個人の医療記録 提供を大幅拡充へ
✍️記事要約
内閣府は、医療機関などが保有する膨大な個人の医療記録「医療ビッグデータ」について、研究機関や製薬企業への提供を大幅に拡充する方針を決めた。
提供データを増やすことで、データを使った創薬や治療法の研究開発を進めるのが狙いだ。
医療ビッグデータを創薬などに生かす取り組みは近年、国内外で進む。日本では、個人の医療情報を研究機関や製薬企業に提供する仕組みが、2018年施行の次世代医療基盤法で整備された。
国が同法に基づいてデータの収集と加工にあたる専門の事業者を認定し、この事業者が医療機関のカルテや健康診断の検査値、診療報酬明細書などのデータを集める。個人が特定されないように匿名化して情報提供する流れで、がんの治療効果を確かめる研究などに活用されつつある。
新たに提供されるのは、患者数が極めて少なく、これまでは除外していた症例データや、突出して高い検査値など。「30歳代」などと概数にしていた年齢や体重も詳しい数値を提供できるようにする。今年末までに詳細を決める。これまでは、個人情報保護の観点から対象外にしていたデータが多く、研究開発に活用しにくいとの声が製薬企業などから上がっていた。
また、現行のルールでも患者らはデータの収集・提供を拒否できるが、提供データ拡充に伴い、認定事業者に対してより厳格な情報管理を求める方針だ。
認定事業者は今年8月現在で計約247万人分の情報を集めたが、提供実績は22件にとどまっている。今後データが増えれば、薬事承認前の治験ではわからなかった薬の副作用の把握や、新しいワクチンの安全性、有効性の検証などへの活用が期待される。
海外では、いち早く新型コロナウイルスワクチンの大規模な接種を始めたイスラエルが、接種情報を迅速に集約・解析して製薬企業へ提供、ワクチンの有効性証明に貢献した。欧州連合(EU)は、データを加盟国の研究機関の間で共有することを検討するなど、データ利用を促進する動きが活発になっている。
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☘️ヤフコメ❗️ピックアップ☘️
患者本人や家族での病歴や既往歴の把握は難しくアクシデント・インシデントにつながる可能性も高く、何より初診・紹介時の情報把握の煩雑さが問題だからです。
そして実現するにあたっては何よりも個人情報漏洩の防止であり、心理的防止としては漏洩の厳罰化が選択肢と思います。
✅ 個人の病歴とかはあまり公にされたくない人多いと思うので、属性などはすべて共有されてもいいかとは思いますが、何処の誰々だとかいうことは完全な匿名性でお願いできればと思います。目的は医療における研究開発ということだと思うのでそれに沿ったかたちでデータが有効活用されれば、日進月歩とされる医療の世界においても、今では難病とされるような病気を抱えているような患者さんたちにとっても、更なる研究が進めば、期待が持てるプロジェクトとなるのではないかと思います。
✅ イスラエルの例が書かれているが、コロナでわかったことは日本の情報管理の遅れ。
イギリス保健省やアメリカの保健団体のデータを使った疫学や薬剤の効果や副作用、後遺症の分析研究がつぎつぎと公表され、こちらは非常に助かった。
日本では、データの吸い上げのシステムが無いため、まずコロナ研究参加のために医療機関内で治験の手続きを経て、参加登録をして、さらに1症例づつ登録入力しなくてはならなかった。
データも不備があるだろうし、入力したデータ以外のものは、後で収集することはできない。
各国からつぎつぎと出てくる新しい知見を羨ましく思いながら、前時代的な手法でデータ収集している日本も変わらないといけないと思った。
オンライン資格確認とマイナンバーの話は、こういった国際的な競争力をいかに持つかという話にもつながると思う。