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上司は「さん」付けで呼ぶ?調査[2022.7.16]

上司は「さん」付けで呼ぶ?調査

【記事詳細】Yahooニュース

✍️記事要約

✅ 上司の呼び方は「役職名」と「さん」付け、どちらが多い? 2000人に聞いてみた

会社内での上司の呼び方は、「役職名」で呼ぶケースと、「さん付け」で呼ぶケースの大きく2つに分けられると思います。前者は、歴史ある企業の長年の習慣、後者はベンチャー企業やIT系企業に多そう、というイメージがありますが、実際はどうなのでしょうか。2000人にアンケートで尋ねるとともに、社会保険労務士に、組織運営の観点から、それぞれのメリット、デメリットなどを聞きました。

 アンケートは6月10日、全国のYahoo! JAPANユーザーのうち、「企業に勤めている人(正社員、パートなど)」を対象に行い、男女2000人から有効回答を得ました。

 まず、「現在勤める企業の社内で、上司のことをどのように呼びますか」と聞いたところ、「『さん』付けで呼ぶ」が55.0%、「役職名で呼ぶ」が45.1%で、およそ10ポイント差で、「さん」付けが上回りました。

「さん」付けが上回ったことから、創業間もない「若い」企業の回答者が多いかと考えてしまいそうですが、2000人全員に「現在勤める企業の創業年数」を聞くと、「50年超」が24.7%と最多で、「30年以内」と「20年以内」が16.8%で並び、「50年以内」15.0%と続きました。創業「3年以内」は9.1%、「5年以内」は5.8%と少数派でした。

 一方で、創業間もない企業の方が、「さん」付け傾向が強いのは確かで、「3年以内」の企業勤務者では、「さん」付けが61.5%と6割を超えたのに対し、「50年超」の企業勤務者の「さん」付けは49.9%。わずかながら「役職名で呼ぶ」が上回りました。

 次に、「上司を役職名で呼ぶ理由」、「上司を『さん』付けで呼ぶ理由」を、それぞれの回答者に聞いたところ、いずれも「周囲が役職名(『さん』付け)で呼んでいた」が最多で、「意識せず何となく」が続くという、似た結果となりました。

 では、役職名で呼ぶ人たちは、上司を「さん」付けで呼ぶことについて、どう思っているのでしょうか。結果は「違和感はない」53.7%が「違和感がある」45.7%を上回りました。違和感がある人に理由を聞くと、「役職の上の人に失礼」68.9%、「組織の秩序が保てない」23.5%。

 逆に、「さん」付けで呼ぶ人に、上司を役職名で呼ぶことについて聞くと、「違和感はない」79.0%が「違和感がある」20.0%を大幅に上回りました。違和感がある理由は、「堅苦しい」65.9%、「上司と距離感ができる」25.5%でした。

■ 社労士「垣根、低くなったのでは?」

 アンケート結果について、社会保険労務士の木村政美さんに話を聞きました。

Q.アンケートの結果を見て、どのように思われますか。

木村さん「社内で上司のことを『さん』付けで呼ぶ割合が『役職名』で呼ぶ割合よりも高いこと、また上司の呼び方について『どちらの呼び方でもよい』と考えている人の割合が高いことについて、以前に比べて、上司と部下との間での垣根が低くなった感じがあります。上司が部下との心理的な距離を縮め、業務を円滑に進めるために、『さん』付けでOKにしているのかもしれません。

また、『さん』で呼ぶことについて、どの役職者まで『さん』付けができるのか気になりました。社長以下全員が『さん』付けで呼び合っているのか、社長、専務などの役員は役職名で呼び、直属の上司にはさん付けしているのか、企業によって違うと思います。あらためて調べてみると、面白いかもしれません」

Q.企業という組織の観点から、上司を役職名で呼ぶメリット、デメリットは。

木村さん「企業組織の運営方法には大きく分けて『トップダウン型組織』と『ボトムアップ型組織』の2つがあります。トップダウン型組織(ピラミッド型組織)は、トップ(社長)が明確な意思決定や企業方針を出し、部長、課長、係長などの管理職を経て一般従業員に業務指示がされる方法です。一方のボトムアップ型組織(フラット型組織)は、現場に携わる従業員が出したアイデアや意見などを、上司や経営層が集約することで組織を動かす方式です。

上司を役職名で呼ぶことは、特にトップダウン型組織に向いているといえます。そのメリットは、企業方針・指示命令などが上司から部下に対してなされるので、伝達が徹底し、組織統制がしやすくなることが挙げられます。また役職名で呼ぶことにより、本人に自覚を持たせ、その役職に求められる職務の遂行を促すことができます。デメリットは、部下からすると、堅苦しいとか自由に意見が言えないなど、上司との間に心理的な距離感が生まれやすくなります」

Q.企業という組織の観点から、上司を「さん」付けで呼ぶメリット、デメリットは。

木村さん「上司を『さん』付けで呼ぶメリットとデメリットは、先ほどの回答と逆になります。メリットは、上司と部下がお互いに『さん』で呼び合うことにより、心理的距離感が縮まるので、フラットな人間関係が構築できます。部下が上司に対して相談や提案、意見などがしやすくなることで職場の活性化につながり、新しいアイデアが生まれるなど企業経営にプラスの効果が期待できます。

デメリットは、お互いが気安くなりすぎてしまうと、部下が上司の指示を聞かなくなるなど企業組織の統制を取ることが難しくなること、また反対に上司も管理職の自覚が薄れ、部下に指示を出さないなど役職本来の職務を全うしなくなることがあります」

Q.上司の呼び方として、役職名と「さん」付け、どちらを選ぶべきなのでしょうか。

木村さん「上司の呼び方として、役職名と『さん』付け、どちらを選ぶべきかは、次の基準で考えます」

(1)他の従業員が上司のことをどう呼んでいるか?
役職名で呼んでいる場合は役職名で、「さん」付けで呼んでいる場合は「さん」で呼びます。呼び方は自分の判断で決めるのではなく、企業のルールに合わせるようにします。特に周りが役職名で呼んでいるのに自分だけ「さん」付けにすると、職場の統制が乱れることで上司や他のメンバーに嫌がられるとか、役職名には敬称の意味があるので、それを省くと上司から無礼だと思われることがあるので注意しましょう。新入社員として勤務するときに上司をどう呼べばいいか迷うときは、職場の先輩に尋ねるといいでしょう。

(2)上司から「役職名ではなく『さん』で呼んで欲しい」と言われた場合
懇親会などの業務外の時間や、プライベートで付き合う際に、堅苦しさを避けるために上司の方から提案された場合は、「さん」付けで呼んでもかまいません。

Q.なぜ、歴史の浅い企業やIT系企業では「さん」付けが多いのでしょうか。今後は、役職名ではなく、「さん」付けの呼び方がスタンダードになっていくのでしょうか。

木村さん「歴史の浅い企業やIT系の企業で上司のことを『さん』で呼ぶことが多いのは、次の理由が考えられます。

(1)従業員の平均年齢が若いので堅苦しい雰囲気にしたくない
(2)社長の年齢も30代、40代が多く、社員との年齢差が少ない
(3)役職名が「部長」「課長」ではなく「〇〇マネージャー」「エグゼクティブ〇〇」「チーフ○○」など片仮名表記や特殊な名称になっていることがあるため呼びにくい
(4)企業組織が発展途中のため、新しい役職ができたり役職名が変わったりすることが多く、その度に呼び方を変えるのは煩雑である
(5)社内の肩書にとらわれずに、従業員が一丸となって業績の向上を目指すフラットな組織形態にしている
(6)役職者の数自体が少ない

などが挙げられます。一般的な傾向としては、社長の交代による組織体制の変化や、歴史の浅い企業やIT系企業が増加するに伴い、『さん』で呼ぶことが増えると思われます。しかし、上司の呼び方は役職名でも『さん』呼びでも、それぞれメリットとデメリットがあるので、企業の方針や組織づくりを行う上での考え方を優先して、選択すればよいでしょう」

※この記事は、オトナンサーがYahoo!ニュースを通じて実施したアンケートの結果を活用しています。アンケートは6月10日、全国のYahoo! JAPANユーザーのうち、「企業に勤めている人」を対象に行い、2000人から有効回答を得ました。年代は30代18%、40代35%、50代29%が多く、男女比はほぼ7対3。勤務形態としては、正社員が67%、パート・アルバイトが19%、契約・派遣社員などが14%でした。
※アンケートのパーセンテージは小数点第2位を四捨五入しており、合計が100%にならない場合があります。

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☘️ヤフコメ❗️ピックアップ☘️

✅ 組織形態は、組織の歴史やメンバーの事情によって柔軟に変ることが望ましい。正解はない。階層型組織のほうが機能するのであれば「役職名」で呼んだほうがいいかもしれない。フラットな関係のほうが成果を出しやすいのであれば「さん」付けのほうがいいだろう。

昨今「心理的安全性」という言葉が独り歩きし、「話しやすさ」「助け合い」の2因子のみを意識する組織が増えた。その影響で、中間管理職の視座が落ちすぎている組織もある。部長が部長らしくなく、課長が課長らしくない「ぬるい組織」も多い。しかし残念ながらこういう組織に、優秀な若手は定着しないのだ。

上司と部下の目線を合わせるには、部下側の視座を上げることが基本。上司はもっと経営や社会課題解決の視座を持つ必要がある。だからリスキリングが必要なのだ。創業間もない企業で「さん」付けでうまくいくのは、意識が高く、視座の高い部下が多いからで、それを忘れてはいけない。
✅ ISO45001では、トップダウンだけでなく、ボトムアップも必要であり、組織の意思決定を行う時は、社員の参加を求めています。世界的な労働安全衛生の基準は、トップダウンとボトムアップの融合を求めているといえます。私自身、行政にいた時はトップダウン式の業務遂行が基本で、上司を役職で呼ぶ方が多かったです。トップダウン方式で明確な目的と方向性を示し、それに沿って仕事を進めていくことで、ムラが少なく一定の統一感が生まれることもあると思います。ただ、これは決められた時間、決められた仕事をこなして結果を生み出す働き方をしてきた時代の名残でもあり、トップダウンだけでは多様な働き方を促進し、社員が自律して働き方を決めていくことで生産性を高めていくべきこれからの時代の要請には必ずしもマッチしないと思います。役職は役割であり、それぞれの役割を遂行することを大切にした上で適切な名称で呼ぶことが望ましいと感じます。
✅ 自分の周りでは役職よりさんで呼ぶ組織が圧倒的に多い気がするな。役職が頻繁に変わるところだと役職を間違えて呼ぶことで逆に失礼にあたることも多いと思う。過去に違う役職で呼んで半ギレで訂正されたこともあるから。役職名にこだわる人も多いから一概に言えないけど、さん付けだと堅苦しい壁が無くて報連相がしやすい気がする。なんとなく近い気がするので部下からの相談や部下への指示をするときも話しやすいのではないだろうか。おそらくどちらにもメリットデメリットはあるのだろうから、職種や環境にあわせれば、どちらが良いってことは無いのだろうなと思う。

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