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朝倉未来 初の失神KO負けRIZIN[2021.6.13]

朝倉未来 初の失神KO負けRIZIN


【記事詳細】Yahooニュース

✍️記事要約

✅ タップ拒否に「侍魂。本当の男」称賛声も…なぜ朝倉未来はRIZINで柔術“鬼神”の三角絞めに失神敗戦し引退を口にしたのか?

総合格闘技イベントの「RIZIN.28」が13日、東京ドームで9731人の観衆を集めて行われ、メーンのスペシャルワンマッチではYouTuberとして180万人の登録者数を持つ格闘家、朝倉未来(28、トライフォース赤坂)が、“柔術鬼神”静岡県磐田市在住の日系ブラジル人、クレベル・コイケ(31、ボンサイ柔術)に2ラウンド1分51秒、三角絞めで敗れプロ18戦目にして初の1本負けを喫した。タップはせず衝撃の失神負け。試合後の会見で「引退も含めて今後のことを考える」と引退をほのめかした。バンタム級GPトーナメントの1回戦をパウンド8連発で渡部修斗(32、ストライプル新百合ケ丘)にTKO勝利した弟・海(27)、RIZINバンタム級王者の堀口恭司(30、ATT)、榊原信行CEOらは揃って「引退するな」の声を上げたが、元々30歳で引退すると発言していた異色のファイターは、どんな結論を下すのだろうか。

「朝倉は侍スプリッツを持つ本当の男だった」(クレベル)

 東京ドームを悲鳴が包む。
 2ラウンド。朝倉未来はコーナーでグラウンドに引き込まれて、下から右腕をつかまれると、まるで軟体動物のように首に足を絡められた。ボンサイ柔術必殺の三角絞め。朝倉はもう動けない。1秒、2秒、3秒…。「タップの選択肢はなかった」。試合前に公言していた通りに敗戦の意思表示する手段を放棄していた朝倉は意識を失っていた。タップの動きに注意を払っていた和田良寛レフェリーは朝倉が力なくうなだれたことに気づくと、あわてて間にわけ入って1本を宣告。クレベルが、三角絞めを解くと朝倉は、瞳孔を開いたまま上を向いて失神していた。壮絶なフィニッシュである。

 クレベルも心配して駆け寄った。
 ネット上ではタップしないことに対してクレベルが「壊れちゃう」と朝倉を怒ったとの噂も流れたが、会見では、「(試合前の話通りに)本当にタップをしなかった。タップをしないと壊れちゃうと(事前に?柔術ジムで?)教えている。彼には侍スプリッツがある。本当の男だよ」と、朝倉の男の生き様を称えた。
 朝倉は「引き込み対策はできている」と自信を持っていた。1ラウンドに、飛びつかれ下から寝技に引き込まれたが、ここでは胴を両手でクラッチし体を密着させ、柔術の技を封じこめた。腕を取られ三角絞めを狙われそうになったが、中途半端な姿勢は取らず、振り切るように立ち上がって回避した。だが、この2ラウンドは「コーナーに(クレベルの体を)押し付けた。あそこからは(スペースがなくて三角絞めに)入ってこないと思っていた。でも入ってきた。あまり覚えていないが油断した」という。
 柔術黒帯のクレベルに三角絞めを決める場所は関係なかった。
「コーナーでもいつも決めている。スペースのあるないは関係ない。朝倉のミス」
 研究家の朝倉は、事前に「1000回は映像を見た」と語っていたが、クレベルの実力を過少評価していたのかもしれない。
 朝倉は完敗だったわけではない。勝機はあった。
 1ラウンド、2分にかかろうとしたとき、グラウンドの攻防から、立ち上がりさま、朝倉が左フックから右フックをぶちこみ、クレベルの足がよろけたのだ。続けボディを狙った左のミドルに顔をしかめた。だが、朝倉はラッシュをかけなかった。慎重に距離を取り、打撃戦から仕切り直したのである。ガードの上からのハイキックでクレベルがロープに下がるほどのダメージがあったにもかかわらず深追いをしなかった。
「目が死んでいなかった。いきすぎると危ない。寝ても大丈夫な強さがあるので、こっちがうかつに入れない。(ここまでの数分で)強さがよくわかった。。効いていたのは分かっていたが、完全に戦意喪失していなかったので」とは、朝倉の説明。
 クレベル自身も「バランスを崩しただけ。問題はなかった」と振り返ったが、明らかに動きは鈍っていた。
 あくまでも結果論だが、ここで勇気をもって勝負をかけることは、無謀な選択肢ではなかっただろう。2日前、「根性がある方が勝つ」と語ったが、朝倉に恐怖を抱かせ、警戒させた時点で、勝利の女神は、クレベルに微笑みかけていたのかもしれない。

結果的に世界有数の柔術の使い手にダメージを回復させる時間をプレゼントすることになった。朝倉は、投げを打たれたが、次の1手を許さず、2度目の三角絞めを狙われたが、それも回避した。遠くから左のボディフックを叩き込み、ラスト10秒は、壮絶な殴り合い。クレベルは両手で「こいよ!」のジェスチャー。1ラウンドは、ほぼ互角の展開で白熱した。
 だが、インターバルで完全に蘇生したクレベルは、2ラウンドに入ると凄みを見せる。コーナーに朝倉を押しつけると、死角から右のパンチを浴びせ、右ヒジをまるで顔面を潰すかのように超至近距離から何発もめりこませた。みるみる朝倉の右目の上がたんこぶのように変形し、腫れあがった。
「テイクダウンディフェンスをしなくちゃいないので、あの打撃(ヒジ攻撃)を許してしまった。それもクレベルの強さだった。組み力はあまりなかったが、うまかった。組み力が、そんなにないから安心してしまう。打撃に対しての目がよくて気持ちも強い。勝っている意味を理解した」
 ポーランドで5万人を超える観衆の前で、KSWフェザー級タイトルを獲得。鬼神、最強グラップラーと評されたクレベルの超絶テクニックにからみとられた。コーナーに押し付けられてのヒジ攻撃から、そのまま寝技に引き込まれた。「練習を重ねオートマチックにできる」と豪語する三角絞めへとつなげる見事な必勝レシピだった。
 会見を拒否することなく、インタビュールームに現れた朝倉は、淡々と衝撃的な発言をした。
「悔しいがやってよかった。歴史的な東京ドームでの大会でメインを張れたのは自分の宝になる。結果的に(クレベルは)強かった。今後については一度、考える。引退も含めて、ちょっと考えてみる」
 自ら引退というフレーズを口に出したのである。
 昨年11月のRIZINフェザー級王座決定戦で斎藤裕(33、パラエストラ小岩)に微妙な判定で破れた後には、すぐにリベンジを口にした男が、今、引退に気持ちが揺れる。
 その理由をこう続けた。
「格闘技を始めて結構な月日…10年が経った。アウトサイダーから始めて(東京ドームという)大舞台に立てたが…ここで負けたときに格闘技を今後やっていく意味があるのかどうかが、自分の中にある。自分の幻想が打ち砕かれたというか。ここまでだったんだなと自分自身に落胆している。トップを目指せないならやる意味がない。まだ日本の格闘技を盛り上げる役目があるとしたら続けるかもしれないが、それは周りの声を聞いて判断しようかなと」
 クレベルとの実力差を肌で知り限界を悟ったのだ。

元K-1の“カリスマ”魔裟斗とのYouTube企画対談でインスパイアされ、これまでランニングを含めたフィジカルトレーニングをしたことのなかった朝倉が、走り始めたのが約1か月前。「強くなっている実感はあった」というが、打撃練習の基本であるミット打ちもしたことがなかったという。「まだ1カ月で(効果は)ちょっと分からない」も本音だろう。
 RIZINライト級王座決定戦で、トフィック・ムサエフ(アゼルバイジャン)の強力な打撃を封じ、同じく三角絞めでベルトを腰に巻いたホベルト・サトシ・ソウザらが、静岡の浜松に拠点を置く「ボンサイ柔術」のチームとは、あまりにもバックボーンが違った。
「毎日、練習が試合と同じできつい。クレベルらときつい練習をするからチームとして負けられない。日曜だけ休んで1日に3回練習をする。筋トレ、打撃、柔術、MMAと色々変わる」とは、ソウザの証言。
 ちなみに「ボンサイ柔術」とは、ソウザの父のマウリシオ・ソウザが1993年にブラジルのサンパウロで創設した柔術のアカデミー。「ボンサイ」は「盆栽」からきており一人一人の個性に合わせて手塩にかけて育てようという哲学に由来するという。
 グレイシー柔術の系譜を継ぎ、日本人の祖父を持つクレベルは、14歳で、ブラジルから浜松の工場に出稼ぎにきて、磐田市にあったボンサイ柔術の道場で柔術と出会った。
 その祖父コイケ氏が1か月前に他界したという。
 クレベルは、PRIDEで活躍した2人のブラジリアン柔術のレジェンドファイター、ヴァンダレイ・シウバと、アントニオ・ホドリゴ・ノゲイラの名前を出して「シウバやミノタウロ(ノゲイラ)は、選手として出来上がって日本に試合をするためだけに来た。でも私とソウザは違う。工場で働くためにやってきたんだ」と語りかけた。
 生きるために祖国を飛び出した。苦楽を共にしてきた仲間と家族がいる。時代遅れかもしれないが、クレベルには、絶対に負けられないハングリーさがあった。
 朝倉も、よく知られたストーリーの通り、人の道を外れかけたこともあるストリートから這い上がってきたファイターである。だがYouTuberとして巨額な富を手にして、格闘家として不可欠なハングリーさまで見失いかけていたのかもしれない。引退をほのめかしたのは、朝倉自身が、そのことを実感し限界を感じたのだろう。
 堀口戦の敗北以来、約半年ぶりの復帰戦で、執拗な寝技を仕掛けてきた渡部をパウンド8連発による衝撃のTKO勝利で破り、バンタム級GPトーナメントの1回戦を突破した海は、「悔しい。兄貴の努力を見てきた。今まで以上に格闘技と向き合っている姿。勝って欲しかった」と、自分のことのようにショックを受けた。
 そして「引退? そこはまだ話していないが、僕の思いとして、まだやって欲しい、という気持ちがある」と、再起へのエールを送った。海の向こうからは、堀口恭司がツイッターで「未来君格闘技やめないで欲しいな!!」と投稿した。
 榊原CEOもそうだ。
「こんなところで辞めさせる気はない。逃がしはしない。復帰戦の熱烈ラブコールを送りたい。辞めることはしないと信じている。未来がファンの溜飲を下げる戦いに挑んでいく姿を見たい。それをRIZINの舞台で作り出したい」
 そして榊原CEOも、復帰のストーリーには、ボンサイ柔術に対抗できるような新しい練習環境が必要だという持論を展開した。
「プロ格闘家は周りが神格化することがある。自分を見つめ直すいい機会だ。何が足りないのか。今の環境も含めて、ニュー朝倉として生まれ変わるために、どうレベルアップに挑んでいくのか。頭のいい努力家だから色んなことを考えると思う。彼が挑んでいける方向性を作りたい」
 新型コロナの感染拡大によるイベントの人数規制などがかかる厳しい条件下、総合格闘技イベントとしては「PRIDEミドル級トーナメント」以来となる18年ぶりの東京ドーム大会が開催された。
 榊原CEOは、1997年に自らが手がけたヒクソン・グレイシー対高田延彦戦にクレベル対朝倉を重ねた。あの日、400戦無敗のグレイシー柔術家の腕ひしぎ十字に無念のタップをした高田は「ここからが始まり」と言ってドームを後にしたという。高田は、その翌年、また敗れたが、東京ドームでリベンジマッチのリングに立っている。

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☑️Wikipedia【朝倉未来】

☘️ヤフコメ❗️ピックアップ☘️

✅ 小池がオチた朝倉をレフェリーに晒さなかったら地上波で殺人ショーが放映される危険性もあった。この件に関して、RIZINは煽りも含めて重く受け止めるべき。
✅ クレベルのようなスポーツマンシップがあり人格者だったから良かったようなものの、レフェリーも止めるの遅いし、本当に危険でしたよ。
✅ "練習しなくとも俺は強い"これが朝倉未来のメンタルを支えてきた自信だったハズだ。その自信が崩れ去った後、また一から自分を構築し直すということを、28歳の未来が果たして出来るだろうか?なまじアタマがいいだけに、自分すら客観的に判断できてしまう。

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