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夏の甲子園優勝 慶応高の実態は「お金持ちの野球エリート」[2023.8.26]

夏の甲子園優勝 慶応高の実態は「お金持ちの野球エリート」

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✍️記事要約

✅ 夏の甲子園優勝 慶応高の実態は「お金持ちの野球エリート」 特待生制度がなく、「3年間300万円超」の“高額学費”で進学を諦める有望選手も

慶応高(神奈川)の107年ぶりの優勝で幕を閉じた夏の甲子園。決勝の相手が夏連覇を狙った仙台育英(宮城)ということもあり、甲子園球場はコロナ禍以降で最高と言える盛り上がりを見せた。三塁側アルプスだけでなく、内野席、外野席にも慶応を応援するOBや関係者が詰めかけて、テレビのワイドショーでも慶応優勝の話題は連日取り上げられている。過熱する報道もあって、慶応優勝に対しては、さまざまな声が聞かれるが、なかには“実態”からかけ離れたものも少なくない。

その最たるものといえば、決勝を戦った両チームのイメージだろう。仙台育英は、前年度優勝校ということもあって、全国から優秀な選手を集めた野球エリート集団で、一方の慶応高は“文武両道”の伝統校で、学業も優秀な“普通の高校生”が勉強の傍らに野球に取り組んでいるというものだ。

 しかし、このイメージは事実と大きく異なっている。まず、野球エリートということに関して言えば、慶応高は全国でもトップクラスと言えるほど、中学時代に評判だった選手が入学している。

 エースの小宅雅己と、中軸を打つ加藤右悟(いずれも2年)は、ともに栃木の「県央宇都宮ボーイズ」で全国大会優勝の経験を持つ。また、ファーストの延末藍太、サードの福井直睦、控え投手の松井喜一、元西武、巨人などで活躍した清原和博の次男として注目を集めた清原勝児らベンチ入りメンバーのうち5人は、全国屈指の強豪チームである「世田谷西リトルシニア」出身である。

 ちなみに、「世田谷西リトルシニア」は、今年のリトルシニア日本選手権と、中学硬式4連盟(リトルシニア、ボーイズ、ヤング、ポニー)の頂点を決める「ジャイアンツカップ」の二冠に輝いている。

■ ベンチ入りしているメンバーの多くは「推薦」

 では、彼らのような“野球エリート”がなぜ偏差値が非常に高い慶応高に入学できるのだろうか。その理由は入試方法にある。

 慶応高に入学するには、小学校(幼稚舎)や中学校(中等部、普通部)から内部進学するパターン以外に、「一般受験」、「帰国生」、「推薦」の3つの方法がある。野球部でベンチ入りしているメンバーの多くは「推薦」だ。

 推薦の基準は、中学の内申点で45点満点中38点以上となっており、それ以外はスポーツなど優れた実績があれば、入試は作文と面接のみ。もちろん、単純比較はできないが、学力という面で限れば、一般受験に比べるとハードルが低いといえる。

 そして、もうひとつの“誤解”が、選手のスカウティングだ。「慶応」というブランド力があるから、野球も勉強もできる選手が進学先に選んでくれる、という側面はあると思われるが、それだけで、本当に実力のある選手が勝手に集まってくるわけではない。

 中学のクラブチームの指導者は、こう話す。

「慶応高は、出身者によって全国にネットワークがありますから、野球が上手くて、中学の成績も優秀な選手には、かなり積極的にアプローチしていますね。本人はもちろん、保護者にとっても、そのまま(エスカレーターで)慶応大に行けるというのは大きな魅力ですから……。内申点が少し足りないようなケースは、(野球で入学できるように)下級生のうちから、(親が)家庭教師をつけてクリアさせたという話も聞きます。他の強豪高校の監督などは、『野球が上手くて勉強もできる子は慶応高に行ってしまうので、少し内申点が低いくらいの方がありがたい』という本音を漏らす方もいますね」

 両親が医師で、中学時代の学業が優秀だった、岐阜出身の根尾昂(大阪桐蔭→中日)も慶応高が熱心に誘っていたと言われている。今年のチームにも、愛知出身者が2人、栃木出身者3人、千葉出身者2人がおり、他県からの入学しているケースも少なくない(※東京出身は7人、慶応高の地元・神奈川出身は6人)。

■ 学費を免除する“特待生制度”がない

 一方、他の高校から慶応大に野球で入学しようとしても、AO入試の難易度はかなり高くなっている。記憶に新しいのが、高橋宏斗(中京大中京→中日)のケースだ。

 当初、高橋は、慶応大のAO入試を受験したものの、不合格となった。プロ志望に切り替えた結果、地元の中日にドラフト1位で指名されている。結果的に、“滑り止め”が中日になった形だ。こうした事情もあって、「野球の実力がある生徒が、慶応大を目指すには、慶応高から入るのが最も入りやすい」というのが野球関係者の間では常識になっている。

 ただ、慶応高に進学するには、野球の能力や学力に加えて、乗り越えるべき高いハードルがある。それが学費の問題だ。

 慶応大のホームページには、幼稚舎から大学までの学費(※その他の費用を含む)が掲載されている。それを見ると、慶応高は初年度だけで「132万1000円」、3年間通うとなると、掲載された数字を単純計算しても「300万円以上」という高額な学費が必要となる。他の強豪校では、学費を免除する“特待生制度”があるが、慶応高はこのような制度はない。

 学費以外にも、野球にかかる諸費用が必要になり、よほど経済的に余裕のある家庭でないと、慶応高への進学は難しいことは間違いないだろう。そのため、学業よりも、経済的事情で進学をあきらめる選手が多いと聞く。

■ 選手同士の競争は厳しい

 また、チームのスローガンとなっている“Enjoy Baseball”という言葉が独り歩きして、「練習が緩い」というイメージを持っている方が少なくないようだが、決してそんなことはない。

 森林貴彦監督の方針では、トップダウンで押し付けるようなことはないが、選手同士の競争は厳しく、トレーニングをかなり積極的に行っている。決勝戦で敗れた仙台育英の須江航監督は、慶応高について「技術はもちろん、現代の高校野球に必要なフィジカル面でも素晴らしかった」と讃えている。

 メディアで話題になった「長髪」や「白い肌」といった目に見える部分とイメージは、慶応高野球部の“本質”とはかけ離れたものである。熱心なスカウティングや入学後の厳しい鍛錬が、今回の優勝を支えていたということは、知っておいてもらいたいところだ。

西尾典文(にしお・のりふみ)
野球ライター。愛知県出身。1979年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

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☘️ヤフコメ❗️ピックアップ☘️

✅ プロにならずとも、慶応高校から慶応大学に進学し、慶応野球部に所属。
その後、慶応体育会OBが多い、三井不動産、三菱地所、総合商社に就職すれば、生涯年収は6~7億円。下手にプロ野球目指すより、堅実かつ高収入だと思います。
✅ 勉強が得意な子は勉強、スポーツの得意な子はスポーツ、その他音楽、囲碁将棋、映画でも何でもそれぞれ得意な分野を見つけて活躍してもらいたい。人はそれぞれ個人の能力も環境も異なる。時には、他人を見てうらやましい、ずるいなと感じる時はあると思うが、それは仕方が無い。私立の医学部などお金が無いといけない。今も昔も頭の良い人は当然
国立大学医学部に進学している場合が多い。昔は頭が良くて経済的に厳しいと子は授業料が無い?教育大学に進んで、学校の先生になった。従い、優秀な先生が多く社会的地位も高かった。防衛大学進学も一つの方法。社会に出れば更に複雑な関係が多く、どの分野に進むかは一層難しい。様々な敵対する勢力の中、どういう味方をつけていくかというストレスがある。健康に気をつけてそれぞれ自分の道を見つけて活躍して欲しい。
✅ 育英の主力も楽天シニア出身だし、私立校というところではあまり変わらない。実家が金持ちという意味では桁違いだろうけど。森林監督は、寮がないことを強調していたが、民間の寮に入っている子も多いし、地域性は違うだろうが、慶応と育英にそれほど違いは感じられなかった。ただ、これでますます地方の公立校が甲子園に行くという夢は難しくなるだろうとは思った。

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