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不足の民生委員 選任要件緩和へ[2024.3.31]

不足の民生委員 選任要件緩和へ

【記事詳細】Yahooニュース

✍️記事要約

✅ 民生委員の居住要件を緩和、担い手不足解消へ元住民や在勤者も選任…厚労省方針

地域福祉を支える民生委員の担い手不足の解消に向け、厚生労働省は選任要件を緩和する方針を固めた。現在は、その市区町村の住民に限られているが、特例的に在勤者や近隣に転居した元住民の選任を認める方向だ。2024年度中に有識者検討会で結論を得て、必要な法改正を行う。

民生委員は、安否確認のため高齢者宅を訪問したり、住民の相談に乗って支援機関につないだりする。独居高齢者が増える中、活動の重要性は高まっている。
 一方、担い手は不足している。定数24万547人に対し、23年3月時点で、全国で1万3121人の欠員が生じている。定数は市区町村ごとに決まっており、東京23区では220~440世帯に1人が目安だ。
 民生委員を引き受けるのは60歳以上が中心だが、高齢期に働く人が多くなり、頼んでも断られるケースが増えている。民生委員が不在の地域では見守り活動が行き届かない恐れがある。
 選任要件について、民生委員法は、市区町村議選の選挙権がある人と定めている。18歳以上の日本国民で、その地域に続けて3か月以上、住んでいる人だ。
 厚労省の検討案では、社会貢献に力を入れる企業の社員や商店の従業員、マンションの管理人など地域の実情に詳しい在勤者や、近隣の自治体に転居後も地域とつながりのある元住民を選任できるようにする。
 厚労省は、全国民生委員児童委員連合会などの意見を踏まえ、要件緩和の範囲や条件を決める方針だ。
 ◆民生委員=無報酬で活動する特別職の地方公務員。市区町村から推薦された人が、厚生労働大臣から委嘱される。任期は1期3年で、再任もできる。交通費や電話代などの活動費として、1人あたり原則年6万200円が支給される。

■英訳

The Ministry of Health, Labour and Welfare has decided to relax the selection criteria for the volunteers who support regional welfare activities as welfare commissioners, in an effort to address the shortage of these volunteers. Currently, selection is limited to residents of the respective municipalities, but there is now a direction to allow the appointment of incumbent workers or former residents who have moved to nearby areas on an exceptional basis. A conclusion will be reached by experts' deliberation committee within the fiscal year 2024, and necessary legal revisions will be made.Welfare commissioners visit the homes of elderly individuals for safety confirmation and provide support by connecting residents with support organizations. With the increasing number of elderly individuals living alone, the importance of their activities has grown.However, there is a shortage of volunteers. As of March 2023, there were 13,121 vacancies nationwide out of a total quota of 245,547. The quota is determined for each municipality, with a guideline of one welfare commissioner for every 220 to 440 households in the 23 wards of Tokyo, for example.The majority of those who take on the role of welfare commissioners are aged 60 and above, but with more people working into their elderly years, there has been an increase in cases where requests are declined. In areas where welfare commissioners are absent, there is a concern that monitoring activities may not be adequately carried out.Regarding the selection criteria, the Welfare Commissioners Act stipulates that individuals eligible to vote in municipal elections are eligible. This includes Japanese citizens aged 18 or older who have lived continuously in the area for three months or more.Under the Ministry of Health, Labour and Welfare's consideration, it is proposed to allow the appointment of incumbent workers who are familiar with the local situation, such as employees of companies that prioritize social contributions, or employees of shops, as well as former residents who have connections to the community even after moving to neighboring municipalities.The Ministry of Health, Labour and Welfare plans to determine the scope and conditions of relaxation based on the opinions of organizations such as the National Welfare Commissioners and Child Welfare Commissioners Federation.Welfare commissioners are special local government officials who volunteer without compensation. Individuals recommended by municipalities are appointed by the Minister of Health, Labour and Welfare. The term of office is three years, and reappointment is possible. An activity allowance of 62,000 yen per person per year is provided as activity expenses, including transportation and telephone expenses.

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☘️ヤフコメ❗️ピックアップ☘️

✅ 民生委員は地域住民の生活状況を把握し、生活課題のある場合は相談や必要な助言や支援、また行政業務に協力する民間の奉仕者である。民生委員は民生委員法にて目的・職務等が規定されているが、児童福祉法に基づき児童委員とも兼務しており、民生委員・児童委員としてその活動を行っており、前史から数えると、百年以上の歴史を持つ地域の社会福祉活動の担い手として機能している。
民生委員・児童委員の担い手不足は、人口減少社会による担い手不足だけでなく、地域コミュニティの集団性・共同性・帰属性の低下、地域課題の複雑化・多様化・広汎化による民生委員・児童委員の業務負担の増加等がある。
今回の方針は、地域社会の変容にあわせた民生委員・児童委員の選任要件、活動内容・方法等がなされるものでその必要があると考える。
地域共生社会の前進に民生委員・児童委員の活動は益々求められる。それに見合った方針が出されることを期待する。
✅ 民生委員のみなさんは、子育てや介護の悩みを抱える人や、障害者・高齢者、生活困窮者などが必要な支援を受けることができていないような場合、民生委員が身近な相談相手としてそうした方の自宅を訪問し、行政や専門機関をつなぐパイプ役を務めています。
身分は特別職の地方公務員(非常勤)とされていますが、無報酬で地域貢献をされている方々です。
一定の世帯数ごとに担当地域が決められ、全国津々浦々に配置され、定員(全国で約24万人)も定められていますが、10-20年ほど前からはその定員を満たすことができなくなり、人材が足りない状況となっています。
民生委員制度は国際的にも珍しい仕組みで、大正初期にその源流が岡山県や大阪府で制度化された歴史があります。多くの人びとを社会的孤立の問題から救ってきた存在と言ってよいと思います。
多くの人びとに、この制度•活動に関心を寄せていただきたいと思います。
✅ 民生委員は地域住民の持つ生活課題を行政支援につなぐ役割として期待されていますが、実際にはさまざまな課題が表面化しています。
ひとつめは成り手不足。都市部、地方部の世帯数に応じて民生委員の定数が定められますが、近年は常に定員を満たしておらず、充足率も低下し続けています。平成28年には96.3%であった充足率は、令和元年には95.2%となり、令和4年では93%でした。またその多くは高齢者の人々で新任委員の成り手が少ないのも大きな課題です。
今回の改正で緩和要件を増やし、担い手の増加を図る狙いでしょうが、個人プライバシーが尊重される社会の中で、どこまで公的資格ではない民生委員、児童委員が介入できるのか極めてファジーな状態です。地域住民の善意に頼るシステムには一定の限界が見えているのではないでしょうか。

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