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リーダーの素養「仕切る力」の身につけ方[2022.8.19]

リーダーの素養「仕切る力」の身につけ方

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✍️記事要約

✅ 周囲から「信頼できる人」と思われる。リーダーの素養「仕切る力」の身につけ方

リーダーの素養のひとつとしても求められる「仕切る力」。うまくいっている部署やグループでは、この力をうまく使い、場を取り仕切っている人がいます。ですが、仕切る力はもともともっていたその人の才能のように思われがちです。本当にそうなのでしょうか。

 そんな疑問に答えてくれるのは、「ABEMA Prime」の進行を務め、先日、「読者が選ぶビジネス書グランプリ2022」ビジネス実務部門賞を受賞した書籍『超ファシリテーション力』(アスコム)の著者で、テレビ朝日アナウンサーの平石直之氏(@naohiraishi)。

「もともと私は自分から場を仕切っていくタイプの人間ではありませんでした」という平石氏は、同時に「仕切る力は、ちょっとした工夫やテクニックを学ぶことで、だれでも身につけることができる」といいます(以下、平石氏の著書より寄稿)。

■話し上手より聞き上手であることが重要

「仕切る力」は昨今のビジネスシーンにおいて、「ファシリテーション力」と言い換えられ、会議やグループミーティングなど、複数の人が集まる場で必須のスキルとして、浸透しはじめています。このファシリテーション力を身につけ、高めていく方法として、私は「準備力」「聞く力」「場を作る力」の3つの力が必要だと考えています。

 とくに、よく誤解されがちなのが、仕切るために必要な力が「聞く力」だということです。一見、仕切る役割を任される人は「話す力」、コミュニケーション能力の高い人のような気がしますが、そうではありません。
 私の場合、たとえば会議が始まった際に、準備してきたことはいったんすべて脇において、目の前の議論に全エネルギーを集中させています。テーマと狙いを説明したのち、参加者の言葉に全力で耳を傾け、その主張や空気を受け止めながら議論を展開させていきます。

■「討論の猛獣たち」を仕切るときは…

仕切る役割を担う人は、受け身のポジションを取りながら、参加者の言葉を拾って補足し、軌道修正し、“芯を外さない進行”を実現させていきます。大切なのは、自分が何を言いたいのかではなく、いかに参加しているメンバーの言葉を受け止めるかで、その意味では「聞く力」こそがファシリテーションのかなめだと感じています。
 私も仕切る役割を担う番組では、「討論の猛獣たち」の投げる(発する)はみ出しそうなボール(言葉)を、飛びついてでもキャッチすることにほぼ全神経を集中させています。そうすることで、議論を深めていくことができ、また「このファシリテーターであれば話を聞いてくれる」という信頼感を参加者に与え、場の心理的安全性も確保できるのです。

■上司のお説教を穏便に済ませるテクニック

 とはいえ、とくに会社の会議にはどうしても上下関係がつきまといます。そのため、もし上司が部下の発言に噛みついてお説教を始めてしまったら、ある程度までは言いたいことは言わせつつ、「部長、お話し中にすみません。時間が迫っているので、その件についてはまたのちほどお願いいたします」とうまくカットインし、できるだけ穏便に次の議題に移る工夫が必要です。
 会議はあくまでチームプレーであり団体戦です。その時間は全員が示し合わせて捻出したもので、お互いの時間を大切にする意識を共有しておきましょう。
 司令塔であるファシリテーターが、あらかじめ会議の趣旨と自身の役割を参加者たちに伝えておく。そうすることで、話の脱線やお説教が始まり、それがたとえ上司によるものであったとしても、「いまそれがここで必要なのか」という観点から話を止めるかどうか判断することができ、話を遮られた上司からの理解も、そして信頼も得られやすくなるはずです。

■ 「進行役」はいつも冷静である必要はない

進行を司るファシリテーターは、できるだけ冷静な仕切りが求められる立場ですが、ときには自分自身がヒートアップしてしまうこともあります。アベプラでもときおり、私が自分の意見を主張したり、論客と熱い議論を交わす場面がありますが、じつはこれ、ある程度はあえてやっている面もあります。
 議論が低調で盛り上がりに欠ける場面では、ファシリテーター自身が極論を投げかけたり、テンションを高めてその場を活性化させることもあります。
 議論の幅を広げたり、深みを増すためには、ときに自分自身が身を削って、話の輪に飛び込んでいく覚悟が求められます。そして、議論に火がついて、参加者たちが身を乗り出してくれば、今度は自分がすっと身を引いて、またもとのポジションに戻ればいいのです。

■時には熱意を参加者に伝えることも

 ファシリテーターは単なる進行ロボットではありません。あくまでその会議に参加するメンバーの一人でもあることを忘れてはいけませんし、それを節目節目でアピールすることも大切だと考えています。
 ただ日和見的に進行を担っているのではなく、誰よりもその議題に熱い思いを持ち、ときに自身の意見も織り交ぜながら進行していることがわかれば、その熱意が参加者に伝わり、一目置かれるようになり、立場が尊重されて進行しやすくメリットがあります。
 あくまで他人に対する配慮を守ったうえで、自身の熱量を上手にコントロールしていければ、議論をより盛り上げることができ、あなたの手で部署やグループの力を引き出すことができるはずです。

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