菅自民が全敗 自民離れ止まらず
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秋までに必ずある衆院選を前に、菅義偉政権に少なからぬダメージをもたらす結果となった。25日、衆参3選挙での与党「全敗」-。政権発足後、初となる国政選挙で、自民党は特に保守地盤の厚い参院広島選挙区に注力したが、再選挙の原因である「政治とカネ」問題への逆風に加え、新型コロナウイルス「第4波」を防げなかったとの批判に抗しきれなかった。首相の「選挙の顔」としての求心力が低下するのは避けられず、衆院解散を巡る判断、総裁選での再選戦略にも影響が及ぶのは必至だ。
自民は今回、参院広島選挙区を「絶対に負けられない戦い」と位置付けた。衆院北海道2区補欠選挙は不戦敗を余儀なくされ、参院長野選挙区補選は野党現職の死去に伴う「弔い合戦」のため、当初から劣勢。これに対し広島は、選挙買収事件で有罪が確定した河井案里氏の当選無効を受けた再選挙ではあるものの、自民の「牙城」で勝算が高いと踏んでいた。
2月に突如、河井氏が参院議員を辞職したのも、3月15日までに辞めれば北海道、長野の補選と同日程で再選挙が行われる公職選挙法の規定を生かし、自民サイドが「1勝」を稼ぎにいく戦略だったとみられる。
ただ、不祥事の「つけ」は想定より重かった。
2019年の参院選で河井氏を熱烈に支援した首相らは買収事件の余波で応援に入れず、地元をはいつくばって1票を積み上げる実動部隊の県内の地方議員も運動量を上げられない。全国のコロナ新規感染者数は告示後に増加の一途をたどり、皮肉にも政権は投開票日である25日から3回目の緊急事態宣言を発出せざるを得なくなった。首相に近い自民幹部が23日時点で、「事件のしこりが残る選挙で負けは仕方ない」と記者団に予防線を張るほど、政権はコーナーに追い込まれていた。
衆院解散に関し、首相は23日の記者会見で、9月30日の総裁任期満了前に踏み切る考えをほのめかした。夏の東京五輪・パラリンピックを成功に導き、その余勢を駆って解散を断行。一定の勝利を獲得して「国民の信を得た」とアピールし、総裁選を無投票再選に持ち込むのがメインシナリオだ。
だが、ただでさえ無派閥で党内基盤の弱い首相の求心力は、今回のトリプル選全敗で深く傷ついた。自民は1月の山形県知事選、3月の千葉県知事選で推薦候補が連敗し、1月の北九州市議選でも現職6人が落選するなど地方選でも不調が続く。10月に衆院議員の任期満了を控える中、「選挙の顔」の資格に強い疑問符が付けば、力の源泉である解散権を実質的に封じられたり、党内のムード次第で「菅降ろし」が表面化したりする可能性もゼロとは言えない。
政策面では、首相が「最優先課題」と位置付けるコロナ対応の行方が注視される。「(人に任せず)全部を自分で決めたがる性格」(官邸スタッフ)と言われる首相は、これまでも緊急事態宣言の是非や観光支援事業「Go To トラベル」の停止などを巡り、決断のぶれや迷走を指摘されることがあった。選挙の敗北が政権支持率にマイナスに作用した場合、首相がその時々でより的確、合理的な意思決定を行っていく政治基盤も損なわれる事態が有り得る。
九州選出の自民中堅衆院議員は、今後の政治情勢をこう占ってみせた。
「今回の負け戦で、有権者の『自民離れ』の底流が変わっていないことが裏付けられた。一気に『政局』になるかもしれんよ」
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☑️Wikipedia【衆院選】