投手として追い求めるものは、ボールの速さや制球力だ。身体の柔軟性ではない。

 逆に言うと、身体を柔らかく使えるようになることがボールの速さや制球力につながっていく。自分の思うように身体を動かせるようになれば、強い力を発揮して速い球を投げたり、動作の再現性を高めてコントロールを向上させたりすることに結びつくからだ。

「5B」もそこに通じている。その一つである「ボウル」は「ケアディスク」と言われる器具で、半球に3つの円が重なった形のくぼみがあるものを使用する。ケアディスクの上に乗って開脚を行うが、新体操選手で身体がすごく柔らかい子でも、器具の上ではできなくなる場合があるという。

「ボード」は「リンケージボード」という、長さ約50cm、横幅は片足がちょうど乗るくらいの器具に乗って行う。ポイントは3.6cmという厚さだ。キネティックフォーラムで矢田と一緒に活動する岡田裕貴が説明する。

「なぜ3.6cmかと言いますと、大体3cmくらいまでは、人間の身体は無意識に(重心を)調整するんですよ。あとギリギリ6mm増えるだけで、『あれ? こっちのほうが高いぞ、低いぞ』って身体が気づくんですね。わざと両足に高さの差をつけて、全身の協調性を発揮する。特に骨盤や下腹部に余分な力が入っているとなかなか立てないので、そこを調整する意味でこのボードに乗ってもらいます」

 岡田が言うように、BCエクササイズの目的の一つは動きの中で身体の重心を感じながらズレを確認し、修正できるようになることだ。山本や、中学生の頃から矢田に師事する筒香嘉智(レンジャーズ傘下)が野球選手としてパフォーマンスを発揮する上で、その土台になっている。

 山本は高卒1年目オフの自主トレでBCエクササイズに取り組み、どうすればその真髄を投球メカニクスにつなげられるかと追い求めた。そうしてたどり着いたのが、右腕を大きく引き伸ばして投げるような独特の形だ。

 逆に考えるとなぜ、山本はあのように投げているのか。

 意識しているのは、「正しい方向に、自分の身体をなるべく大きく使うこと」だ。それができれば速いボールを投げられるようになり、制球力も高められる。

 そうして身体を使う上でポイントになるのが、重心をうまくコントロールすることだ。
(敬称略)

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☘️ヤフコメ❗️ピックアップ☘️

✅ 筋トレ無しでも身体が大きくなってるなら、トレーニングで人工的に増やす必要は無いと思う。
走り込みだけで太ももが太くなる様な体質の選手も同様に、無理してバーベルスクワットをする必要無い。

ただ大半の人間は、土台としての筋肉量を得るには筋力トレーニングが最も効率的な事は事実。
目標の除脂肪体重を設定して増やすべき量が多ければ筋トレすれば良いし、増やす量が少なければ無理に導入しなくても良いかと。

後は減量が必要なアスリートは、骨や筋肉維持目的で、ある程度筋トレは必要でしょうけど。
✅ 山本のやり方、大谷のやり方、ダルビッシュのやり方。
3人とも成功者であり正解だと思う。
2年前の開幕時、特大ホームランをかっ飛ばす大谷の体を見て、野手としての体つきであって投手としては邪魔な体格と思った人は多かったと思う。
山本はダルや大谷とは正反対と言っていいやり方で、これだけの投手になっている。
結局誰かにヒントをもらい、誰かをモデルにしても自分に合うかどうかは個人個人で違うという事。
今は日本でも筋トレする人が増えてる印象だが、もし山本がメジャーでも今のやり方で成功したら、今度はそのやり方がトレンドになると思う。
✅ 一番は、自分に合った方法でトレーニングすることで、
ウエートが合うのであればウエートトレをすればいいし、合わないなら他のものでトレーニングすればよい。年齢とともにウエートトレーニングが効果を及ぼすかもしれない。

「パワー」「アジリティ」「自然な動き正しい動きを身につける神経系」「ポジションにあったトレーニング」・・
トレーニングと言っても、いろいろだ。
ウエートトレーニングも闇雲にやったのでは逆効果の場合もある。

投手であれば「投手の動きに必要な筋力を鍛える」のに効果的なトレーニングを考えて上手にやることである。山本の場合、「自身にあったトレーニング」を見つけられているという事であろう。
闇雲なウエートトレで、関節の可動域が狭まればマイナスに作用してしまう。

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