ブレイクスルー感染の現状 アメリカ
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✍️記事要約
ワクチンを頼みにするだけでは、もはや感染予防できなくなっている――そんな現実はいま「ワクチン大国」のアメリカで起きている。前編記事(『「ワクチンの限界」に直面するアメリカで「衝撃のデータ」が続々出てきた…! 』)ではCDC(米疾病対策センター)が発表した衝撃的なデータをもとにそのことを紹介したが、いまアメリカの現場では実際にどのようなことが起きているのか。その厳しく、恐ろしい現実を現地発でお届けする。
アメリカ「ブレイクスルー感染」のリアル
CDC(米疾病対策センター)の発表によると、米マサチューセッツ州バーンステーブル郡では、7月6日~7月25日の間に同郡で陽性となった469の検体の約4分の3(74%)に当たる346がすでにワクチン接種を完了した人々の検体だった。
稀にしか起きないと言われているブレイクスルー感染だが、これらの数字を見ると、本当に稀なのかという疑問が生じる。
リアルを知るべく、ツイッターを覗いて見ると、身近でブレイクスルー感染が起きたというツイートが多々ある。
「ブレイクスルー感染した人を数多く知っている。彼らはみな、以前はマスクをしていた場所で、マスクをしていなかったわ。ブレイクスルー感染は稀と言われているけれど、もう稀ではないわ」
とマスクレスだった人がブレイクスルー感染しているというツイートや、
「今では、誰もがワクチンを打ったのに感染してしまった人を知っているほど稀なんだよ」
という皮肉なツイートも見つかった。
それだけではない。
「ブレイクスルー感染が稀なのかわからないよ。ワクチン接種を完了した知り合いが、この数週間のうちに、3人もブレイクスルー感染したことを考えるとね」
「この72時間で、5人からブレイクスルー感染したと聞いたわ。うち1人は、屋外の音楽フェスティバルで感染したと言ってるわ」
など、わずかな期間に何人もの知り合いがブレイクスルー感染したことを伝えるツイートもある。
ついには、筆者の身近でも「ブレイクスルー感染をした人がいる」という声が聞こえ始めた。
「会社の同僚がブレイクスルー感染した。幸い、軽症ですんだみたいだけどね」
「“熱がある”と言っていたレストランの従業員が、ブレイクスルー感染していたことがわかった。その従業員とは店でよく話しているので、自分も感染しているのではないかと不安だ。従業員はみな戦々恐々としている」
従来株が主流だった時は、身近で「感染した」という声は聞こえてこなかったが、デルタ株が主流になってからは明らかに感染の声が聞こえるようになっている。
明日は我が身か――。
感染がもうそこまで来ているという切迫感に襲われている。ワクチン接種を完了した安心感と周囲の空気感から、屋外ではマスク無しでいることがままあった筆者は暗澹たる気持ちだ。
サンタクララ郡の「データ」から見える現実
「ウイルスが他の強い病原体と合体したら、ブレイクスルー感染は生活の一部になるかもしれない」と感染症の専門家は懸念を示しているが、身近でブレイクスルー感染の声が聞こえ始めている状況を考えると、すでに、生活の一部になっているのではないか。
ブレイクスルー感染が増え始めたことから、カリフォルニア州サンタクララ郡は、ブレイクスルー感染の件数を公開し始めた。例えば、8月18日時点では、同郡の人口10万人当たりのブレイクスルー感染の件数は7日間平均で9.7人と、ワクチン未接種の感染者数32.3人の約3分の1。しかし、下のグラフからわかるように、その数は7月以降急増している。
政治家のブレイクスルー感染も相次いでおり、トランプ氏の盟友で共和党の重鎮でもあるリンゼー・グラム上院議員(66)やテキサス州の州知事グレッグ・アボット氏(63)もブレイクスルー感染した。
もっとも「ブレイクスルー感染は非常に稀」というのがCDCの見解だ。しかし、CDCはブレイクスルー感染の数を正確にトラッキングしているとは言えないようだ。
CDCの分析は従来株をベースにしたもので、現在蔓延しているデルタ株をベースにしておらず、また、ブレイクスルー感染の中でも重症化して入院したケースや死亡したケースしかトラッキングしていないと指摘されているからだ。
ブレイクスルー感染の場合、多くは症状が軽いことを考えると、感染していることに気づかぬまま治癒したために、カウントされていないブレイクスルー感染者が多数潜在している可能性がある。問題は、そんなブレイクスルー感染者もワクチンが未接種で感染した人々と同程度のウイルスを拡散させていることだ。
ブレイクスルー感染者の「病状」
ところで、ブレイクスルー感染者はどんな症状を呈しているのか? 重症化しないと指摘されているが、報じられているブレイクスルー感染者の体験談によると、多くは、鼻水や喉の痛み、咳、頭痛など軽い風邪か、風邪と季節性インフルエンザのハイブリッドのような症状で、発熱もあまりせず、血中酸素飽和度も低下しなかったという。
しかし、中には、新型コロナ特有の味覚や嗅覚の喪失や呼吸困難感に襲われたという体験談もある。
「味覚も嗅覚もなくなった。空咳が出てきて、長く、深く、苦しい呼吸をしなければならなくなった。ちょっとシャワーを浴びたり、別の部屋に行ったりする時も息切れがして心拍数が増えたので、腰掛けなくてはならなかった。まるで走ってきたような感覚だった。この10年以上、毎日1時間近く有酸素運動をしてきた者としては、とてももどかしかった。これで軽症ということだった」(8月13日付シャーロット・オブザーバー紙より、レベッカ・マハーさんの体験談)
また、ワクチンは重症化を防ぐとはいっても、重症化する人もいる。しかも、その割合が少なくないことを示す数字もある。
重症の急性呼吸器感染症患者のデータを収集しているイギリスの機関が7月19日に発表した調査によると、10日間で入院した258人の患者中、57%がワクチンを未接種だったものの、31%は2回ワクチン接種をし、12%は1回ワクチン接種をしていたという。40歳以上の場合、2回ワクチン接種したにもかかわらず、感染して入院した患者の数は40%を超えていたという。
「後遺症が長引く」との研究結果も出てきた
米ルイジアナ州でも恐るべき数字が出ている。同州では、入院している感染者中、90%がワクチン接種を完了していなかったものの、10%はすでにワクチン接種を完了していたというのだ。
先のマサチューセッツ州バーンステーブル郡の調査でも、感染して入院した5人のうち4人はワクチン接種を完了していた人々だった。
ツイッターにも「ブレイクスルー感染をした高齢の夫婦がいて、夫の方は肺炎で入院した」「感染したワクチン接種完了者はほとんどが仕事場でマスクなしで歩き回っていた人たち。中には退院したばかりの人もいるわ」など軽症ではすまなかった状況を伝えるツイートもある。
Newsweek誌は「2週間の間に、ワクチン接種を完了していた7人の患者が新型コロナで亡くなった」というフロリダ州在住の看護師の話を紹介している。患者は60歳以上の高齢者だったという。
ワクチン接種を完了しても、感染して入院したり亡くなったりする状況が、高齢者を中心に少なからず生じているのである。
また、ブレイクスルー感染後の後遺症が長引くことを示唆する研究結果もある。
医学誌「ザ・ニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」が7月28日に発表した科学論文によると、ファイザーやモデルナのようなmRNAワクチンの接種完了後にブレイクスルー感染をした医療従事者の19%が、6週間以上も続くlong covid、つまり、新型コロナの長期後遺症に襲われていたことがわかった。
「良いシナリオ」ではない
このような数字や体験談を目にすると、疑問が生まれる。
ワクチンは本当に効果があるのか?
アメリカのメディアで積極的に発言を行い、筆者も度々話を伺ってきた、カリフォルニア大学アーヴァイン校の公衆衛生学准教授アンドリュー・ノイマー氏に話をきいた。
同氏はワクチン接種は最善の感染予防策と訴えつつも、見通しは暗かった。
「残念ながら、ワクチンだけでは感染を予防できません。今、ブレイクスルー感染が数多く起きているからです。私の知人も1人ブレイクスルー感染しました。デルタ株が拡大している今では、集団免疫の達成も非常に困難になっています。達成するには、もっと多くの人々がワクチン接種する必要があるし、ブレイクスルー感染が起きているという問題もあるからです。ブレイクスルー感染した人はたとえ症状が軽症でも人に感染させる力があります。ブレイクスルー感染はワクチンの障害になっている。良いシナリオとは言えません」
ワクチンだけでは感染予防できず、ブレイクスルー感染が起きている状況を考えると、アメリカの大学や企業が導入を始めているワクチン接種の義務化や、ニューヨークやサンフランシスコが始めるレストランや劇場、ジムなどの屋内施設を利用する際のワクチン接種証明の提示だけでは不十分なのではないか。ノイマー氏も明言する。
「ワクチン接種証明を提示したとしても、その人が感染していないことは完全には保証できないのです」
スタンフォード大学の画期的な対策
ノイマー氏には、自身が教鞭を取る大学も導入して欲しいと考えている対策がある。それは、スタンフォード大学が始めたばかりの画期的な対策だ。
同大学は、ブレイクスルー感染をした学生が現れていることから、ワクチン接種の有無にかかわらず、週に一回、コロナ検査を受けさせる感染予防策を8月15日から導入した。つまり、ワクチン接種を完了していても、毎週コロナ検査の陰性結果が報告されない限り、受講できなくなったのである。
アメリカ東海岸では、ハーバード大学やプリンストン大学、ブラウン大学も、ワクチン接種を完了した学生に対しても、週に一回コロナ検査をすることを要求している。今、アメリカでは、ワクチン接種か、あるいは、毎週コロナ検査の陰性結果を提示するという二者択一の感染予防策を行おうとしている大学や企業は多いが、これらの大学の感染予防策は、ある意味、ワクチン接種よりも定期的な陰性結果の報告を重視していると言える。
さらには、ロサンゼルス統一学校区に所属する約1000校が、ワクチン接種を完了した生徒を含む全生徒、教師、学校職員に対する週一回のコロナ検査を義務化、アメリカのモデルケースになるのではないかと見られている。
それだけ、ブレイクスルー感染による感染拡大を懸念しているのだ。
ブレイクスルー感染が起きる一因と考えられているのは、ワクチンを2回接種しても時間経過とともに抗体値が下がる状況が生じていること。そのため、バイデン政権は、2回目のワクチン接種の8ヶ月後に、3回目のブースター接種を行うことを推奨し、9月20日からブースター接種を開始する予定だ。
「ブースター接種がこんなにも早く必要になったということは、ワクチンが思っていたほど上手くは奏功していないということです」
とノイマー氏は言う。
新型コロナとの「長い戦い」はまだ終わらない…
ブレイクスルー感染の発生によって限界が証明されたワクチン。ワクチンを頼みにしてきた菅首相は、ワクチン接種率が徐々に高まるとともに、日本でも増えていくであろうブレイクスルー感染とそれによる感染拡大を予防するための次のステップに進むべき時ではないか。
その意味で、スタンフォード大やロサンゼルス統一学校区が開始した、ワクチン接種完了の有無に関わらず週一回のコロナ検査を義務化するという感染予防策を大いに参考にしてほしいと思う。
実際、すでに、日本では大きなブレイクスルー感染も起きている。入院患者の2割が亡くなるという大規模クラスターが起きた沖縄のうるま記念病院では、感染した職員の約9割はワクチン接種を2回済ませていたと報じられている。日本も、アメリカのように、自分の身近にブレイクスルー感染者が現れる状況になるのは時間の問題かもしれない。
ところで、今後、新型コロナウイルスはどうなっていくのだろう。
集団免疫が達成されない状況下では、さらに感染力がある変異株が登場する可能性があると指摘する専門家もいる。ノイマー氏も懸念を示す。
「デルタ株は非常に感染力がありますが、これからは、さらにウイルスが進化し、致死率が高い変異株が登場する可能性もあるのではないかと恐れを抱いています」
では、いったい、いつになったら、コロナ禍から脱することができるのか?
「私は一年前、今年の今頃はワクチンにより、危機から脱することができているだろうと予測していました。しかし、集団免疫の達成が難しくなっている現状を考えると、来年の今頃も危機から脱することができていないかもしれません。それだけ、新型コロナウイルスはまだまだ未知な部分が多いのです」
菅首相は能天気にも「明かりは見え始めている」とまで述べたが、トンネルの先の光は、まだはるかかなたのようだ。
しかし、1人1人がワクチン接種し、接種後もマスクを身につけ、移動や人との接触を控え、さらには、ワクチン接種完了後も定期的にコロナ検査を受ける(もちろん、そのためには、行政は定期的に無料のコロナ検査が受けられる環境作りを行う必要がある)という役割を果たすことができれば、その光も少しは見えてくると願いたい。
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☘️ヤフコメ❗️ピックアップ☘️
✅ イスラエルでもメインの陽性者はみんなワクチンを二回接種した人になっているという。だからこその三回接種と言い始めているんだし、ブレイクスルー感染は全然珍しくなく、普通だってことでしょう。ワクチン打ったら普通はかからない、みたいな報道をしているメディアはやめたほうがいいんじゃないか。
✅ ワクチンを打てば打つほど感染者が増えているイスラエル、イギリスなどを見れば分かる、ワクチンを止めたルーマニアなど感染がすごく少なく全く増えて無い。ワクチンが感染を広げている。効果が無いばかりか、スパイクタンパクによる血栓症、ADEを引き起こす。最早、即中止するべきだ。普通に考えて続行はあり得ない!。