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「部長止まり」の人と役員にたどり着く人の決定的な差とは[2022.6.10]

「部長止まり」の人と役員にたどり着く人の決定的な差とは

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✍️記事要約

✅ 「部長止まり」の人と役員にたどり着く人の決定的な差

■ 部長の道を歩き続けても役員には届かない

長年、会社に勤めて部長に昇進したら、「次はいよいよ自分も役員に」と期待する人が少なくないと思います。ただ、以前の日本企業では役員の座は論功行賞的な意味合いが見られたときもありましたが、求められる素質は部長と役員ではまったく別物です。

 つまり、部長として優秀だった人が必ず優秀な役員になれるかというとそうではない、部長の延長線上に役員はないということ。部長と役員は歩く道が異なるのです。将来、もし役員に出世したいと望むのなら、自分の歩く道を変える必要があります。

 そもそも、何が部長と役員とで異なるのか。

端的に言えば、経営視点を持っているかどうか、そして経営視点に基づいての判断と行動ができるかどうかの違いです。これは、言うはやすく行うは難しの典型で、十分に業務の専門性を磨いている人でも経営視点を持っているとは限りません。

 企業で働いていると、組織全体の利害と個人や部門の利害が必ずしも一致しない場面が生じることがあります。そういう時に経営視点に立って大所高所から判断、行動をすることは難しく、これをできる人が経営陣にふさわしいと判断されるわけです。

■ 経営視点を持って判断と行動ができる人とは?

たとえば、非常に忙しく自部門の数字も作らなければいけないし、組織もしっかり構築しなければならず手いっぱいだという時期に、会社で新たなプロジェクトを立ち上げる話が降って湧いたとしましょう。

 自分や自部門の売り上げには直接貢献しないが、長い時間軸で見ると会社としてはブランディングのために必要性が高い取り組みです。では、プロジェクトを誰が担当するのか。周囲を見渡してみると、テーマとの親和性を考えれば自分がベストの選択といえます。その時に自ら「私がやります」と手を挙げられるかどうか――。

 つまり、中長期的な視点で自社にとって必要な取り組みであるかどうかの判断ができ、かつ必要であると判断したら自分自身や部門にとっての目先の利益につながらなくてもやってみる。もちろん限界はあるにせよ、自己犠牲を伴っても損得関係なしに率先してチャレンジする。

 こういう仕事の仕方をする人を、トップは自分のそばに置いて頼りにします。周りからも信頼を得るでしょう。そして、おのずと経営陣の一翼を担っていくようになるわけです。もちろん業務の高度な専門性を持っていることが前提です。

 見方を変えると、CxO的なポジションに就くことができる専門性を持ちながら部長止まりで役員になれない人がいるとすれば、このような中長期視点での大所高所からの判断と行動ができていない可能性が高いと思います。

■ スタートアップからプロCxOが輩出され人材市場も大きく変化

かつて日本企業で部長から役員までが比較的地続きだった時代は、実は役員になるための機会や何年かの教育期間が用意されていました。たとえば社内の派閥で役員と部長が密にコミュニケーションを取るなかで、経営陣と部長の視点の違いや役員としての仕事の仕方が伝授されていたのです。

 そうやって自然に自部門のみを重視する視点から経営視点への切り替えができ、役職にふさわしい人物が作られていく期間が以前はありました。しかし、現在は経営環境が変化するスピードが劇的に速くなったため、それができなくなりました。

 経営環境の変化とともに、企業が目指す成長スピードに役員級の人材を育成するスピードが追い付かないという側面もあるでしょう。

コロナ禍をチャンスとして非連続的な成長を実現したいが、今、部長を役員に育てている時間はない。だったら外部から適任の人材を獲得しよう。そんな変化も生じているわけです。ですから、将来役員に出世したい人は早い時期から経営視点の獲得を目指す必要があります。

 これまで、「日本にはプロ経営者がいない」と言われてきましたが、最近はかなり状況が変わりつつあります。30代で若くしてCxOを経験している人材が市場に輩出されるようになっているのです。

 この10年くらいでスタートアップ企業がどんどん出てくるようになり、成功する企業が増えてくるのに伴って、プロ経営者、CxO経験者も増えてきました。大企業ではまだまだ部長の延長線上に役員が存在する会社があるかもしれませんが、こうした動きが部長と役員の道をますます別のものにしています。

 IPO(新規株式公開)に成功した企業の概要を眺めていると、別の会社で以前、IPOに成功したCxO経験者が役員に顔を並べていることがあります。また、優秀なプロCxOをどれだけ集めているかが、その会社のバリューとして評価されたりもしています。

「あの〇〇さんがスタートアップ企業にジョインしたんだ……」
「ということは、あのスタートアップはブレークしそうだな……」

 現在はそうやって実績のある優秀なプロCxOを迎え入れることが、その会社の採用パワーにもつながっています。これも最近の人材市場の変化として、押さえておくべきポイントだと思います。

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