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「与えられた仕事しかしない人」と「考えて仕事をする人」の決定的な違いとは[2022.5.8]

「与えられた仕事しかしない人」と「考えて仕事をする人」の決定的な違いとは

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✍️記事要約

✅ 「人から与えられた仕事しかしない人」と「自分の頭で考えて仕事をする人」の決定的な違い

3月に『起業家の思考法 「別解力」で圧倒的成果を生む問題発見・解決・実践の技法』を出版した株式会社じげん代表取締役社長の平尾丈氏。25歳で社長、30歳でマザーズ上場、35歳で東証一部へ上場し、創業以来12期連続で増収増益を達成した気鋭の起業家だ。
そんな平尾氏が「スーパーマンの別解力」と驚嘆するのが小泉文明氏だ。大学卒業後の2003年に入社した大和証券SMBC(現大和証券)において、ネット企業のIPOを担当。深く関わったミクシィに2006年に転職。社長室長、経営管理本部長を経て、2008年に27歳で取締役に就任する。2012年にミクシィ退任後、何社かのスタートアップを支援し、2013年12月にメルカリにジョイン。4ヵ月後の2014年3月には取締役、2017年4月に取締役社長兼COOに就任。現在は2019年9月に就任した取締役会長と、同じく2019年に61・6%の株式を取得した鹿島アントラーズ・エフ・シーの代表取締役社長を兼務する。
不確実性が高く、前例や正攻法に頼れない時代。そのなかで圧倒的な成果を出しているおふたりに「起業家の思考法」について語っていただいた。
連載第3回は、第2回に続いて「自分らしさ」についてから話が始まった。多くの語らいから行き着いたのは、『起業家の思考法』でも重要なポイントとされている三つの要素のバランスだった。

■ メルカリの「Go Bold(大胆にやろう)」の真意は「意思を込める」こと
――前回「自分らしさ」や「自分のやりたいこと」の話題が出ましたが、そもそも「自分の強み」が見つからずに悩む人も多いと思います。そういう人は、自分がやってきたこと、過去に解いてきた「ドリル」を振り返ることが有効なんですか?

小泉文明(以下、小泉):それもいいかもしれないね。僕自身は、新しい仕事があると食わず嫌いをせずに一度自分で考え、自分でやってみるのが好きなタイプ。それがこの図で言うところの「別のやり方」かもしれないね。

小泉:メルカリがいい例で、セオリーは大事にするけれど、どこかで自分たちの会社のエッセンスを入れようとする。それが僕らの会社のバリューである「Go Bold(大胆にやろう)」のベースなのね。これをチャレンジすることだとイメージする人が多いみたいだけど、僕からするとチャレンジというより「自分の意思を込める」「自分たちの魂を入れる」としたほうが、言葉の捉え方として合っていると思う。自分たちはどういう会社になりたいのか、それを自問自答する。それが「Go Bold」の源泉だと思う。

平尾丈(以下、平尾):私はチャレンジ(挑戦)の意味だと思ってました。

小泉:結果としてチャレンジになるけど、それは強い思いがあるから。強い意志がないと怖くてチャレンジできないでしょ。

平尾:なるほど。

小泉:平尾くんにもじげんにも、こうしたいという強い意志が絶対にあるじゃない。僕らメルカリにもこうしたいという強い意志があって、その強い意思が多ければ多いほど強い会社になると思うんだよね。経営者は当たり前だけど、社員もそれを持ってほしい。「俺らの会社ってこういうふうにしたい」「俺の見ている部署はこうしたいんだ」「私の関わるこのプロジェクトはこうしたい」。そう思ってほしいよね。そういう意味で、自分のやっている会社、プロジェクトでは、「自分らしさ」のような「これは自分しかチャレンジジしていない」という思いは意識して入れるようにするね。万が一それで失敗したら、自分の能力が足りなかったと反省できるし、学べるでしょ。人から与えられたものだと自分のミスなのか、もらった情報のミスなのかわからない。

平尾:自分の頭で考えなければいけないですよね。

小泉:その根源には、失敗したときに後悔したくないという思いがある。自分の頭を振り絞って、これが自分たちの「らしさ」だ、僕らのやり方だと言って失敗したら、後悔できるし、自分のせいだと思える。僕はちょっと死生観が強くて、中学、高校のころに仲が良かった友人が数人、交通事故で亡くなっているんだよね。それがあるから、自分が棺桶に入るときに後悔しない人生を歩むという姿勢を大事にしているんだよ。そういう意味では、それなりに自分の中ではずっと死を意識しながら、他人ができるようなことはやらず、自分は生きている限り自分にしかできないことをやろうと人生を選択してきたところはあるね。

■ 勝つために逆算して攻める
小泉:僕がミクシィを辞めたときは、ミクシィのSNS時代の最高益を記録したときだったんだ。周りからすると「なんでこんなにいいときに辞めるの?」となる。でもね、僕は創業者でもないし、新しく優秀な社員がどんどん入ってきたら後進に道を譲っていきたいという思いもあったので、とりあえず辞めることにしたんだ。

平尾:辞めてどうされたんですか。

小泉:ミクシィを辞めた後、2年間は何もしていないね。いくつかの企業の社外役員をやっているけど、何かにフルコミットしていたわけじゃない。だから、仕事をしている感覚はまったくなかった。そのせいで、メルカリがスタートしてから8ヵ月間、お酒もほとんど飲まずに仕事に没頭していた。

平尾:そうなんですか。

小泉:フリマアプリ業界は、完全に「Winner takes all」モデルでしょ。当時はまだ群雄割拠の時代だったから、Winnerになるまではひたすら仕事をしようと思った。2年間も休んだし、休養は十分だったからね。

平尾:緩急がすごいですね。

小泉:奥さんに笑われるんだけど、やるとなったらとことんまでやらないと気が済まないタイプ。でも、気が抜けると腑抜けのようになってしまう。はっきりしているね。

――とことんやるときは、24時間働く。

小泉:かなりやらないと気が済まない。後悔したくなかったからね。だってWinner takes allのモデルは、勝てば1社総取りできる。でも、それが見えるまでは怖い。その恐怖を克服するには、自分がコミットするしかなかったね。

平尾:こんな話を聞いてしまったら、小泉さんとは絶対に競合したくない(笑)。怖いなぁ。

小泉:ミクシィのSNSモデルも、Winner takes allモデルでしょ。当時は20社近くも競合があったのに、ミクシィ以外はほとんど潰れていった。唯一残ったグリーは、ゲームにピボットしたから残れた。あのときも恐怖の体験だったよ。Winner takes allモデルはこんなにも敗者がいるんだ。メルカリになっても絶対にまた同じことが起こるから、生き残るしかない。勝つしかない。だからこそ、勝つために逆算して攻めた感じだよね。

平尾:先行者は「自分たちが勝つ」と思っていたでしょうね。怖いですね(笑)。

小泉:事業モデルを理解したうえでの攻め方があるよね。

平尾:体験されていますからね。

小泉:ミクシィもメルカリも基本的にWinner takes allモデルで、多くの人がお客さまになるモデル。僕がそういうモデルを好きなこともあるけど、そのモデルの特徴もよくわかっている。そういう意味で言えば、会社は違っても比較的近いことをやっているのかもしれない。

■ マスに受け入れられるという「優れたやり方」も欠かせない
平尾:でも「別のやり方」ができる人は少ないですよね。Winner takes allのモデルに攻めていける会社が少ないので、その経験がある小泉さんは、究極のレア人材ですよね。

小泉:レアかもしれないとは思う。それは自分的にはわかっているつもり。

平尾:ヒットメーカーでもあるし。でも、1回で終わってしまう人もいます。毎回うまくいかせるには、どういう思考法で考えているんですか。マスの気持ちを理解するとか、最先端に行き過ぎないとか、思考のエッセンスは教えていただきましたけど、どうやったら世の中のど真ん中を歩けるんですか。

小泉:意識しているのは、日常の自分は一般ではないということ。港区とか渋谷区はレアだという感覚。そっち側が大衆ではない。

平尾:ミクシィを掘り当てたときの感覚が知りたいですね。当時、普通の人が見たら「SNSか」と通り過ぎてしまう人が多かったはずです。メルカリのときも、どこを見ていらっしゃったんですか。

小泉:創業メンバーの魅力もあるけど、大事なことはそれが1000万人、2000万人の人たちのニーズを満たせそうであり、それが社会のインフラになったら社会が間違いなくよくなり、個がエンパワーされることがイメージできることかな。

平尾:戦略は小泉さんがお持ちになっていますもんね。こうやって上場しましょうという提案をされているので、未来予測ができている。

小泉:僕は山梨の出身なので、都会でビジネスをしている人ではなく、地方の一般的な人たちが意識せずに使っているイメージを持てるかが大事だと思っている。あとは、ミクシィのときはガラケーで大きく変わると思ったし、メルカリのときはスマホで変わると思ったので、デバイスの変化は見ているね。これで大きく変わると思えるかどうか。

平尾:ユーザー目線ですよね。何人がこれを使うのかという極大値を見るという話。

小泉:そう。

平尾:それはどういうところに想像力を働かせるんですか。

小泉:感覚で捉えているかな。そういう意味では普通のミーハーな一般人だよ(笑)。そういう人が、ちょっとビジネスが詳しく、ちょっとインターネットに詳しい。そういう感じだと思うな。

平尾:プロデュース能力が高いんですね。「小泉さんがミクシィ辞めたぞ、行け」みたいな雰囲気があった。でも全部受ける時間もないから、社外取締役を引き受けるところも選ばれたと思うんですね。

小泉:いや、実際はそんなに選んでいないんだよ。

平尾:本当ですか。

小泉:ちゃんとお誘いをいただいたところをお引き受けしていたら、ほとんどそれが上場したというだけ。

平尾:発掘されたわけではないんですか?

小泉:ないない。それこそ「小泉さん暇でしょうからやってください」とか(笑)。そんな感じだったよ。

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