4回目接種進むイスラエルでも1日6万人感染の現状［2022.1.25］

中東イスラエルでは、新型コロナウイルスワクチンの4回目の接種が始まっているが、依然としてオミクロン株の感染は拡大している。

イスラエルでは、2021年12月から、60歳以上や医療従事者などへの4回目の接種が始まった。

これまでの接種率は、1回目が70％以上なのに対し、2回接種を完了した人は65％、3回目はおよそ54％と徐々に減少している。

市民「（4回目接種するかは）みんな様子を見たいのだろう」

一方、イスラエルでは、マスクの着用が義務づけられるのは屋内の商業施設や公共交通機関などに限られていて、屋外ではほとんどの人がマスクをしていない。

一見、日常が戻っているようにも見えるが、イスラエルでは年明け以降感染者が急増し、1日あたり6万人前後で推移している。

街中には仮設の抗原検査場が設けられ、地元の人も「見たことがない」と言うほどの長い行列ができている。

市民からは4回目の接種に対し慎重な声が多く聞かれたが、政府は、ワクチンで重症化は防げるとして接種を進めたい考え。

このニュースについて、アメリカの大学病院で新型コロナウイルスと向き合っている内科医の山田悠史先生に聞く。

三田友梨佳キャスター「イスラエルでは4回目の接種が始まりましたが山田先生はどうご覧になりますか」

山田悠史先生「この4回目の接種については、世界を見渡してもまだほとんどデータがなく、実験的な位置付けが大きい取り組みだと思います。初期のデータでは、抗体のわずかな増加を示した動向が報告されていましたが、この効果はこのタイミングでは限定的なのかもしれません。むしろ別の研究では、3回目の接種後に4カ月たった時点でもオミクロンに対する抗体が維持されていることを示唆するデータも出てきています。現時点では3回の接種で十分とする見方もでき、まだ4回目を議論するのは早すぎるのかもしれません」

三田友梨佳キャスター「そうなんですね。日本は3回目の接種を本格化しようとしていますが、3回目の接種についてはどんなことがわかっているのでしょうか」

山田悠史先生「米国のCDCからは、ブースター接種について、オミクロンによる入院のリスクを90％低減する効果があるとするデータが公開されています。実際に私が医療現場で働いていても、2回接種後のコロナによる入院には遭遇してきた一方で、3回目接種後の入院というのはほとんど経験されていませんし、その効果というのを肌で感じていました。特に持病を抱えて重症化リスクのある方にとっては、この感染流行の中、3回目接種の意義というのは高い状況になっていると思います」

三田友梨佳キャスター「そうですか。ただ3回目接種に向けては副反応を含めて不安な方もたくさんいると思いますがそのあたりはいかがですか」

山田悠史先生「そうですね、日本ではまだブースター接種も十分に広がっていない状況で心配な方もいるかもしれません。ただ2回接種によっても、いまだ重症化を防ぐ効果は期待できますし、以前見られていたような人工呼吸器が必要になるなどの重い病状は高率に防がれていると思います。また、3回目接種については、副反応が2回目より少ないという報告もありまして、私自身もあまり副反応を経験することなく終えています。3回目接種の順番が回ってきた際には、あまり大きな心配をすることなく受けていただくことで、追加の効果が期待できると思います」

三田友梨佳キャスター「山田先生のお話にあったようにオミクロン株のワクチンのデータもそろいつつあります。ワクチンを希望する人がスムーズに接種できる環境をしっかりと整えてほしいと思います。そして、どれだけ感染が広がっても個人レベルでできることは変わりありません。3密を避け、マスクに手洗い。1人ひとりにできる感染対策はしっかりと心がけていきたいと思います」
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