「FIRE卒業」男性が語る、退職で見失った3つのもの
✍️記事要約
FIRE経験者のトニーは若くして引退してから2年もたたないうちに、パートタイムで仕事に復帰することに決めた。
トニーはポッドキャストで、FIREには「人とのつながり、仕事の充実感、そして現金」の3つの要素が欠けていると語った。
FIREには向き不向きがある──若くして引退することにはいくつかのデメリットがあり、FIRE経験者のなかには、仕事により多くの意義を見いだす人もいる。
FIRE(経済的自立、早期退職)もいいことばかりではない。
少なくとも、37歳で引退したトニー(本人の希望で名字は伏せる)にとっては、いいことばかりではなかった。トニーはソフトウェア開発者として高収入を得ながら支出を切り詰めたため、6桁台半ば(約5000万円前後)の貯蓄に成功し、仕事を辞めることができた。そして遠い親戚が所有する家と土地を月400ドル(約5万4000円)で借りて農場を始めた。
ところが、こちらも34歳で引退したブログ「ザ・マッド・フィエンティスト(The Mad Fientist)」のブランドンとの
ポッドキャスト
で語っているように、トニーはFIREを実践してそれほど月日がたたないうちに、考えが「堂々巡り」するようになった。新しいことを学んだりスキルを身につけたりするつもりだったのに、重い気分になって不安が広がり、何一つ実現できなかったそうだ。
「運よくいい職場にいい時期に就職して必死に働いたおかげで、かなりの資産をためることができた。それなのに『自分には何でもある、自由な時間もいくらでもある、この美しい山間部の農場で暮らしている、なのにどうしてこんなにみじめな気分なのだろう』と考えてしまった。人生のどん底だった」とトニーは語る。
FIREを実践してから2年も過ぎないうちに、トニーはテクノロジー企業でパートタイムの仕事に復帰した。決断は簡単だったそうだ。なぜなら、FIRE後の生活には3つの要素が欠けていたからだ。
■ FIRE後の生活に欠けている3つの要素
トニーが最も苦しんだのは、人とのつながりの欠如だった。
「引退したあと、私はいわば自分自身のライフスタイルを築こうとしたが、そこには仕事以外で習慣的に他人と接触する機会がほとんどなかった」とトニーは語り、こう続けた。「これは大問題だった。もし今からやり直せるとしたら、日常的に──毎日ではなくても、少なくとも毎週の予定に──人との接触を組み込むと思う」
誰かに会いたいと思った日も、知人はみんな9時から5時まで仕事をしていた、とも付け加えた。
そして、自分にはこの「9時から5時まで」のパターンが欠けていることに気づいた。これはつまり、FIREを実践しても、かつての仕事で得られていたような充実感が得られない、ということでもある。
「自分が得意なことを仕事にすると、本当に充実感が得られる」と、トニーは言う。「だからこそ、私は、おそらくほかの多くの人も、新しい何かを学んだり、難しいことに挑んだりするのが好きなのだろう。すると、何度も何度も失敗をすることになる。だが、(ひとりで)失敗をずっと続けていると、そのうちうんざりしてくるのだ」
トニーはさらに続けた。「そう考えると、自分が得意なことだけを仕事とするというのは、いろんな点でそれ自体がすでに報酬なのだと思える。それに、尊敬できる人々といっしょに難題に取り組むことは、病みつきになる。うまく言えないが、潤いのようなものが得られるのだ」
退職前はお金にも不自由しなかったとトニーは言う。しかし退職後は、投資と貯金から現金を引き出すことになり、多くの場合で、(副業などからの受動的所得がないなら)仕事で得られる決まった収入はなくなる。トニーはこう言う。「今では、決まった収入を賞金とみなすようになった。それがあるおかげで、必要なものが手に入り、あれこれ心配する必要がないのだから」
■ 誰もがFIREに向いているわけではない
以前、ブログ「ESIマネー(ESI Money)」のジョンがInsiderに寄稿した記事にて、早期退職のデメリットを紹介していたが、トニーもそのうちのいくつかを実際に経験した。収入の欠落、不十分な社会保障、心身の衰弱、社会交流の損失、アイデンティティーの喪失、退屈、挑戦や目的の欠如などだ。
トニーは例外ではない。34歳で引退したブログ「ファイナンシャルサムライ(Financial Samurai)」のサム・ドーゲンもアイデンティティーの危機に陥り、八方ふさがりの気分になり、仕事をしていたころのほうがはるかに幸せだったと悔やみ、自分には生きる目的がないと感じた。
7年後、ドーゲンは
フルタイムの仕事に復帰した
。退職後の生活にはやりたいことが何も見つからず、「普通の気分を取り戻したい」と願ったからだ。加えてトニーと同じでドーゲンも、職場での人間関係を恋しく思ったし、もっとお金が欲しいとも考えた。
「自分がやりたいことをする自由があるというのは、この上なくすばらしいことだ」とドーゲンは書いている。「しかし、仕事を辞めてから最初の数年は、頭と心が互いに張り合うのだ。最後には早期退職後の生活に耐えられなくなって、仕事に復帰する人もいるだろう」
ブランドンの考えでは、仕事をすることで、自分だけの力では絶対に手の届かない機会を得ることができる。たとえば大企業で働いていると、より多くの影響力を行使できるだろう。
「人々は早期退職にこだわるが、本当に大切なのは幸せなのだ」とブランドンは言う。「だから、仕事を辞めてからあれやこれがなくなったと気づいたのなら、その穴を埋める最も簡単で最善の方法は、フルタイムでもパートタイムでもかまわないから、とにかく別の仕事を見つけることだ。それを恥ずかしく思う必要なんてない」
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☘️ヤフコメ❗️ピックアップ☘️
それと若干似てる。最初の2週間くらいはいいんだよ。掃除したり、手の込んだ料理作ったり、買い物いったり。でも仕事で得られる充足感には程遠いし、味気ない日々で孤独だったな。使えるお金にも限りがあるし。その時に悟ったわ、私には専業主婦は向いてないと。
✅ 自分も今はFIREを夢見て頑張ってる最中だけど、ないものねだりみたいなものでフルタイムで働いてるとFIREしたいって思うけど、実際にFIRE生活を送ってみたら暇過ぎてしんどくなったり、周りが働いてるのに自分は働いていない事に対して負い目を感じる事があるのかもしれませんね。
FIRE生活を辞めてまた働く事になったとしても、生活のために嫌な仕事を我慢して続けていかなくても良くなっていれば、それはとても幸せな事だと思いますが。
✅ 仕事がないとヒマだと思う。宝くじ当選でもなければ若いうちからFIREが可能な方は稼ぐ力や知的レベルも高いだろう。そんな方なら会社や同僚から必要とされ、顧客からも感謝され高い収入にもなっていたはず。充実した結果を出せる人間ならば仕事はコスパのいい暇つぶし。