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試合後にボクサー死亡 事故に結論[2024.7.11]

試合後にボクサー死亡 事故に結論

【記事詳細】Yahooニュース

✍️記事要約

✅ 「穴口選手の命を無駄にするな」事故検証委員会が報告した結論とは…再発防止の第一歩としてJBCとJPBAが合同で医事講習会を実施

プロボクシングのJBC(日本ボクシングコミッション)とJPBA(日本プロボクシング協会)の合同主催による医事講習会が5年ぶりに後楽園ホール展示場でジムの関係者79人が集まり開催された。昨年12月の日本バンタム級タイトルマッチのダメージが原因で逝去した穴口一輝選手の問題を調査していた事故検証委員会からの報告並びに再発防止策が明らかにされ、JBCは提案されたジムに健康管理責任者を置くことを義務づけることや、セコンド4人制、タオル投入などの改善策に乗り出すことになった。また目に余る体重超過の対策として専門家を招き「水抜き減量のメカニズムと危険性」についての講習会も開かれた。

講習会の冒頭で、JBCの萩原実コミッショナーが、こう挨拶した。
「プロボクシング界の課題として、健康管理と安全性の向上が重要な位置づけとなっている。まことに悲しい出来事、穴口選手と坂間(叶夢)選手のご逝去があった。たゆまない安全向上を求め、この先のボクシング界を運営していきたい。(この講習会が)少しでもお役に立つことを念じて、実りある時間を提供できることを確信している」
 そしてJPBAのセレス小林会長も「事故が限りなくゼロに近くなる業界にしていきたい」との誓いを口にした。
 悲しい事故が起きたのは、昨年12月26日に有明アリーナで優勝賞金1000万円の「井上尚弥4団体統一記念杯・バンタム級モンスタートーナメント」決勝として行われた日本同級タイトルマッチ。穴口選手が王者の堤聖也(角海老宝石)のベルトに挑戦した試合は、挑戦者が4度ダウンを奪われながらも、不屈の闘志で盛り返し、10ラウンドまでもつれる大激戦となった。最終ラウンドにダウンを奪った堤が判定で勝ったが、試合終了直後のリング上で穴口選手の足が痙攣するなどの異変が起き、その後、医務室で意識を失い、救急車で救急搬送され、脳外科医が2人待機していた病院でただちに開頭手術を受けた。
 その後も意識が戻らない状況が続き、2月2日に帰らぬ人となった。この試合は2023年度の年間最試合(世界戦以外)に選ばれた。
 JBCは弁護士の岡筋泰之氏を委員長に法律、医学、メディア、試合運営などの専門家6人による事故検証委員会を立ち上げ、3度の委員会を開き、関係者のヒアリングなどを行った上で、事故の原因調査及び安全管理の検証、そして今後の再発防止策をまとめた。
 その「事故検証委員会報告並びに再発防止策」の発表は、コミッションドクターである野中雄一郎氏(慈恵医大脳神経外科・教授)から行われた。
 委員会の調査、報告によると、後方視的に見て、試合を通して穴口選手にダメージの蓄積があり9ラウンドまたは10ラウンドに「右急性硬膜下血腫」を発症した可能性はあるが、試合を中断させるまでの異常挙動は認められず、事故の兆候を見つけることは難しく「試合を最後まで継続したJBC及びレフェリーの判断に大きな問題はなかった」とされた。
 穴口選手は、試合後、足が痙攣したが、自力歩行でリングを降りて控室に向かったが、徐々に意識が低下し、トレーナーの肩を借りて医務室に入り、待機していた救急車で19時45分に有明アリーナから病院へ搬送された。20時10分ごろに到着し、21時からただちに開頭手術が行われるなど、措置は敏速に行われたことが確認された。
 自力歩行させ、担架を使わなかったことに批判的な声はあったが、医学的見地から野中氏は、「担架を使ったからといって症状の軽減または死亡結果の回避につながったと断定することはできない」との見解を示した。
 また穴口選手が計量後の当日体重がリミット(53.52キロ)より11%(5.88キロ)も増加しており、減量に苦しんでいた形跡が見られることから、体調管理、試合までのスパーリング、トレーニングの状況なども調査された。だが、真正ジム側に穴口選手の体重などの管理状況を詳しく知る関係者が少なく「詳細を知ることができなかった」という。そのため報告書では「これらにまったく問題がなかったと即断することはできない」と結論づけられた。

これらの調査結果をふまえ、同委員会は、再発防止策として、マッチメイクや、試合運営、JBC、ジム側の安全管理、事故防止のための研修の必要性など、7つの提言をまとめ、「ルールの見直しを含めた抜本的な防止策を検討することが望まれる」と要望した。
 再発防止策として、具体的なものがいくつかあり、無理なマッチメイクが行われる可能性のあるトーナメント大会への出場資格の厳格な精査、ジムに「健康管理責任者」を置くことを義務化して、ライセンスを発行、試合時のセコンド人数を現行の3人から4人に増やして、そのうちの一人を「健康管理責任者」が務め、選手の健康状態を客観的にチェックすることなどが提言された。
 その提言を受けて、JBCの安河内剛本部事務局長は、「穴口選手の事故を風化させてはならない。健康管理のサポートを受ける専門機関にアクセスしやすい環境を作ることも必要で、セコンドからのタオル投入などを含めたルールの見直しを早急に進めていきたい」とアクションを起こすことを約束した。
 穴口選手の対戦相手だった堤も7日に両国で行われた井岡一翔(志成)の統一戦のセミファイナルで7か月ぶりにリングに復帰し、ウィーラワット・ヌーレ(タイ)を4回TKOで下した。リング上で堤は、「ボクシングをやっている奴らは、みんなそれぞれの思い、人生を背負ってやっている。そういうメンツの中で僕も戦ってここにいるし、これからそういう強い王者たちに挑んでいく。ボクシングを本気でやっている奴らのぶつかり合いは、殴り合いだが人は美しいという感情を抱く。それがボクシングの魅力。その競技を今もこうやって続けられることに感謝して誇りに思う」とのメッセージを伝えた。
 また、この日は、ここ最近目に余る体重超過の原因となっている水抜き減量法についての正しい知識を知ってもらおうと、専門家のスポーツトレーナー桑原弘樹氏を招き、講習会が開かれた。桑原氏は、江崎グリコでサプリメントの開発責任者を務めるなどしたトレーニングの専門家で、ボディビルダーとして自らの体で減量についての実験も繰り返し、柔道の全日本クラスの選手や、ボクシングでは元3階級制覇王者で現在大橋ジムでトレーナーを務める八重樫東の減量指導も行ってきた。またトレーナーとしては「桑原塾」という講習会を定期的に開き、現在、阪神タイガースのコンディショニングアドバイザーも務めている。
 桑原氏は、水抜きのメカニズムと、その弊害、そして塩抜き、ウォーターローディングなどの具体的な減量方法を指南しながら、「水抜きは健康に悪い危険な行為。決して勧められないが、プロボクシングという規格外の世界で戦う人たちが減量する上では必要悪。何もエビデンスはないが、普段から節制して、まず体脂肪を落として、水抜きに頼るのではなくうまく活用すること」と訴えた。
 また水抜きの最中に激しいトレーニングを重ねるなどのやってはならない禁止事項も併せて紹介された。

水抜きでこれまで落ちていた体重が急に落ちなくなることが計量失敗の大きな原因となっているが、桑原氏は、「人間には“ホメオスタシス”と呼ばれる体内の血液などの状態を一定に保つ機能が備わっていて、それらが発動して、体から水分が出ていくことを防ぐのです」と説明した。
 あくまでも最後のプラスアルファで、通常体重の2%に留めることや、計量後の回復に電解質を含んだ水などを使い時間をかけてリカバリーする重要性などを語った。
 質疑応答では、ジムのトレーナーが具体的な実践例を明かして、「それでいいのかどうか」を桑原氏に確認するシーンもあったが、これといった模範例がないのが現状。
 JBCの安河内本部事務局長は「選手も、もちろん、管理するジム側も減量に対しては高い意識を持って取り組んでもらいたい。プロなんだからオフにも体重を管理するのは当然の行為。そのプロ意識を徹底してもらわねばならないし、我々も今後も啓蒙努力を続けていきたい」と言う。WBCでは、選手が日々の体重や体調を打ち込みチェックするアプリを導入しているそうだが、JBCも、そういうアプリなど健康の自己管理を手助けする方策を練りたいという。また講習の最後には、年内に導入予定の薬物検査についての説明があった。大麻や覚せい剤などの使用をその場でチェックできるキットで、月に何試合かを選び、試合後に抜き打ちで検査する予定だという。
「使用者を摘発するのではなく、牽制、啓蒙が目的」ですでに導入しているラグビーのリーグワンなどと情報を交換しながら、今回、採用されることになった。ボクシング界に薬物が蔓延することを未然に防ぐのが狙いだ。
 最後に。
 野中コミッションドクターは、穴口選手の命を奪ったリング禍の主な原因となっている急性硬膜下血腫がなぜ起こるかの医学的なメカニズムを実際のCT映像などを使って詳しく説明した。2009年から2023年までプロボクシングの公式戦は2万2655試合行われ、リング事故の発生は24件、そのうち5件が死亡事故だったという。0.02%の確率であるが、セレス小林会長が誓ったように限りなく0%に近づける努力を怠ってはならない。
(文責・本郷陽一/RONSPO、スポーツタイムズ通信社)

  
■英訳 

The medical seminar jointly organized by the Japan Boxing Commission (JBC) and the Japan Professional Boxing Association (JPBA) was held at the Korakuen Hall exhibition space for the first time in five years, gathering 79 gym officials. During the seminar, the Accident Investigation Committee, which had been investigating the death of Kazuki Hanaguchi following the damage sustained in the Japanese Bantamweight Title Match last December, reported its findings and preventive measures. The JBC decided to implement measures such as appointing a health management officer at gyms, increasing the number of seconds to four, and allowing towel throws.

In addition, a seminar on the mechanisms and dangers of rapid weight loss was conducted by an expert to address the growing issue of weight overage.

At the beginning of the seminar, JBC Commissioner Minoru Hagiwara addressed the participants, saying, "Health management and safety improvements are critical issues in professional boxing. We have experienced the tragic deaths of Kazuki Hanaguchi and Kanmu Sakama. We aim to continually enhance safety and hope that this seminar will be of some benefit." JPBA Chairman Celes Kobayashi also expressed his commitment to reducing accidents in the industry as much as possible.

The tragic incident occurred on December 26 of last year during the "Naoya Inoue Four-Belt Unification Memorial Cup Bantamweight Monster Tournament" final at Ariake Arena, where Hanaguchi challenged champion Seiya Tsutsumi for the Japanese title. Despite being knocked down four times, Hanaguchi fought back with unwavering determination, leading to a fierce battle that lasted until the 10th round. Tsutsumi won by decision, but Hanaguchi experienced convulsions on the ring immediately after the match, lost consciousness in the medical room, and was rushed to a hospital where he underwent emergency brain surgery. Unfortunately, Hanaguchi never regained consciousness and passed away on February 2. This match was later selected as the best match of 2023 (excluding world title fights).

The JBC established an Accident Investigation Committee chaired by lawyer Yasuyuki Okasuji, which included experts in law, medicine, media, and match operations. The committee held three meetings, conducted interviews with stakeholders, and investigated the cause of the accident and safety management. The findings and recommendations for preventing future accidents were presented by Commission Doctor Yuichiro Nonaka (Professor of Neurosurgery at Jikei University School of Medicine).

According to the committee's investigation and report, Hanaguchi likely developed an "acute subdural hematoma" during the 9th or 10th round due to cumulative damage, but there were no abnormal behaviors warranting a stoppage of the match. Therefore, the JBC and the referee's decision to continue the match was deemed appropriate.

Hanaguchi walked to the medical room with assistance after experiencing convulsions post-match, but his consciousness gradually declined. He was transported to the hospital at 7:45 PM and underwent emergency brain surgery at around 8:10 PM. The committee confirmed that the measures taken were prompt and appropriate. Despite some criticism for not using a stretcher, Dr. Nonaka stated that using a stretcher would not have definitively prevented the fatal outcome.

The committee also investigated Hanaguchi's weight management, noting that he gained 11% (5.88 kg) of his weight back after the weigh-in, indicating he struggled with weight loss. However, the gym had few people knowledgeable about Hanaguchi's weight management, so it was concluded that it could not be definitively stated there were no issues.

Based on these findings, the committee proposed seven recommendations to prevent recurrence, including strict scrutiny of tournament entries, appointing a health management officer at gyms, increasing the number of seconds from three to four (with one being the health management officer to objectively check the boxer's condition), and reviewing rules such as towel throws. JBC Secretary-General Tsuyoshi Yasukochi pledged to ensure that Hanaguchi's accident is not forgotten and to create an environment where gyms can easily access health management support and to swiftly revise rules for towel throws.

Seiya Tsutsumi, Hanaguchi's opponent, returned to the ring after seven months, defeating Veerawat Nure (Thailand) by TKO in the fourth round in the semi-final of Kazuto Ioka's unification match at Ryogoku. Tsutsumi expressed his gratitude and pride in continuing to compete in boxing, acknowledging the dedication and lives of those involved in the sport.

The seminar also included a lecture by sports trainer Hiroki Kuwahara on the correct knowledge of rapid weight loss methods, which have been causing recent weight overages. Kuwahara, a training expert who has worked on supplement development at Ezaki Glico and trained top athletes, explained the mechanisms and dangers of rapid weight loss and proper methods such as "water loading" and "salt depletion." He emphasized that rapid weight loss is dangerous and should be avoided but recognized it as a necessary evil for professional boxers, urging them to use it wisely.

During the Q&A session, gym trainers shared their weight management practices, and Kuwahara provided feedback. Yasukochi emphasized the importance of professional boxers managing their weight even during the off-season and expressed the JBC's commitment to continuing educational efforts. The JBC is also considering introducing an app to help boxers manage their health, similar to the one used by the WBC.

The seminar concluded with an explanation of the drug tests to be introduced later this year, aiming to prevent the spread of drugs in the boxing world. The tests will randomly check for substances like marijuana and stimulants after matches.

Lastly, Dr. Nonaka detailed the medical mechanisms behind acute subdural hematomas, the primary cause of Hanaguchi's death, using actual CT images. From 2009 to 2023, 22,655 professional boxing matches were held, with 24 ring accidents, including five fatalities, a 0.02% occurrence rate. As Chairman Kobayashi vowed, efforts to reduce this rate to as close to 0% as possible must continue.

(Written by Yoichi Hongo/RONSPO, Sports Times News Agency)

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☘️ヤフコメ❗️ピックアップ☘️

✅ ボクシングは階級に分かれており、一つ階級が違うだけで、パンチ力だけでなく耐久力や技術面も大きく変わってきます。そのため、ボクサーは自分に有利な階級で戦おうとし、大幅な減量が必要になります。そんなボクサー達が実践しているのが水抜きとなります。最近主流となっている短期間での大幅な水抜きは、正しいやり方で実践しないと命を危険にさらすことになります。今後、選手向けにも講習などが必要になるでしょう。
✅ 急性硬膜下血腫は、頭部に衝撃が加わることで、脳の表面にある動脈が傷ついたり、脳の太い静脈に裂け目ができたりして起こります。血管が傷ついて出血が始まるのは衝撃が加わった時ですが、症状が出るのは、ある程度、頭蓋骨の内部に血液が溜まって、脳が圧迫されてからということがあります。
最初は喋れていたのに、突然昏睡状態になる、というのは交通事故などでも見られる現象です。そして意識が悪くなるような状態になると、特に若い方では脳の萎縮が少ないこともあり、頭蓋骨の内側の圧はかなり高くなっていることがあります。
最初は頭痛程度で、それが悪化していくと考えられますが、ボクシングの、特に大事な試合などでは興奮状態でもあり、気付かれにくい可能性もあるでしょう。
✅ 長身ボクサー、骨格が大きいボクサーなどは減量苦だと試合どころではない場合もあります。前日計量でなんとか体重を落としたまではいいけど試合当日、手数が出ない、相手を追えない、パンチを受けたら普段以上に効いてしまう。こういう時がリング過が起こりやすくなりますので、減量きついボクサーは1つ上の階級で戦うのをジムの会長、トレーナーも了承して欲しいものです。

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