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91種類「ほろよい」開発のキモ[2021.11.15]

91種類「ほろよい」開発のキモ


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✍️記事要約

✅ サントリーの「ほろよい」はなぜ91種類もあるのか 商品開発のキモは2つ

「ボヤキ」が有名で、ヤクルトスワローズや阪神タイガースなどで監督を務めた野村克也さんは、数々の名言を残している。たくさんある中で、個人的に好きなのは「勝ちに不思議な勝ちあり、負けに不思議の負けなし」(松浦静山の剣術書『剣談』から引用)である。筆者の場合でいえば、コラムを書いていて、多くの人に読んでいただける原稿もあれば、残念ながらそうでないものもある(涙)。

 企画も納得したものができ、取材もスムーズにいった。原稿も自分なりにうまく書けたかなと思っていても、想定よりも読まれないことがある。なぜ、多くの人に読まれなかったのか。ちょっと振り返っただけでも「掲載するタイミングが悪かったかな」「タイトルがイマイチだったかな」「構成を入れ替えておくべきだったかな」といった感じで、次々にダメな理由が浮かんでくるのだ。ノムさん流にいえば、「読まれない記事に不思議の記事なし」である。

 さて、そんなことを考えながら、低アルコールのRTD市場(Ready To Drinkの略で、「開けてすぐに飲める」飲料のこと)を見ると、興味深いデータが出てきた。インテージの調査によると、低アルコールRTD市場のトップはサントリースピリッツ(以下、サントリー)の「ほろよい」で、シェアは58.6%と半数を超えている。年代別に見ても、「ほろよい」「ほろよい」「ほろよい」「ほろよい」といった具合に、20~50代のすべての年代を“制圧”しているのだ。

 このように書くと、「ノムさんの名言をやゆって、『売れている商品に不思議な商品あり』とディスりたいの?」と思われたかもしれないが、そういうわけではない。これまで数多くの商品を世に出してきたなかで、「苦戦した商品に不思議の商品なし」という視点に立って反省し、ヒットの打率を上げている様子がうかがえたのだ。
“お酒の入口”として開発

 「ほろよい」を飲んだことがない人もいると思うので、商品について簡単に紹介しよう。産声をあげたのは、2009年3月のこと。開発は2年前から行っていたわけだが、どんなところに注目していたのだろうか。当時の報道を見ると、『若者 お酒も「味覚の幼児化」』『苦いビール苦手』(読売新聞 2008年9月)、『職場飲み減り、ビール離れ加速』(日経MJ 2007年8月)など、若い人のお酒離れが話題になっていたのだ。

 飲用シーンも他の年代と比べ、変化がうかがえた。平日にお酒を飲む時間帯を見ると、40代は「午後8時 食事と一緒に」という人が最も多いが、20代は「午後10時 食後・くつろぎの時間」が目立った。お酒に求めることを聞いても、20代は「くつろげる」「軽く飲める」と答えた人が多かった。

 マクロミルが行った調査によると、お酒に求める味は、20代男性の81%が「甘め」と回答。ちなみに、全体で「甘め」と答えたのは53%だったので、当時の若い男性が突出して「甘め」を好んでいたことがうかがえる。

 若い人の味覚が変化している。そーいえば、このころに「草食系男子」という言葉も生まれたっけ。時代の空気がなんとなく変わろうとしていたが、飲料メーカーとして「お酒離れ」は無視できない問題である。苦いビールが敬遠されているからといって、すべてのアルコールが拒否されているわけではない。居酒屋などで提供されているチューハイの売り上げは好調で、その度数は3%台のモノが多い。冷たくて刺激の強いチューハイではなく、「やさしい甘み」「低アルコール」であれば、若い人たちに受け入れられるのではないか。

 さらに「昔から飲み慣れた味わい」であれば、“お酒の入口”として支持されるかもしれない。若者の味覚や価値観の変化などを参考にして、サントリーは09年に「ほろよい」の「レモン」と「うめ」を発売したのだ。

 結果、どうだったのか。上々の滑り出しだった。翌年、「白いサワー」「ぶどうサワー」を発売し、その後もさまざまな種類を投入することに。「そーいえば、スーパーの棚にたくさんの種類があるなあ」と思われたかもしれないが、これまでどのくらいの商品を開発してきたのだろうか。ひー、ふー、みー、よー、と数えたところ「91種類」である。商品を発売して、今年で12年目。ということは、年に「7本」ペースで開発したことになるのだ。

■「冷やしパイン」が売れている

 ところで、91種類の中で、最も売れたフレーバーは何か。10年に発売した「白いサワー」である。ブランドを代表する存在で、スーパーやコンビニの棚を見ても、だいたい並んでいる。

 では、期間限定のフレーバーはどうか。14年から毎年夏に販売している「冷やしパイン」がよく売れているそうだ。ふーむ。個人的にパイナップルは好きだが、どうもしっくりこない。夏に販売するのであれば「もも」ではダメなのだろうか。夏のフルーツ調査で、好きな果物を聞いたところ、やはり「もも」がトップ。ちなみに、「パイナップル」は6位である(第一紙行調べ)。「もも」は定番商品として販売しているので、そこは納得できるが、なぜパイナップルなのだろうか。

 ブランド担当の三枝遼太郎さんに聞いたところ「『ほろよい』の商品開発にあたって、2つの基準があります。1つは『間口の広さ』、もう1つは『ワクワクするかどうか』です。この2つを満たしている商品は、売れる傾向があるんですよね」という答えが返ってきた。どういうことか。

 1つめの「間口の広さ」は、たくさんの人にそのフレーバーからうれしさを感じ取ってもらえるかどうかがポイントになるという。多くの人にその商品を手にとってもらいたいので、その気持ちはよーく分かる。ただ、「間口の広さ」を深追いすると、「じゃあ、レモンでいいでしょ」「ライムもよいよ」といった話になる。新しいフレーバーを出しても、「どこかで飲んだことがあるなあ」と目新しさに欠け、普通の味ばかりになってしまう。

 もう1つの「ワクワク」を深追いすると、奇をてらった商品になる危険性がある。発売当初は物珍しさもあって売れるものの、しばらくすると人気が低迷する。飲んだ人からは「まあ、味は悪くないけど、二回目はないかな」といった答えが返ってくることも。つまり、リピーターを獲得できないまま、フェードアウトしてしまうのだ。

■「間口×ワクワク」で打率をアップ

 「間口が広いかどうか」「ワクワクするかどうか」――。この2つの両輪がうまく回ればヒットの確率がアップするそうだが、では「冷やしパイン」の場合はどうだろうか。まず、間口について見てみよう。

 春夏秋冬の中で、「夏が最も好き」という人は多い。暑くなると解放感が出てきて、海に行ったり、キャンプをしたり、バーベーキューをしたりして楽しむ人は多い。ということで、「夏を感じられるフレーバーを出せば、支持されるのではないかと考えました」(三枝さん)

 とはいっても、まだまだ漠然としている。そこで、開発チームは「夏祭り」や「花火大会」などに着目する。「屋台で売っている『冷やしパイン』を食べたことがある人って多いですよね。共通の体験をもつ人がたくさんいればいるほど、多くの人の気持ちが動くのではないかと考え、『冷やしパイン』の商品化に動き始めました」(三枝さん)

 季節のフルーツとして、夏に多くの人がパイナップルを口にする。というわけで「間口の広さ」は満たしているものの、ワクワク感はどうか。やや不足しているように感じたので、屋台で販売している「冷やしパイン」に落とし込むことで、ワクワク感を演出したのだ。

 「ほろよい」の原理原則である「間口の広さ×ワクワク感」をきちんと守り、結果としてヒットした事例である。イジワルな質問をすると、これまで91種類も出していれば、想定よりも売れなかったフレーバーもあったはずだ。「『ワクワク』はあったけれども『間口』が狭かった。『間口』は広かったけれども、『ワクワク』が足りなかった。どちらかに偏っている商品は『ほろよいらしくないよね』と感じられ、苦戦することがありました」(三枝さん)

 最後に、冒頭で紹介したノムさんの話に触れよう。「勝ちに不思議な勝ちあり、負けに不思議の負けなし」という名言を、「ほろよい」にあてはめるとどうなるのか。数多くのフレーバーを世に出し、残念ながら売れなかった商品もあった。しかし、「苦戦した商品に不思議の商品なし」という視点に立って反省し、次の開発につなげていったようだ。

 11月現在、「ほろよい」の定番は16種類ある。この数字は過去最高とのこと。「間口とワクワク」という掛け算によって、多くの消費者を心地よく酔わせてきたようだ。

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その買うを、もっとハッピーに。|ハピタス

☘️ヤフコメ❗️ピックアップ☘️

✅ 限定販売の期間がかなり短いのもうまいなあと思う。次はないかもしれないからとりあえず一本買ってみようと思うし。
ただ美味しかったときに、もう少し長く販売してくれたらなぁとは思うけど。
✅ ほろよいはアルコール分が3%しかないので、お酒が苦手な人でも気軽に飲めるのが魅力的だと感じます。特にビールやワイン、日本酒等は全く飲めないけどほろよいなら飲める、という人達も多く、サントリーの中ではかなりのヒット商品だと感じます。また、ほろよいのような商品は海外ではほとんど無く、ほろよいを愛好している外国人もかなり多いそうです。これからも沢山の味が楽しめるよう期待しています。
✅ 小売事業者ですが、ほろよいは、酒部門でも月間販売個数は上位にきます。本当に助かります。ただ限定商品は当たりと外れが多いです。コーラ味はさすがに人気がないが、たまにレギュラーにしてもいいのでは?と言う無双化するアイテムもあります。今後も新アイテム待ってます。

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