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文章がうまい人が破らない「たった一つのルール」とは[2022.2.9]

文章がうまい人が破らない「たった一つのルール」とは

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✍️記事要約

✅ 文章がうまい人は、「たった一つのルール」を破らない

文章を読んで、「結局、何が言いたいの?」と思ったことはないだろうか。リモートワークの時代、伝わらない文章を書く人は、評価を落として損をする。しかし、「たった一つのルール」さえ守れば、文章はたちまち上手になる。特集『最強の文章術』の#5では、コピーライターとして活躍する田口まこ氏が、文章で絶対に損をしない、「たった一つのルール」を伝授する。

■リモートワークの時代「文章が苦手な人」は損をする

 この2年でリモートワークが社会に定着し、仕事のやり方は大きく変わりました。中でも最大の変化は、コミュニケーションの方法がチャットやメールになったことでしょう。

 自分の意図を伝えるためには、どんなに面倒でも苦手でも、誰もが文章を書かなくてはいけなくなったのです。

「メールの内容が分かりにくいと言われる」「チャットで誤解されやすい」「企画書を書くのが苦手」…。私の周りからも、そんな声が聞こえてきます。

 確かに、毎日送られてくるメールや企画書の中には、内容がつかみづらく、読むのがイヤになるほど分かりにくい文章があります。そんな、「結局、何が言いたいの?」と思わせる文章には、実は共通する特徴があるのです。

それは、「ワンセンテンスが長過ぎる!」ことです。

 試しに、あなたの書いたメールのワンセンテンス(一文、文頭から句点〈。〉まで)の文字数を数えてみてください。もし、60字以上のセンテンスがダラダラと続いているなら、かなりの確率で多くの人から文章が分かりにくいと思われているはずです。

 そして、それはあなたの評価を落とすことに直結しています。

■「60字1メッセージ」だけで文章はぐんと分かりやすくなる

「文章を書くのが苦手」、そんな悩みを抱えているなら、とにかくワンセンテンスを短くしましょう。目標は60字以内。まず、それだけを守って書いてみてください。

 多くの文章術を身に付けるのは、簡単ではありません。でも、たった一つのルールを守るだけなら、きっとすぐにでもできるでしょう。

 60字以内にするためには、一文一意が鉄則。ワンセンテンスに入れるメッセージはできるだけ一つにしましょう。

 情報をあれもこれもと詰め込むと、当然文字数が増えます。一文が長くなるほどに内容は煩雑になり、どんどん分かりにくくなるのです。

 反対に「60字1メッセージ」の短い文は、テンポよく読め、内容がスイスイと頭に入ってきます。

 例を挙げてみましょう。長い一文と短い一文。読みやすさ、分かりやすさの違いがはっきりすると思います。次の商品資料を読んでください。

「今回発売するのは、男性の美肌志向の高まりを受けて開発された、コアユーザーである20代男性の悩み、テカリを抑えるために皮脂抑制成分を配合し透明感のある肌に仕上げる、男性専用のファンデーションです。」

 この一文は、句読点含めて96字です。どうでしょう、1度読んだだけでは、内容がつかみきれないと感じませんか?

 では、この文を情報ごとに小分けにして、60字1メッセージにしてみます。上の文と読み比べてください。

「今回発売するのは、男性専用のファンデーションです。(25字)男性の美肌志向の高まりを受けて開発されました。(23字)コアユーザーである20代男性の悩み、テカリを抑えるために皮脂抑制成分を配合。(37字)透明感のある肌に仕上げます。(14字)」

 格段に読みやすく、内容を理解しやすくなりました。

「Aで、Bで、Cで、Dです」と情報をつなげた一文は、読み進めるほどに「結局、何が言いたいの?」と頭の中に?マークが点滅していきます。

 日本語は、結論を文の最後に持ってくることが多い言語です。そのため一文に情報を詰め込むと、読んでいる途中で内容が絡まり合って理解しづらくなるのです。

「Aです」「Bです」と、情報を一つにした短く明快な一文を重ねる。それが、分かりやすい文章を楽に書く一番の方法なのです。

■「丁寧沼」から抜け出して短く分かりやすい文にする

 文章を読みづらくしている原因は、情報の詰め込み過ぎだけではありません。不要な敬語もその一つです。

 その筆頭が「いただき」。どこにもかしこにも「いただき」をつけた丁寧過ぎる文章を、あなたも読んだことがあるでしょう。

 例えば、次のような文章です。

「今回は急なお願いにもかかわらず、お忙しい中素早い対応をしていただき、しかも素晴らしいご提案をいただいたことに、心から感謝いたします。早速ではありますが、来週にも打ち合わせをさせていただきたいのですが、ご都合をご連絡いただけるでしょうか。」
 失礼のないようにと気を使い、丁寧に書いていることは伝わってきます。

 しかし、「いただき、いただき」と同じ言葉が頻出する文は、読みにくく煩わしさを感じます。お礼の言葉も、あまりくどいと卑屈な印象を相手に与えてしまうでしょう。まさに、過ぎたるは及ばざるがごとし。丁寧過ぎることで実に残念な結果となっています。

 先ほどのメール文を、スッキリとした文章に書き替えてみましょう。

「今回は、素晴らしいご提案をありがとうございました。早速ですが、来週にも打ち合わせをしたく、ご都合をご連絡いただければ幸いです。」
 上の文章と比べると、「いただき」は最後の1回だけですが、読んで失礼に感じる人はいないでしょう。

「いただき」の他にも、使い過ぎて文を読みにくくしている言葉はたくさんあります。真面目な人ほどはまりやすい「丁寧沼」。不要な敬語を書いていないか見直し、一刻も早く抜け出してください。

■求められているのはサッと読めて、スッと理解できる短い文

リモートワークの時代となり、メールやチャットでの連絡が格段に増えました。しかも、それをパソコンではなくスマートフォンの小さな画面で確認することも多くなっています。そんな毎日に、余計な言葉が羅列された、長く面倒な文章を読んでいるヒマはありません。

 ビジネスで求められているのは、サッと読めて、スッと理解できる文章です。

 また、書き手の立場になれば、スッと理解できる文章をサッと書けるスキルが、必須になったと言えるのです。

 文章が上手な人にとっても、多くの情報を組み合わせて長い一文を書くのは容易ではありません。苦手な人なら、さらに難しいでしょう。サッと書けるはずがありません。

 まずは、ご自分の書いた文の字数を気にかける習慣をつけてください。文字数をいちいち数えるのなんてめんどくさい。そう思った人もいるでしょう。それなら、目安として一文が2行を超えたら、長くなっているのではないか?と思ってください。

 私は仕事で文章を書くときは主に「Word(ワード)」を使っています。普段のページ設定は、A4サイズ、文字の大きさは12ポイントです。すると、1行が35字になります。

 この設定で商品説明などを書く際、1行半を超えて長くなる(つまり60字を超えている)と大抵内容が分かりにくいのです。

 見直すと、情報を盛り込み過ぎていたり、余計な修飾語が入っていたりします。

 もちろん、みなさんさまざまな状態で文章を書いていると思います。ですが、スマホの画面も大抵1行20~30字ほどです。大ざっぱな目安として覚えておくと役に立つでしょう。

 一文を短くするだけ、何も難しいことはありません。ぜひ「60字1メッセージ」で、スッと理解できる文章をサッと書けるようになってください。

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