保険証捨てないで 医師ら呼びかけ
✍️記事要約
「現在、使用している保険証を捨てないで下さい!」
大阪の医師たちが緊急会見を開いた。
12月2日以降、「健康保険証の新規発行が出来なくなる」ことを、「健康保険証が使用できなくなる」と勘違いしている人は少なくなく、既に混乱が起き始めているというのだ。
大阪府守口市・北原医院の井上美佐医師に、医療現場の状況を詳しく聞いた。
■「保険証」12月から再発行不可 なくしたら二度と入手できない
もともと、医療機関窓口での保険資格の確認方法は「健康保険証」だけでした。
そこへマイナ保険証が登場したのですが、高齢者や要配慮者など様々な事情からマイナ保険証の使用が難しい方もおり、どんどん細分化・複雑化していきました。
現在は9通りにも及んでいます。医療現場の混乱は避けられないでしょう。
なかでも紛らわしいのが、「資格確認書」と「資格情報のお知らせ」。
「資格確認書」は、マイナ保険証を保有しない方に交付されるもので、これのみで保険資格確認が可能です。
いわば従来の保険証の代わりとなるものです。
一方、「資格情報のお知らせ」は、マイナ保険証を保有している人に送付されるもので、カードリーダーの不具合などでマイナ保険証が上手く機能しない時に使用します。
つまり、マイナ保険証の現物とあわせて使用することで、はじめて資格確認をしたことになるので、「資格情報のお知らせ」だけで医療機関の受診はできません。
現在の資格確認方法は9通りですが、今後さらに増えそうです。
今も「12月2日以降に生まれた子供はどうするのか」が検討されています。
まだ決定はしていないようですが、「顔写真なし、パスワード有りのマイナ保険証を作ったらどうか」という案が出ています。
以前は健康保険証の一種類のみでしたが、今後はどこまで増えていくのか、しばらく医療機関の窓口は混乱が続くことでしょう。
■根本的な問題が解決してない!
マイナ保険証リーダー
マイナ保険証が導入されて2年。
現在も「資格確認が出来ない」などのトラブルが数多く起きています。
先月、全国保険医団体連合会が発表した「2024年5月以降のマイナ保険証調査」によると、回答した13,000医療機関のうち、「トラブルがあった」と答えたのは70.1パーセント。
約9000件の医療機関で、直近5か月にマイナ保険証のトラブルがあったのです。
そして、その多くが「資格情報が無効と出る」、「名前や住所などの情報が『●印』で出る」など、根本的な問題が一向に改善されていません。
こうしたトラブルが発生した際も、保険証を持っていればすぐに解決できます。
従来の保険証は、保険資格確認に必要な情報がすべて記載されているからです。
従来の保険証の発行停止がすぐそこまで来ているのに、マイナ保険証のトラブルは、減るどころか一年前の前回調査より10%も増えています。
老若男女、すべての人が安心して保険診療を受けられるためにも、健康保険証の併存、存続を望みます。
■英訳
“Do not throw away your current health insurance card!”
Doctors in Osaka held an urgent press conference to address a growing concern.
From December 2 onward, new health insurance cards will no longer be issued. However, many people mistakenly believe this means their existing cards will become invalid, leading to confusion that has already begun to spread.
Dr. Misa Inoue from Kitahara Clinic in Moriguchi City, Osaka, provided detailed insights into the situation in medical settings.
Health Insurance Cards No Longer Reissued Starting December: Lost Cards Cannot Be Replaced
Traditionally, health insurance verification at medical facilities was solely done using health insurance cards.
The introduction of the My Number Insurance Card (Myna Insurance Card) added complexity, as certain individuals, such as the elderly and those with special needs, face challenges using it. Over time, this system has become increasingly fragmented and complex, with nine different verification methods currently in place.
Confusion in medical facilities is inevitable, particularly with the terms Qualification Certificate and Insurance Qualification Information Notice:
• The Qualification Certificate is issued to individuals who do not have a Myna Insurance Card and serves as a substitute for the traditional insurance card. It alone is sufficient for insurance verification.
• The Insurance Qualification Information Notice, on the other hand, is sent to Myna Insurance Card holders. It is meant to be used alongside the card in cases of technical issues, such as card reader malfunctions. This document cannot be used alone to receive medical services.
Currently, there are nine methods of insurance verification, but more may be introduced. Discussions are ongoing regarding how to handle children born after December 2. One proposal is to create Myna Insurance Cards without photo identification but secured with a password.
Where there was once only a single health insurance card, the system has now become overly complicated. It is expected that confusion at medical facility counters will persist for some time.
Fundamental Issues Remain Unresolved
Two years have passed since the introduction of the Myna Insurance Card system. However, numerous issues persist, particularly around “inability to verify qualifications.”
A survey conducted last month by the Japan Federation of Democratic Medical Institutions revealed that 70.1% of the 13,000 medical facilities surveyed reported issues with Myna Insurance Cards in the past five months. This translates to roughly 9,000 facilities encountering problems such as:
• Invalid insurance qualification information
• Personal data, like names or addresses, appearing as “●”
These fundamental issues remain unaddressed.
When such problems occur, having a traditional insurance card readily resolves them, as it contains all the necessary information for verification.
Despite the impending halt to traditional insurance card issuance, troubles with Myna Insurance Cards have increased by 10% compared to the previous year’s survey.
To ensure that everyone, regardless of age, can access medical services with peace of mind, the continuation and coexistence of traditional health insurance cards alongside Myna Insurance Cards is strongly desired.
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☘️ヤフコメ❗️ピックアップ☘️
厚労省の「マイナンバーカードの健康保険証利用について」など多数の場で、手元にある従来の健康保険証を捨てる必要性はないことが説明されています。
現行保険証が12月から使えなくなるとの誤認は多分に報道によるものでしょう。本日分の記事だけでも「「マイナ保険証」12月2日に本格移行」「12月から「マイナ保険証」に切り替わるようですが」「「マイナ保険証」12月で健康保険証から切り替え」など、現行保険証の効力が停止すると誤読してしまいそうな題名がずらりと並んでいます。本文に説明があれど、題名だけで認識してしまう人が少なからずいる実情への配慮をしてほしいものですが。 ✅ こうした医療現場、患者の側の混乱をきたしている現状を、政府はどのように考えているのだろうか。
これを「単に行政のデジタル化に当たって生ずる、必要な生みの苦しみ」とだけ考えているようでは、国民本位の政策の実現はできない。
行政の基本は、「弱者を中心に考える」ことにあるはずだ。高齢者などの行政のデジタル化に抵抗のある世代に対して、健康保険証を併存させるなどのソフトランディングはできたはずであり、それはこれまでの岸田政権が強強に進めてきた政策の失敗だろう。
新しい政策の導入には、社会実験なども繰り返し、じょじょに時間をかけて導入する姿勢が必要であった。国民の声を聞かずに、頭の中で考えた行政の利便性を追求した結果を改める必要もある。
石破首相も、林官房長官も、保険証の継続使用に関しての積極的な発言を総裁選で行っていた。政権も変わった。国民本位に政策もあらためてもよいだろう。
✅ 紙の健康保険証の新規発行を止めることで、発行費用が下がっても、替わりに「資格確認書」を発行し、マイナ保険証を持っている人には、「資格情報のお知らせを」を発行する費用が新たにかかります。
このマイナ保険証の有無によって別ものを発行する必要がありますから、区分する手間が発生します。さらに面倒なのは、マイナ保険証の紐づけを解除した時です。解除したらすぐ「資格確認書」を送らないと、健康保険証が手元にない期間ができかねません。
今まで紙の保険証しかなかったときには、有効期限が切れる前に、新しい保険証を送るだけで済んでいました。
政府は巨額費用をかけたマイナ保険証のメリットとして、経費削減や作業の効率化を上げていましたが、現状は経費節減にも、効率化にも寄与しているとは言えません。保険証を捨てる人もいますし、「資格確認書」と「資格情報のお知らせ」の役割の違いが分かりにくく、混乱している人もいるのです。