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最低賃金1500円公約 経団連がくぎ[2024.10.22]

最低賃金1500円公約 経団連がくぎ

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✍️記事要約

✅ 「到底達成不可能では混乱」経団連会長、最低賃金1500円公約を牽制

経団連の十倉雅和会長は22日の定例記者会見で、衆院選で主要政党が「最低賃金1500円」への引き上げ目標を公約に掲げていることについて「(目標は)チャレンジングでもいいが、到底達成不可能だというのは混乱を招くだけだ」とくぎを刺した。

2024(令和6)年度の最低賃金は全国平均で1055円。法律で定められる最低賃金は守らなければ罰則がある。十倉氏は、岸田文雄前政権が掲げた2030年代半ばに1500円を達成する場合でも年平均で4%程度の引き上げが必要になると説明。これを20年代に達成するには7%超、経済同友会の新浪剛史代表幹事が唱える3年での実現となると、15%程度の引き上げが必要になるという。この上で、「チャレンジすることも難しいようなことにこだわってはいけない。これから政労使でよく話し合っていきたい。あまり乱暴な議論はすべきではない」と述べた。

25年春闘で「5%以上」の賃上げを求める連合の方針に関しては「よく理解できる」と話した。十倉氏は「(賃上げは)23年を起点に24年に大きく加速しており、今回はそれを定着させることを合言葉に取り組みたい」と強調した。

■英訳 

At a regular press conference on the 22nd, Masakazu Tokura, Chairman of Keidanren (Japan Business Federation), expressed caution about major political parties’ pledge to raise the minimum wage to 1,500 yen in their platforms for the upcoming House of Representatives election. He remarked, “It’s fine for the goal to be challenging, but claiming something that is utterly unattainable will only cause confusion.”

The national average minimum wage for fiscal year 2024 is 1,055 yen. By law, the minimum wage must be adhered to, with penalties for non-compliance. Tokura explained that even to reach the 1,500-yen target set by the previous administration under Fumio Kishida by the mid-2030s, an annual average increase of about 4% would be necessary. To achieve this by the 2020s would require a rise of over 7%, and for the three-year target advocated by Kengo Shinano, representative secretary of the Japan Association of Corporate Executives, an increase of about 15% would be needed. Tokura added, “We shouldn’t be fixated on something that’s difficult to challenge. We want to discuss this carefully with labor and government representatives, and we shouldn’t engage in reckless debates.”

Regarding the labor union Rengo’s goal of seeking “more than a 5%” wage increase in the 2025 spring wage negotiations, Tokura said, “I understand that well.” He emphasized, “Wage increases accelerated significantly from 2023 to 2024, and this time, we want to work with the slogan of solidifying that progress.”

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☘️ヤフコメ❗️ピックアップ☘️

✅ 2020年代までに最低賃金の全国平均を1500円にするという政策目標は、経済学の常識から見てどうやっても実現不可能だ。
 この目標を達成するには高度経済成長期並みの年率7.3%というありえないスピードで最低賃金を引き上げていく必要があり、大企業と下請け関係にあって立場が弱く、価格転嫁が難しい中小企業は、人件費負担の増加でたちまち経営が行き詰まり、倒産や廃業が相次ぐことになる。
 結果、失業者が増えて国民生活をかえって窮乏化させてしまうだろう。
 過去20年以上にわたって賃金のマイナスを放置してきて、わずか数年間でそれを取り戻そうとしても、土台無理な話ではないか。
 実現不可能な数値目標を撤回しなければ、最終的に国民の信用を失う可能性が高い。
✅ 最低賃金だけの議論で終わってはいけないことです。社会保障制度のあり方に視点を持ちながら、多角的に考えるべきです。1,500円に引き上げることだけを考えれば、法令上の義務に反した場合の罰則適用の対象になるため、現実的に難しい可能性はあります。最低賃金自体引き上げることは望ましいことですので、引き上げるという選択肢も持ちつつ、本質に踏み込んだ活発な議論が期待されます。
✅ 「最低賃金1500円」は簡略化された表現で正確には「最低賃金の全国加重平均額で1500円」です。全都道府県が一律1500円以上ではありません。本文で語られている全国平均1055円は全国加重平均額のことで、東京都は1163円、一番低い秋田県は951円となり、200円以上の開きが生じています。

一方、仮に2020年代で全国加重平均額1500円を達成するためには、あと5年分の更新でとなりますから、毎年89円の引き上げが必要になります。直近分では51円でしたから、実現のためには大胆な、そして加重平均の際にウエイトが大きい適用労働者数の多い大都市圏で多分の引き上げが求められます(単純労働者数で勘案すると、全国6764.9万人のうち東京都が一番多く837.9万人、神奈川県が507.6万人)。

なお「最低賃金1500円」は元々、一部労働団体や政党が即時実施の形で求めていたことも併せ記しておきます。

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