江沢民氏死去 道筋つけた強国路線
✍️記事要約
中国の江沢民（ジアンズォーミン）元国家主席（元共産党総書記）が３０日午後０時１３分（日本時間同１時１３分）、白血病による多臓器不全のため上海市内で死去した。９６歳だった。国営新華社通信が伝えた。江氏は毛沢東、トウ小平に続く世代の指導者として中国を高速経済成長に導き、現在の習近平（シージンピン）政権が突き進む強国・強軍路線への道筋をつけた。
死去を受けた「全党・全軍・全国各民族人民に告げる書」では、江氏を「崇高な威信を持つ卓越した指導者」「偉大なマルクス主義者」などとたたえた。
中国の強国・強軍路線に道筋、歴史問題巡り日中対立きっかけも…江沢民氏死去
２０１９年１０月１日、北京で建国７０年を記念する軍事パレードに臨む江沢民氏（右）。隣は習近平氏と胡錦濤前国家主席＝片岡航希撮影
江氏は１９８９年６月、天安門事件で失脚した趙紫陽元総書記の後任として当時の最高実力者・トウ小平に、上海市トップの市党委員会書記から抜てきされた。トウが敷いた改革・開放路線を忠実に歩み、２０００年には指導思想「三つの代表」を提唱し、資本家の入党に公式に道を開いた。０１年には世界貿易機関（ＷＴＯ）への加盟も果たした。総書記在任中の１３年間の経済成長率は年平均９％を超えた。
一方、対外的には強硬な面も目立った。９６年３月の台湾初の総統直接選挙を前に、中国軍が９５年７月から９６年３月にかけ、台湾上陸訓練や台湾沖への弾道ミサイル発射を繰り返し、台湾独立の動きをけん制した。
江氏は愛国主義教育も進め、「日本に対して歴史問題を永遠に言い続けなければならない」と主張。９８年の来日時には宮中晩さん会で歴史問題を持ち出し、日本国内の対中感情を悪化させるなど歴史問題での日中対立のきっかけを作った。
引退後も党や軍に隠然とした影響力を保ち、後任の胡錦濤（フージンタオ）前政権への「院政」を敷いたとされ、習国家主席の政権発足には江氏の支援もあったとされる。習氏は自らの「１強体制」確立へ、汚職摘発を通じて江氏に連なる勢力の排除を進め、その影響力の低下を図ってきた。江氏が公の席に姿を見せたのは、１９年の建国７０年記念式典が最後だった。
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また、江氏が権力の階段を駆け上っていた1992年2月、中国の全国人民代表大会（国会に相当）常務委員会で領海法を制定し、尖閣諸島を中国領土と明記したことも忘れてはならないだろう。
江氏は1998年の訪日時には宮中晩さん会で天皇陛下の前で歴史問題を持ち出し、軍国主義批判を展開。日本国内の対中感情を悪化させた。
✅ 江沢民氏の在任中に起きた台湾海峡危機は、当時存命だった鄧小平氏の意向を無視出来なかった面もあるでしょう。
逆に言うと、韜光養晦を旨とする鄧小平路線を持ってしても、台湾は絶対に譲ることができない核心的利益の一丁目一番地、ということを認識させられました。
第二次天安門事件で人民に銃口を向けさせられた解放軍に対しての配慮もあったのでしょうか。
当時は大陸首脳のさまざまな思惑や内情が入り乱れる中で、李登輝氏最大の応援団とまで揶揄されたことが思い出されます。
✅ 中国全土で「ゼロコロナ対策に対する抗議デモ」が拡大し、政府に対する抗議の声が高まっているこのタイミングで、江沢民元国家主席が亡くなったというのは、中国政府にとっては何か中枢の力を失ったような印象で良くないかもしれませんね。
中国に強国路線をつけた江沢民元国家主席が去り、その時代は終わりを告げました。大きな意味で中国の独裁政権が永遠に繁栄し続けるということはこれからの時代にはないと思います。民意を反映し、真の民主主義が求められる時代であり、そういう流れになってきていると思います。
習近平氏は強国路線にこだわらずに国民の声を聴き、民意に応える姿勢を示さないと独裁政権を民衆の手で終わらせられる日が来るかもしれません。
