セミリタイアを実現した47歳男性の価値観
✍️記事要約
モノを極力持たずに生活する「ミニマリスト」という言葉がある。こうした人々の部屋の写真を見ると、見事なまでにモノがない。そこまで極端な考えの人はまだ少数派かもしれないが、ミニマリストまでいかなくても「モノは不要」と考える人々もいる。そうした考えの一人であるネットニュース編集者の中川淳一郎氏が、自身の“物欲のない”ライフスタイルに至った理由について解説してくれた。
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私はまったくの「ミニマリスト」というわけではないのですが、人生において基本的にモノは不要だと考えているんです。ちなみに私の家にあるモノをざっと挙げると、ダイニングの机と椅子、ノートパソコン、ベッド、テレビ、調理器具と食器、冷蔵庫、電子レンジ、炊飯器、オーブントースター、洗濯機、ファミコン、スーパーファミコン、PlayStation 2、ニンテンドー3DSといったところです。
服や靴もほとんど持っていなくて、靴は一足を履きつぶすまで履く。服も夏は白いTシャツにハーフパンツ、それ以外の季節は白いYシャツに黒いパンツ。寒ければそれに1枚ずつ持っているジャケットやコートを追加するなど、季節ごとに決まりきった格好をしています。
ただ、クワガタをたくさん飼っていますので、水槽だけはたくさんあります。また職業柄、本を読むことは多いのですが、本棚はなく、もう床に積んでいます。というのも以前、本が床に散乱しているのを見かねた弊社社員が本棚を購入してくれたのですが、本を詰め込みすぎたせいか、あっという間に棚板が外れて崩壊するという事態が発生。それ以来、「本は積む」スタンスに戻ってしまいました。
どれもこれも、長く使っているモノばかりで、新しい商品が出たからといって、それに飛びつくようなこともありません。
もちろんモノをたくさん買って消費を活性化させる方々を否定するわけではなく、あくまでも「私はモノはいらない」という「生き方」をしているというだけ。ここで私のいう“モノ”とはつまり、「実用性」を超えた消費欲求があるモノ、という意味です。贅沢しようとは思わないんですよ。
例えば我が家のテレビは、元々2万円で買った14インチのものを長らく使っていました。これでまったく問題がなかったのですが、「地デジ」に完全移行した2011年に仕方なく買い替えたっきり、その22インチのテレビを10年間使っています。壊れないか、よほどのことがない限り、買い替えようという発想がないのです。雑誌に登場するような「素敵な暮らし」に対して、全然うらやましくもなんともない。
その根幹にあるのは以下のような価値観です。
・自分の家なんて誰かに見せるものではないから、オシャレ家具とかオシャレ家電なんて不要
・人生、モノが少ない方が引っ越しをする時や、死んだ時にラク
・必要以上にモノを買うぐらいならば、そこに費やすカネは食費・水道光熱費に使ったほうがいい
・一度何かモノを極めたら、際限なしの消費欲求に陥りそう
・モノなんかよりも、「人間関係」の方が圧倒的に大事。高級時計を身に着けていようが、家に超特大ホームシアターがあろうがなかろうが、自分のことを好きになってもらえるか否かは本人の人間性次第。よって、立派なモノを揃えることは意味がない
……こうした考えであるため、私は47歳時に「セミリタイア」を実現することができたんだと思います。物欲がないと人生の出費額が少なく済むので、さっさと仕事をやめることができるんですよ。もしもモノがたくさんほしい人生を送っていたら、今のように48歳になって仕事はほどほどにやりつつ、唐津に移住してのんびり暮らすような生活は望むべくもない。多分64歳ぐらいまでバンバンと働いていたと思います。
そして、モノがない生活で意外と気楽なのが、「仮に泥棒・空き巣が家に入っても、盗られるモノがほとんどない」ということです。私は月に1回、佐賀県唐津市から東京へ出稼ぎに行きますが、空き巣の心配をすることがありません。いや、空き巣は来るかもしれない。ただ、まったく資産価値がないモノばかりで、入った空き巣にしても「なんでこんな家に入ってしまったんだ! なんて日だ!」なんて思うことでしょう。
防犯の面でも「物欲のない人生」、ナイスですよ。
【プロフィール】
中川淳一郎(なかがわ・じゅんいちろう):1973年生まれ。ネットニュース編集者、ライター。一橋大学卒業後、大手広告会社に入社。企業のPR業務などに携わり2001年に退社。その後は多くのニュースサイトにネットニュース編集者として関わり、2020年8月をもってセミリタイア。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』(光文社新書)、『縁の切り方』(小学館新書)など。最新刊は『炎上するバカさせるバカ 負のネット言論史』(小学館新書)。
☘️ヤフコメ❗️ピックアップ☘️
本当にアホくさい。コレを捨てたら最強だと思う。
✅ ミニマリストはやたら物をなくしたがる。たくさんはいらないが、ある程度あるほうがわたしは心豊かに暮らせる。
何事も、ほどほどが一番。
✅ 中川さんはこれまでの仕事でかなりの資産を築いた上でこういう生活をしている。資産がほとんどない人がこういう生活をしているのとは心の持ちようも将来の展望も大きく違うと思う。