コロナワクチンによる1919人の日本人死者数が意味するもの
✍️記事要約
これまで延べ約3億7500万回のワクチン接種が行われた。救われた命の陰で、打たなければ失われるはずのなかった命もある。接種開始からまもなく2年、寄せられた証言がその重さを問うている。
■「まあ、副反応だね」とあまり心配しなかった
穏やかに晴れた秋の日だった。岩手県に住む山本由衣さん(当時23歳・仮名)は三陸の海を望む町から、友人と車に乗り合わせ、ワクチン接種会場へ出かけていった。
〈夕ご飯、本当にいらない?〉
母の真紀子さん(当時54歳・仮名)が夕方、そうLINEを送ると、うさぎのキャラクターが敬礼しているおどけたスタンプが返ってきた。
市街地の接種会場までは車で片道2時間以上かかる。午後に接種を済ませた由衣さんは、帰りに友人と焼き肉を食べたり、カフェに寄ったり、せっかくの遠出を楽しんでから帰ることにしたのだ。
「ちょっと寒気がするし、腕がしびれてる。熱もあるみたい」
22時頃に帰宅した由衣さんはそう言ったが、「まあ、副反応だね」と、真紀子さんはさして心配しなかった。ひと月ほど前の1回目接種では少し熱が上がる程度だったから、2回目の今回もひと晩寝れば治るだろう、と。
異変があったのは、由衣さんが自室に上がった後の午前1時前のことだ。
「寒い、寒い」「やばい、39度も熱がある」
震える由衣さんの肩を抱き、真紀子さんは「熱が下がるまで我慢ね」と、冷却シートを額に貼ってあげた。由衣さんを心配して友人が家に泊まってくれたので、多少の発熱なら大丈夫だろうとも思っていた。
しかし―。
■「脳内室出血」によって遺体からも鼻血が流れて
「おばさん! 由衣が!」
午前3時頃、その友人の絶叫で真紀子さんは目を覚ました。
「見ると、由衣は口から血の混じった赤い色の泡を噴き出していたんです。必死で呼びかけましたが反応がなく、呼吸も止まっていました」(真紀子さん)
即座に救急車を呼び、病院に搬送したが、30分と経たずに真紀子さんは医師に呼び出された。
「死因は『脳室内出血』だと言われました。亡くなったあとにも、遺体から鼻血が流れ続けていたのを今でも覚えています。
解剖は、由衣の体を切られるのは嫌だと思って断りました。その時は、ワクチンが原因じゃないかなんて思いもしなかったし、そんな話も聞いたことがなかったから。でも、今となっては(解剖を)お願いすればよかった」(真紀子さん)
由衣さんの死からまもなく1年と3ヵ月になる。
約5万人に1人。新型コロナウイルスワクチンを接種したあと、彼女のように不審な死を遂げた人の割合だ。今年1月17日の時点で、約1億460万人が少なくとも1回は接種を受けた。そのうち1919人が「副反応疑い」の死亡例として国に報告されている。
■ 医師の記録に残る「吐き気・血痰・けいれん」
'22年9月からは変異型のオミクロン株に対応する改良ワクチンの接種が始まったが、それについても、すでに19人の死者が報告された。厚生労働省の報告書には、彼らが亡くなったときの様子が医師の記録にもとづき克明に記されている。
11月5日、4回目接種の42歳女性。
〈14時18分頃ワクチン接種。(中略)14時25分頃、咳が出始めたため看護師が声をかけ前方に歩いてくるも、途中で座り込んでしまう。(中略)14時30分頃、バイタルチェック中に嘔気(注・吐き気)出現・泡沫状のピンク色の血痰を排出。次いで鼻腔からも血痰が溢れ、14時34分頃意識レベルが低下したため臥位にすると呼吸停止〉
11月13日、5回目接種の72歳男性。
〈14時52分 本人が手を上げ「少し冷や汗をかいて変な感じがする」と訴えがあった。(中略)14時55分医師コール。(中略)救急隊要請。深昏睡、つっぱっているようなけいれん(中略)15時17分頃病院着。心肺停止状態〉
多くは接種の翌日や数日後に亡くなっているが、中には接種からわずか数分のうちに意識を失い、30分から1時間で命を落とした例もある。直接の死因については「心不全」や「脳出血」が目立つが、「不明」とされているものが少なくない。
この1月までに、国に死亡一時金と葬祭料(1人あたり合計4441万2000円)を請求していた遺族のうち、20件について救済措置が認められた。
しかし、ワクチンの安全性を審査する厚生労働省の「副反応検討部会」では、いまだに「ワクチンと死亡との因果関係が否定できない」事例は1件たりとも存在しない―とされている。いわば「ダブルスタンダード」がまかり通っているのである。