やりがいを得ながら収入アップする人の特徴 勝間和代
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✍️記事要約
やりがいを得ながら収入アップができる人は何が違うのか。経済評論家の勝間和代氏は「『自分の才能や、やりたいこと×市場のニーズ』の答えが自分の手にできる収入だが、収入アップを目指すなら、市場原理を理解することが重要」という――。
※本稿は、勝間和代『勝間式生き方の知見 お金と幸せを同時に手に入れる55の方法』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。
■やりがいは持続しにくいもの
自分のキャリアについて考えるときに悩ましいのが、やりたいことをして十分な収入を得ることができるか、ということです。やりがいと収入の両方の満足度が高い仕事に就ける人はかなり限られています。
仮に、運よくやりたい仕事に就けて十分な収入を得られても、続けるうちに慣れて新鮮味がなくなり、やりがいが半減して単なる収入を得る手段に変わることもあり得ます。その場合、やりたい仕事に就いても、こんなものか、と落胆したくなるでしょう。
■想定外のやりがいと出合うこともある
この「やりがい」というのは非常に曖昧な概念で、特にやりたいことではなかったけど、やってみたら達成感が大きくてやりがいを感じる、ということもよくあることです。
また、達成感などの実感ではなく、収入が上がることもやりがいになります。歩合制のセールスで、セールスが上手くいけばいくほど収入が上がってやりがいも増す、というのはその典型でしょう。
いったい、自分のやりがいはどこにあるのか。こればかりは実際にやってみないとわからないもので、これは本当にしたい仕事ではないけど、収入を得るために妥協して選んだに過ぎない、という始め方でも見つかることもあります。
妥協するとはいえ、100%やりたくない仕事をする必要はありません。自分の得意分野に近くて、それなりにやりがいを感じられそうかな、という程度でOKでしょう。まずはキャリア選択のスタートラインに立つことが大事なので、とりあえずはこれでいいんだ、と割り切ることが必要です。
■誰しもリスクを抱えてキャリア選択をする
ぜひ、頭に入れておいてほしいことは「キャリア選択に正解はない」ということです。
誰しも、やりがいと収入のバランスの取り方に迷っていて、自分はいつ市場で使い物にならなくなるのかというリスクや、加齢によって市場から追い出されたら収入が下がるのではないかというリスクを抱えています。
大企業などのしっかりとした組織に所属している場合でも、リストラされて放り出される不安があり、いざ転職活動をすると、市場から離れたところで甘やかされていた分、自分の市場価値の低さに愕然とするわけです。
■失敗は次のキャリアに生きる
キャリア選択というのは、突き詰めれば突き詰めるほど、市場原理の厳しさに行き当たります。その中で粘り強く、やりがいや収入をはじめ、待遇、勤務時間、福利厚生、教育制度など、あらゆる条件を検討して、自分なりの最適解や納得解を目指すのがキャリア選択だと私は考えます。
様々なキャリアを積み上げてきて成功した人たちは、ほとんどすべての人が必ず何らかの失敗をしています。その失敗によってモチベーションが高まり、「失敗は成功のもと」ということわざの通り、次のキャリアで大成功する人もいるでしょう。自分にはその仕事が向かなかった、というのも大きな収穫です。人生が立ち行かなくなるほどの大借金を負わない限りは、失敗は次のキャリアに生きてくるのです。
■自分の才能が突然変化することはない
「自分の才能や、やりたいこと×市場のニーズ」という式の答えが、私たちが手にできる収入です。基本的に自分の才能やその方向性が突然変化することはなく、したがって、才能を生かした仕事も一定の範囲内に収まります。
その中で十分な収入を得られるニーズは意外と少ないので、できるだけ若いころから、自分の才能とニーズの重なりがどこにあるのか、という将来性について見つめたほうが得策です。年を重ねてからも、常に目を皿のようにして探す姿勢が、求める答えと出合う早道です。
■市場の需給バランスを見分けよう
より多くの収入を手にするには、市場の需給バランスを見分けることが重要です。需要が少なくて供給が余っているエリアでは、多くの収入を手にするのは困難です。ポイントは、確かに需要はあるけど、まだ十分に供給されてないエリアで、自分が社会貢献できそうな仕事を探すことになります。
つまり、「自分の才能や、やりたいこと×社会貢献=生活に十分な収入」という方程式をどうやって解くかが、より多くの収入を得る答え、すなわち、キャリア選択における最適解や納得解を導く方法になります。
■こだわりが収入アップを邪魔することも
市場の需要は時代の流れによって変わるため、社会貢献できるエリアも変わります。かつては、需要がたっぷりあって供給が少なかったうちは花形だった職業も、技術革新や様々な時代の変化の中で需要が少なくなって供給が余れば、途端に斜陽産業へ転換してしまいます。
例えば、私が本を書き始めた2007年前後は新書の全盛期で、インターネットが今ほどは普及していませんでした。多くの人が隙間時間に新書を読んでいたため、様々な新書が何万部、何十万部と売れたのです。
それが今や、新書を読んでいた時間はほとんどSNSに吸収されてしまいました。YouTubeは、当初は面白系コンテンツが中心でしたが、最近はあらゆるコンテンツを発表する場になり、ブログに取って代わりました。この状況で、私が新書の執筆だけにこだわってキャリアを積もうとしたら、あっという間に生活が成り立たなくなったでしょう。
需給バランスの変化を踏まえて、自分の時間を投資しても社会貢献度が低くなった分、新書の執筆を縮小させて、評論や講演活動のほか、最近ではYouTubeチャンネルの開設など、どんどんほかのことに着手していったわけです。
■アナログなやり方も維持する意義
『ブラックスワン』や『反脆弱性』(共にダイヤモンド社)の著書で、急進的な哲学者としても知られるナシーム・ニコラス・タレブという人物がいます。
彼は、雇用喪失が起こる未来を生き抜くには、ITやAIなどの最先端技術をフル活用しながら、相反するアナログなやり方も維持して、自分のキャリアがどちらに傾いてもいいように備えておくこと、と言っています。バーベル戦略と言われるもので、私も有効な方法だと考えています。
私が執筆活動を続けるのは、今も変わらず文章を書くのが好きだから、というのが大きな理由ですが、戦略的に間違いではないことを自負しています。
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勝間 和代(かつま・かずよ)
経済評論家/株式会社監査と分析取締役/中央大学ビジネススクール客員教授
1968年東京生まれ。早稲田大学ファイナンスMBA、慶應義塾大学商学部卒業。アーサー・アンダーセン、マッキンゼー・アンド・カンパニー、JPモルガンを経て独立。少子化問題、若者の雇用問題、ワーク・ライフ・バランス、ITを活用した個人の生産性向上など、幅広い分野で発言を行う。著書に『勝間式食事ハック』(宝島社)、『勝間式超ロジカル家事』、『勝間式超コントロール思考』『ラクして おいしく、太らない! 勝間式超ロジカル料理』(以上、アチーブメント出版)などがある。
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☘️ヤフコメ❗️ピックアップ☘️
✅ 働くか否か、働き方や働く場所、職種等は好きにして良いのでは?と個人的には思います。いちいちどうのこうの、他の方に強制する必要もないし、記事に書かれているような事言ってたら、じゃあどこに勤めれば良いの?ってなりませんか。働けば色々有るけど、私は感染は怖いけど、それなりにスキルもいかせているし、それなりに充実もしています。私は障害が有って、働ける職種や勤務地、できる仕事も限られています。それでも、働く必要もあるし、障害者雇用促進の意味でも、保護を受けるより、働いて貢献する方がずっと良いと思い働いています。だから、出来そうな所、職種を選んで勤めています。
✅ これ、難しい議論で、単純な正解はないと思うのですが、根底にあるのは、時代も人も変化するということ。一つのことをやり続けるリスクは、やりがいもさることながら、通用しなくなるリスクだと思います。そのときに、文中にあるようにバランスをとるために別の方法論や、別の領域を持っておくことは大切なので、才能いかんに関わらず、なるべく新しいことにチャレンジする姿勢を持つことが肝要だと思います。