カーボンリサイクル市場は2050年に276兆円規模に
✍️記事要約
調査会社の富士経済は2022年8月、CO2の分離回収技術やCO2の利活用製品などのカーボンリサイクル関連市場に関する調査結果を発表した。2050年のカーボンニュートラル目標達成に向けて世界的にカーボンリサイクルの取り組みが進展し、2050年の市場は2021年比19.2倍の276兆6405億円に拡大すると予測している。
カーボンリサイクル市場のなかで最も大きな規模となっているのが、自然吸収型のCO2分離技術だ。これは植物や海洋によって吸収するタイプを指し、市場はグリーンカーボンとブルーカーボンに大別される。グリーンカーボンは植林や再造林などがあり、ブルーカーボンはマングローブの植林や藻場の造成・保護などがある。グリーンカーボンは植林・再造林造成の費用、ブルーカーボンは吸収源造成の費用から市場を算出した。
自然吸収型のCO2分離回収技術の市場規模は2022年に7兆8440億円を見込み、2050年には2021年比で29.2倍の201兆9200億円に拡大すると予測した。拡大の要因としてはグリーン・ブルーカーボンともに、カーボンクレジットを目的とした民間企業による投資の増大が挙げられている。
自然吸収型と対になる化学吸収型のCO2分離技術の市場規模は、2022年に226億円を見込み、2050年には2021年比14.6倍の3340億円に拡大すると予測した。
化学吸収型は、CO2吸収液の化学反応を利用して分離する技術であり、この市場では各種吸収液を採用した化学吸収法CO2分離・回収プラントを対象とした。技術としては既に成熟しており、天然ガス、アンモニアの脱炭酸工程でのCO2回収に化学吸収が活用されるのが一般的となっている。今後技術革新によりコストダウンが期待されており、それに伴い金額ベースでの市場規模は一時縮小傾向になるものの、将来は大型のCO2回収装置が発電所などに導入されることで、再び市場規模は拡大傾向に入ると予測している。
昨今、CO2削減策として期待されている、排ガス中のCO2を分離回収して地中などに貯留するCCS(Carbon dioxide Capture and Storage)は、2022年の市場規模を198億円と予測。現在は補助金に依存した事業モデルが基本となっているが、中長期的には独立した事業としての発展が期待され、2050年の市場規模は2021年比43.9倍の4830億円に拡大すると予測している。
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