最後の無料ワクチン接種は「まだ打つべきなのか」［2023.10.5］

20日から始まった新型コロナのワクチン接種。生後6カ月以上の全ての人が無料で受けられる「最後の接種」となり、期間は来年3月末まで。65歳以上の高齢者など重症化リスクの高い人は「接種勧奨」や「努力義務」の対象となっている。

ただ、コロナが「5類」に移行したことや感染しても比較的軽症で済むケースが多いことなどから、ワクチン接種後に高熱が出て仕事を休むなどの副反応を考えると、接種するかどうか悩んでいる人が少なくない。高齢者ら多い人では今度で7回目の接種となる。一般の人でも「既に4回も打ったし……」と迷うところだ。ズバリ、打つべきなのかどうか。

　医療ガバナンス研究所理事長の上昌広氏（内科医）はこう言う。

「私は打った方がいいと思います。変異株の種類が従来とは全く違う。今度のワクチンは新しい系統にも有効です。しかも、インフルエンザが既に大流行しており、今冬はインフルとコロナの同時流行の恐れがある。完全に日常に戻っている今冬は何が起こるかわかりません。米国でもCDC（米国疾病対策センター）が5歳以上はワクチンを打つべきだと推奨しています。接種したくないという若い人はどちらでもいいですが、高齢者と同居など感染させるリスクのある人や営業職、受験生などは打った方がいい」

■変異株「EG.5」は感染力1.2倍の報告も

　変異株の今の主流は、オミクロンのXBB株から枝分かれした「EG.5」系統（通称エリス）だ。感染力が従来の1.2倍という研究結果がある。これとは別系統の「BA.2.86」（通称ピロラ）も9月に東京で国内初確認された。XBBと比べ、30カ所以上の変異があるという。

　ワクチンを接種するかどうかについて、昭和大医学部客員教授・二木芳人氏（臨床感染症学）はこう話す。

「毎週金曜に厚労省がコロナ感染者の定点観測結果を発表します。今週金曜（29日）の数字に注目していますが、先週発表された2週間前（9月11～17日）がピークでいったん小康状態になりそうです。といっても、定点観測のデータを換算すると、全国に感染者が8万～10万人もいるような状況で、感染者は減っていません。ワクチン接種で重症化リスクが下がるので、高齢者や既往症のある人は、打った方がメリットが大きい。若い人や一般の人については、打つか打たないかの議論はありますが、後遺症が長く残る恐れがあることを考えれば、打つメリットがある。ウイルスは次々変異するので、オミクロンだから大丈夫と考えない方がいいと思います」

　マスクや手洗いが日常ではなくなった。通常、冬に流行するインフルエンザが真夏に流行している。ちなみに、インフルは、すでに最警戒状態に近づいているという。

「この2、3週間で一気にピークになる可能性があります」（二木芳人氏）

　とにかく「今冬はいつもと違う」（上昌広氏）を念頭に置いておきたい。

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