ソニーがEVに満を持して参入した真意とは
✍️記事要約
ソニーグループがEV(電気自動車)の市場参入に向けて本格的な検討に入る。2年前から試作車を公表し研究を進めていたソニーだが、EV市場参入で何を狙うのか。
■「VISION-S」から2年 満を持して市場投入検討を発表
「ソニーEV(電気自動車)の市場投入を検討していく」。米ラスベガスで開催されたテクノロジー見本市「CES」での記者発表会の最後にソニーグループの吉田憲一郎会長兼社長がそう発言すると、突然の発表に戸惑いが生じたのか、少し間を置いて会場から喝采が起きた。
ソニーが本格的にEVの市販化に向けて動きだした。子会社「ソニーモビリティ」の立ち上げを表明し、これまで探索領域と位置付けていたEVの事業化を検討する。
ソニーがEVのコンセプトカーである「VISION-S」を発表したのは、2020年のことだ。当時、EV開発はあくまでも車載用イメージセンサーなど自動車関連ビジネスの拡大が主眼とみられており、市販化は言明していなかった。
それでも、本丸のEV自体に参入することは“規定路線”でもあった。
「センシング技術やインフォテインメントなど車両開発で培った知見を“切り売り”していくのがEV研究の最終目標ではない。市販化は当然、当初から検討の範囲の中にある。」ソニーのある幹部はそう口にしている。
足元で急加速するEVブームや異業種からのEV参入の表明など、市場環境は2年前と比べても激変している。ソニー自身、試作車の公道走行といった実験を通じ車両開発のノウハウが蓄積されたこともあり、今回、満を持して市場投入検討の発表に至った。