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20年で9630万貯金、45歳彼が節約に目覚めた必然[2023.9.17]

20年で9630万貯金、45歳彼が節約に目覚めた必然

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✍️記事要約

✅ 20年で9630万貯金、45歳彼が節約に目覚めた必然――氷河期世代は『カイジ』の世界に自分を重ねた

社会人になって以来、FIREを目指してひたすら節約生活に励み、勤続20年4カ月(2023年8月時点)で9630万円の貯蓄をした絶対仕事辞めるマンさん。X(旧Twitter)ではブラック企業での日常や質素な食生活を発信して注目を集めているほか、ブログ『氷河期世代がブラック企業でアーリーリタイアに挑む』を運営中だ。

現在45歳の彼は、まさに就職氷河期世代。苦労して入社した企業はパワハラやサービス残業は当たり前。節約を始めたきっかけを「意識の高い動機は一切なくて、ブラックな職場から逃げ出したいと思って始めました」 と話す。節約貯金生活は、純粋な生存本能からきているのだという。
本記事では、節約系YouTuberである私くらま(「倹者の流儀」)が、詳しい経緯や資産形成の道のりについて話を聞いた。

■倹約家じゃなかった学生時代、しかし氷河期が彼を襲う…

 超ストイックな節約生活を発信されている絶対仕事辞めるマンさん。しかし、学生時代は今と全く違う生活を送っていた。

 「学生時代は全然節約家じゃなくて、飲みにも行っていたし、バイトしてブランド物を買ったり、あるお金は全部使うみたいな感じでした。普通の学生というか、今よりもまともだったかもしれません。
 奨学金は総額で約200万になりましたが、就職すれば何とかなるだろうという感覚で、特に危機感や不安は感じていなかったです」

 しかし、学生時代も終わりに差し掛かると厳しい現実が待っていた。絶対仕事辞めるマンさんが就職活動をした2002年は就職氷河期と言われる年代。2002年1~3月期の有効求人倍率は、0.51倍と就職氷河期の中でも底のほうだった。

 「みんな50社くらい落ちるのが普通で、本当に就職が決まらないんですよね。落ちるのが普通の時代で。希望する会社に行きたいじゃなくて、とにかく何かで正社員になれればいいみたいな。私もそれに漏れず、とにかく何か受かればという感覚になっていました」

就職氷河期を象徴する出来事として、“逆学歴詐称 ”がある。それは、大学を卒業したのにもかかわらず、学歴を高卒と偽って公務員試験を受けることだ。その後、詐称が発覚して問題になったケースが全国で複数報告されている。

 「みんななりふり構わず職を求めていた、そういう時代でした。就職が決まらず、非正規で働く人も多かったです」

 今のように、フリーランスや多様な就業スタイルが増えてきた時代ではなく、就職=正社員の価値観の時代。そんな中で、真面目に努力を重ねて就職活動をしても、就職が決まらず苦労する人が多かった。
 最終的に、絶対仕事辞めるマンさんは正社員での仕事が決まり、それが現在まで働いている会社である。しかし、安泰とはいかなかった。入社日には衝撃的な光景が待っていた。

 「入社初日に、非常にブラックな会社だと知りました。社内では恫喝されている人がいて。私らの上の世代はバブルとか団塊の世代になるんですよね。彼らはモーレツ社員とか言われた時代で、怒鳴り散らすのも罵倒するのもごく普通。残業も当たり前。もちろん残業代は出ない」
 かといって、新卒での就職が厳しい就職氷河期で、既卒からの転職はさらに厳しい状況である。絶対仕事辞めるマンさんは、いくらパワハラがあっても我慢するしか道はないと感じたという。

 「絶望的な気分になりました。そこで脳のスイッチが完全に切り替わりました。ほかに行くところもないなら、ここで歯を食いしばって一生分のお金を貯めて逃げようと、それが今に至る超節約生活の始まりでした」

■『賭博破戒録カイジ』の世界に自分を重ねた
 当時、『週刊ヤングマガジン』(講談社)では、『賭博破戒録カイジ』 の連載をしていた。

 「その頃のカイジは地下強制労働編だったんですよ。気持ちとしては、まさに自分も地下強制労働施設に来てしまった感覚です。そこから抜け出すために、カイジのように貧窮生活を耐え抜いて、私は“一生外出券”を手に入れよう、そんなことを考えた記憶があります」

 『賭博破戒録カイジ』の中では、カイジが地下労働施設でもらった給料の使い方で葛藤するシーンがある。一日の過酷な労働を終えた後、目の前にはよく冷えたビールと香ばしい焼き鳥の誘惑。欲望に流されるか、この環境から抜け出すためにお金を貯めるか、悩み葛藤する。私(くらま)も非常に好きなシーンである。

 「あのシーンは、当時の自分には強烈に感じるものがありましたね。でも、カイジのように欲望に負けたら駄目だと思って、めちゃめちゃストイックに踏ん張りました。節約を続けていると、カイジにとってのビールや焼き鳥が、誰しも目の前に現れます。私は20年にわたって、ひたすらその誘惑に耐えてきました。今日を頑張るを続けてきた明日が今なんです」

 明日から頑張るのではない、今日だけ頑張るんだ……その積み重ねが、絶対仕事辞めるマンさんの現在を形作った。
■幸せのハードルが低いから何をしても豊か

 こうして『賭博破戒録カイジ』の主人公・カイジに自分を重ねながら始まった超節約生活。

 初任給は手取りで約19万円。その中から4万5000円のみを生活費として使い 、残りを全部貯金した(最初の3年間は、15万円のほうから奨学金を返済していたが、株で運良く儲かったタイミングで一括返済した)。会社の寮があり、家賃がかからなかったのも節約に大きく貢献した。

 「寮はボロボロで本当にカイジの世界観でした。嫌がって出る人もいましたけど、私はそこで耐えましたね。家賃に5万~6万円使ってしまうと貯金ができないので。20年経った今でも家にはお金をかけていなくて、質素な賃貸に住んでいます」
 社会人を始めて4~8月のわずか5カ月で、ボーナスも含めて80万円くらい貯めた。驚異的なスピードである。

 「労働時間が長すぎて お金を使う暇も気力もないということもありました」

 特に趣味もなく、娯楽費はほぼゼロ。そう聞くとなんの楽しみもない人生に思えるかもしれない。しかし、幸せのハードルが低くなったのは、長い目で見れば良いことだった。

 「豊かさや幸せって相対的なものなのかなと。私の場合は会社が辛すぎて普段の生活が苦しすぎるので、ちょっとした休みでもそれだけでめちゃくちゃ嬉しいんです。食事も自分は何を食べてもうまい。幸せのハードルが低いから、何をやっても豊かなのかなとか思いますけどね」

絶対仕事辞めるマンさんは節約のほかにも、ポイ活も精力的に行い、月々かなりのポイントを貯めて生活費に充てている。

 現在の年収は500万~600万円程度(出張や業績に応じて変動)。収入が変わっても、生活水準は上げていない。

【絶対仕事辞めるマンさん 1カ月の生活費内訳】
家賃:3万円
食費:3~4万円(優待、金券、ポイ活などで賄うため、現金での支払いゼロ)
水道光熱:1万円
日用品:3000円
車両費:8000円(車検、保険料も入れた月々の平均金額)
娯楽:ほぼ0円
※その他年間予算(健康診断、冠婚葬祭などで年間約10万円程度。熱心に勉強をしていた時期は年間5万~6万円程度を勉強代に支出)

■今のFIREブームに対して思うこと

 最近、絶対仕事辞めるマンさんのX(旧Twitter)を見始めた人は、彼のことを「節約の人」と思っているかもしれない。もちろんそれも間違いではないが、社会人1年目から投資にも興味を持ち、本を買って猛勉強をしていた面も持っている。
 その後、株式投資で順調に資産を増やすが、投資に関してはリーマンショックを経て考え方が変わったそうだ。

 「順調な株で儲けた分もあるから、トータルではプラスなんですけど、やはり投資って怖いと再認識しましたよね。だから、今は資産における株式比率は全体の1割くらいで、9割近くは現金です」

 最近ではNISAやiDeCoを政府が積極的に推進していたり、インフレ対策として「銀行にお金を預けっぱなしにするのはもったいない」という考え方が普及しつつある。
 しかし、絶対仕事辞めるマンさんは現金比率が9割と、本連載で紹介してきた節約家の中でもトップクラスに現金保有率が高い。

 「確かにS&P500などの今の年率を考えると、もったいないのかもしれません。でも、私はやはり株の変動が好きじゃなくて。もし今の資産の多くを投資に回すと、毎日100万円単位とかでお金が動くと思うんですね。

 私はそれが怖くて耐えられないです。リーマンショックという大きなリセッション経験しているから、下がったときに本当に居ても立ってもいられないんで。だから心の安定を取りました。今の割合だと20万円とか30万円の変動しかないんで、安心して寝られる状態です」

■株価が右肩上がりでも…

 今は“FIREブーム”とも言われ、若いころから投資などでお金を貯め、FIREを目指して積極的に投資をする人が増えている。資産の9割を株に入れるような人も珍しくない。

 「個人的には、あまりにも過大に金融リスクを取るのは心配ですね。下手をすれば今あるものすら失いかねない。そこに違和感を覚えるわけですよ。そこまでリスクを取らなければ、少なくとも今ある生活は守れるはずなのに」

 大きなリセッションを経験したからこそ、見方が変わったという。それは理論というよりも、人間心理の話だ。
 「長期的にプラスと頭でわかっていても、平静ではいられないと思います。落ちるときは何百万円とか1000万円とか含み損が出るわけで。そうすると、ちょっと回復した頃、マイナス1000万円がマイナス600万円ぐらいまで回復する瞬間があると、『もうここでいいわ!』と売っちゃうんですよ普通は。マイナス1000万円がプラス1000万円に復活するまで持っていられる人ってそんなにいるのかなって、経験した中では思いますね」
 含み損の状態で、精神的に耐えきれるかどうか。精神力の強靭さが試されるのであり、人間はそんなに強くないという。

 「またカイジに例えちゃうんですけど、今の右肩上がりでの投資って、横断歩道の白線の上を歩くような感覚で。それが大きなリセッションになると白線の上じゃなくてあのカイジの鉄骨渡りになるわけですよ。理論上はまず渡れるはずなのに、恐怖や不安で判断ミスをして9割ぐらい落ちてしまう」

 そんな彼に、約20年間、ブレずに強い気持ちで節約貯金をしてきた秘訣を聞いてみる。
 「とにかく会社から逃げたいという非常に強い目的意識があったからこそ、この生活を継続できて自然に節約貯金に成功したっていう感じですね。あとはコスト意識。これはなんとなく手当たり次第に節約をするのではなく、節約した場合の費用対効果をきちんと数値で把握すること、数字に強くなることが大事です」

■節約は今を我慢して幸福を先送りにしているのか? 

 私(くらま)自身も、徹底的な節約生活をしている。こうした生活をしていると周りから「若いときの楽しみは、年を取ってからお金を使う楽しみと違う」「今をもっと楽しんだほうがいい」などの意見をいただくことも多い。絶対仕事辞めるマンさんは、このような考えとどう折り合いをつけているのか聞いてみた。

 「そうですよね。今を楽しむのも全然悪くはないとは思うんですよね。今を楽しんだからって、将来もさほど悲惨にならないような気もします。これは最終目的がどこなのかによって、人それぞれが最適化していくものだと思います。私の場合は『とにかく会社から逃げたい』という確固たる目的意識が一番の優先事項でした。特に目的がなければそれなりに使ってもいいように思います」

 絶対仕事辞めるマンさんにとって節約は、今を我慢して幸せを先送りにするという感覚では一切なく、むしろ今を生きるために必要なことだったのだという。就職氷河期を経てのブラック企業就職、節約貯金とは、そんな不遇ともいえる状況で自分の身を守るためにたどり着いた1つの答えだった。
 「私の思いとしては、お金を貯めることは不幸を避けるためのものなんですよね。決して、幸福になるためのものというわけではありませんでした。だから貯まったお金を使えば自動的に幸せになるかというと、決してそうではないと思います。幸福を求める行為は、それは別途何かで求めていかなきゃいけないと考えています」

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☘️ヤフコメ❗️ピックアップ☘️

✅ 同じく氷河期世代です。
人生折り返し地点を通過し、中年となりふと思うのは、何をしても若い頃より欲求も体力も気力も減退していることに気付きます。
やはり、ある程度若い頃にあらゆる体験をすべきだとと思います。人生一度きりですから。
とはいえ、45歳で一億近くあるならば心の安泰もあるでしょうし、質素倹約の過酷な経験は人生後半戦に役立つと思います。
羨ましい人生とは思わないけど、貯蓄額は羨ましいです。
✅ 数年ならこの暮らしでも我慢できるけど20年も逃げたいと思うような職場に居続けて何の楽しみもないのは人生無駄にしてる気がする…
会社から逃げるのが目的なら、スキルを身につけるなり、資格を取るなりして転職することもできるし20年も辞めたくて仕方ないブラック企業にいる理由がわからない
おそらく逃げたいと言いながら今の生活に楽しさを見出して満足してるんだと思う
✅ 氷河期です。
低賃金ですがそこそこの規模の会社の正社員事務員に、30半ばにやっとありつけました。
組合がしっかりしているのでリストラはさほど心配することはないと思われます。
一応難関と言われる国家資格も取得し、万一の場合は独立しようと思っており、貯金や投資にも精を出しています。
現場の方々には感謝しておりますが、私自身はもうこの人生で接客業とか肉体労働とか缶集めとか、絶対したくないと思います。若い頃大分貢献したと思いますし。
両親の介護も、歳を取ってきたからのちょっとした手伝いも両親の経済的余裕を使ってして欲しいと思います。とにかくもう体を使う仕事は嫌です。そのために頑張っていきたいです。

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