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政治デモが起こらないのは「日本人の性格」が理由なのか[2023.11.22]

政治デモが起こらないのは「日本人の性格」が理由なのか

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✍️記事要約

✅ 政治デモが起こらないのは「日本人の性格」が理由なのか…今の社会システムに見えはじめた「綻び」

日本人の賃金が一向に上昇せず、社会保障の負担増加など国民生活は苦しくなる一方である。ネットでは「もうこれ以上耐えられない」といった声が飛び交っているが、日本人の政治への態度はおとなしい。大規模デモなどが発生しないことの背景には、日本の特殊な産業構造が関係している。

日本人の賃金は過去30年間ほとんど上がっておらず、一方で消費増税や社会保障の負担増などで、国民生活は苦しくなっている。

 ネットの反応を見ると「日本人やめたい」など、フラストレーションが溜まっているようにも思える。だが現実社会での日本人はおとなしく、デモのような激しい政治運動や選挙を通じての意思表示にも消極的である。企業でも積極的に労働者が賃上げを求める動きは見られない。

 一部の政治家は、いわゆるポピュリズム的な手法を目指しているものの、有権者が大人しいせいか、あまりうまくいっているとは言えない。日本では政治に対する国民の激しい反発や、国民の不満を背景としたポピュリズム的な政治運動は存在せず、現状維持ばかりが選択される。

 その理由としてよく指摘されるのが日本人の性格である。これには文化的な側面もあり、権力に従順な日本人の振る舞いが激しい運動を阻んでいる面があるのは確かである。

 だが戦前には「日比谷焼討ち事件」など暴力的な事件が何度も発生しているし、戦後も安保闘争の時代までは激しいデモが当たり前だった。必ずしも日本人の性格だけが理由とは言えないだろう。

 以前は激しい政治運動が発生していたにもかかわらず、近年、こうした行動が抑制されている現実を考えると、経済や社会の環境変化が作用したと判断するのが妥当である。

 日本とは正反対に、国民が政府に対して激しく意思表示する国として知られるのが南米各国である。特にアルゼンチンでは、左翼ポピュリズム政権と軍事政権が次々入れ替わるという政治的混乱が続き、国民は常に政府に対して激しいデモや抗議活動を行っている。

 毎回のように激しいインフレを経験しているにもかかわらず、アルゼンチンにおいてバラ撒き型のポピュリズム政権が力を持っていることの背景には、南米独特の産業構造がある。

企業社会では「全員が労働者」

 重要なのは農業資本家にとってインフレは大きな問題ではなかったという点である。一次産品はインフレに強く、放漫財政でインフレが激しくなっても、物価上昇分だけ穀物の価格を引き上げればよいので、大きな痛手にはならない。

 こうした流れからアルゼンチンでは、各政権はバラ撒きで国民の歓心を買う傾向が強く、経済の中核を担う資本家も放漫財政によるインフレを黙認した。労働者の側も、階層間の移動が難しいことを知っているので、インフレが懸念されたとしても、目先のバラ撒きを強く望む。

 インフレが激しくなるたびに労働者の生活は困窮し、激しいデモが発生。結果として政権はコロコロと変わるが、資本家の地位は変わらないというのが特徴だ。

 工業化が進んだ欧米各国では南米ほどではないが、やはり資本家というものが存在しており、労働者階級と資本家あるいは経営者(高度技能者)との対立図式が存在する。

 日本も戦前までは地主による農業支配が行われており、工業が発達していなかったことから、労働者と土地所有者という対立構造があった。

 しかし戦後は農地改革によって農業従事者の多くが小規模ながらも土地所有者になったことや、株式の相互持ち合いによって事実上、資本家が消滅したこと、さらには終身雇用、年功序列といった独特の雇用環境(一連の雇用慣行は戦争中の国家総動員体制が発端となっている)によって、産業が特定資本に依存しない構造となった。

 つまり戦後の日本では、厳密な意味で労働者と資本家(あるいは資本家から雇われた経営者)の利害対立は存在せず、全員が何らかの形で企業社会から利益配分を受けている。

 悪く言えば日本の企業社会では、全員が労働者であり、経営者と労働者の違いは、同じ組織の中で肩書き(取締役、部長、課長なのかヒラなのか)や多少年収が異なるという程度に過ぎない。

 戦後の自民党政治を俯瞰すると、基本的に大企業を優遇する政策を実施することで、大企業や関連会社に所属するサラリーマン、さらには下請け企業に属するサラリーマン層の生活を保障しつつ、その枠組みから外れる農家や商店主などに対しては政治的保護を提供する代わりに、選挙の票田にするという絶妙なバランスで運営されてきた。

 例えば、農業の自由化についていえば、基本的に日本政府は米国の要求をそのまま受け入れ、市場開放を続ける一方、悪影響を受ける農業従事者には手厚い補助金を配ることで反発を和らげてきた。大企業の利益を確保しつつ、不利益を被る人を支援することでバランスを取る仕組みである。

■ 日本でもいよいよ階級闘争が起こる?

 現在でもこの図式は続いており、大企業のサラリーマンは労働者として企業に搾取される一方、年次が上がれば年収が増えていくので、搾取される感覚が薄くなってくる。

 しかも株式の持ち合いなどによって企業は相互に利益を供与しているので、特定の資本家に利益が集中しているわけでもない。しかも、日本企業は基本的に年功序列なので、すべての社員が程度の違いこそあれ労働者から経営層に階級移動したような錯覚が得られる。一連の変化は断続的ではなくグラデーションになっているので、ある意味で、全員が与党といってもよい。

 この仕組みが日本政治の安定化をもたらしてきたわけだが、鉄壁だったシステムにもいよいよほころびが見え始めている。

 先にも述べたように、日本はゼロ成長が常態化しており、企業業績は伸び悩んでいる。サラリーマン経営者ばかりとなった日本企業は現状維持に終始し、コスト削減だけに邁進して利益を維持しようと試みている。その結果、賃金が安く、終身雇用が保証されない非正規社員を大量に生み出すことになった。

 これまで日本社会は、良くも悪くも全員が加害者と被害者の両方を兼ねており、これが政治の安定化につながっていた。だが、近年、顕著となっている正社員と非正規社員の格差は、限りなく階級格差に近いものとなっており、このまま手を打たなければ、階級が再生産され、日本でも本格的な階級闘争が起こる素地を作り出す可能性がある。

 社会保障の負担などをめぐって、日本では世代間格差が取り沙汰されているが、本当に生じつつあるのは同一コミュニティに属する人たちの世代間格差ではない。

 大企業の社員や公務員など、相対的に好条件で働くサラリーマンのコミュニティにおいて、若年層は相対的には不利な立場にあるのかもしれないが、同じ組織から利益を得ているという点で、致命的な対立は生じにくい。

 一方で、こうした企業社会に属していない非正規社員やフリーランスの人たちと、大企業の社員との間には埋めようのない格差が生じており、政治的に見た場合、この格差は不安定要因となる。

 日本において大規模なデモや政治運動が発生しないというのは、あくまで戦後社会の一時期が作り出した特殊な現象に過ぎず、決して普遍的なものではない。こうした状況について考えた場合、非正規社員やフリーランスと正社員の待遇格差解消が急がれるのは説明するまでもないことだろう。

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☘️ヤフコメ❗️ピックアップ☘️

✅ 性格もあるが、デモやストライキに対する社会的偏見が大きいと思う。
戦後の安保闘争や、大学紛争の影響で、デモは一部の特定思想の持ち主がやる危険なもの、一般の人は近づかない方が良い、と言うイメージが広まってしまった。デモに参加したのが会社にばれたら、その人は確実に出世できなくなるどころか、組織の中で干されるのが日本の実情。
この状況が変わらない限り、民主主義社会の意見表示としてのデモは、日本に根付かないのではないか。
✅ ここでも「聖域なき構造改革」以降の新自由主義政策の問題に触れていない。
政治デモが起こらないのは、この記事のように本質的問題に触れず、ミスリードを狙っているかのような大手報道機関による論点ずらしも大きく影響しているように思われ、一方で生活とは関係のない芸能問題等を、社会的問題性があってもその部分は捨象し、ただの働く人の不満のはけ口に利用して、以前から政治への関心を逸らしてきた大手マスメディアの責任も無視できないと思われる。
勿論これだけが問題ではないが、マスメディア自身も自らの問題を自覚したうえで、問題提起すべきだと思う。
✅ 日本人は今日のように弱くなかった。江戸時代には農民一揆をはじめ各種のデモがありました。明治以降も、2.26や5.15などの事件もあり、戦後も学生運動をはじめ多数の政治デモがありました。なぜ、デモが起こらなくなったのか、それは明治維新以降、国策として日本人を、辛抱強い勤勉さと共同作業のできる協調性を植え付ける教育を、目指してきたからです。その教育の根底には、独創性のない、「まんまるな人間」を目指し、長所を伸ばすより欠点のない国民になるよう教育を徹底してきました。明治維新以降、150年余の年月を経て、日本人の性格が、「まんまるな人間」に近づいたことが、デモを起こさない日本人の性格になってきたのです。だから、長所を伸ばし独創性のある、非まんまるな日本人へと教育方針を変更することで、日本人の性格も変わっていくでしょうし、その頃には、疑問を覚えればデモが発生する国になるでしょう。

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