来週の相場で注目すべき3つのポイント
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✍️記事要約🗒
■株式相場見通し
予想レンジ:上限30500-下限29200円
来週の日経平均は強含みか。週後半の日米中央銀行による金融政策決定会合を終えるまでは指数の大きな動きは見込めなさそうだが、米長期金利の落ち着きを背景に今週後半から見られるハイテク・グロース(成長)株の持ち直しが継続すれば、強含みの展開が想定され、金融政策イベントを終えた後には、あく抜け感による上放れの展開が期待される。
米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果を反映するのは18日になり、日銀金融政策決定会合の結果は週末19日の場中に反映される。米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は、先に行われたウォールストリートジャーナル主催のイベントでのインタビューにおいて、その折上昇中だった米長期金利について「注意を払うものだった」としながらも、長期金利の上昇を抑制する具体策には特段言及しなかった。
これが失望感を誘う形で一時は再び長期金利が急伸し、日米の株式相場に短期的なショックをもたらしていた。このような背景から、しばらくの間はFRBからは特段の具体策の発表はないだろうという市場コンセンサスが既に形成されつつあると考えられる。そのため、今回のFOMCはそこまでの大きな波乱にはならないとも考えられる。
むしろ、すでに一度期待を裏切られる形で期待値が下がっている分、何もなければ想定通りという形で市場は過敏な反応を示さず、反対に、具体策への言及などがあればポジティブサプライズとなって相場上昇に弾みをつける可能性がある。テーパリング(量的緩和の縮小)など現状では想定しにくい議論に踏み込みでもしない限り、イベント通過に伴うあく抜け感から相場はポジティブに反応する可能性が高いのではないか。
また、今週末は場中に日銀が翌週の金融政策決定会合で年6兆円ペースとしている上場投資信託(ETF)購入原則を削除する方針との報道もあったが、市場の反応は限定的だった。このため、週末の日銀金融政策決定会合についても波乱は起こりにくいと考えられる。イベント通過後の一段の上昇に期待したい。
また、米バイデン政権が掲げる1.9兆ドルの大規模な追加経済対策が11日に成立し、早ければ今週末から家計への現金支給が始まる予定だ。米個人投資家の懐が潤えば、再び人気グロース銘柄が動意づき、東京市場にも同様の動きが波及する可能性もあろう。
もちろん、今年4月頃からは、前年比ベースでの物価指標の上振れが警戒されており、インフレ懸念による長期金利の上昇というリスクシナリオがなくなったわけではない。しかし、上述の背景から、目先は上目線でいてよいと考える。
■為替市場見通し
来週のドル・円はドル・円はもみ合いか。3月16-17日開催の連邦公開市場委員会(FOMC)の会合では、長期金利の過度な上昇を抑えるための具体的な措置について議論される可能性がある。少なくとも、緩和的な政策方針を改めて示すとみられ、ドル買い・円売りはやや縮小する可能性がある。日本銀行は18-19日開催の金融政策決定会合で、金融政策の現状維持を決定すると予想され、10年金利の変動幅を拡大する可能性は低いとみられる。日本の長期金利は伸び悩む可能性が高いが、米長期金利が上げ渋った場合、リスク選好的なドル買い・円売りは一服しよう。
ただ、パウエルFRB議長をはじめ、米金融当局は長期金利の上昇について、「米国経済の回復を反映している」との見方を伝えている。新型コロナウイルスの感染抑制によって景気見通しは改善しつつあること、1.9兆ドル規模の追加経済対策法案の成立を意識して、リスク回避的なドル売り・円買いが広がる可能性は低いとみられる。
■来週の注目スケジュール
3月15日(月):日・コア機械受注(1月)、中・鉱工業生産指数(2月)、中・小売売上高(2月)、米・ニューヨーク連銀製造業景気指数(3月)など
3月16日(火):ウイングアーク1stが東証1部に新規上場、ヒューマンクリエイションホールディングスが東証マザーズに新規上場、米・小売売上高(2月)、米・鉱工業生産指数(2月)、米・連邦公開市場委員会(FOMC)(17日まで)など
3月17日(水):日・貿易収支(2月)、米・住宅建設許可件数(2月)、米・パウエルFRB議長記者会見など
3月18日(木):i‐plugが東証マザーズに新規上場、日銀政策委員会・金融政策決定会合(19日まで)、米・フィラデルフィア連銀製造業景況指数(3月)、米中外交トップが会談など
3月19日(金):黒田日銀総裁が会見、ココナラが東証マザーズに新規上場、T.S.Iが東証マザーズに新規上場など
3月21日(日)日・首都圏1都3県に発令中の緊急事態宣言の期限
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