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2022年は過去最多の感染者数の梅毒とは[2023.2.27]

2022年は過去最多の感染者数の梅毒とは

【記事詳細】Yahooニュース

✍️記事要約

✅ 2022年は過去最多の感染者数 梅毒ってどんな病気?

2022年は梅毒の日本国内の報告数が過去最多となりました。
今増えている梅毒という感染症はどういう病気なのでしょうか?
梅毒の流行状況、感染経路、症状、治療、予防について解説します。

梅毒は2010年頃までは年間数百例の報告数でしたが、2010年代以降は増加の一途をたどっており、2022年は12,964例と感染症法の施行以来初めて年間1万例を超えました。
2021年から比べると約5,000例の増加となっており、著しく増えていることが分かります。

年齢・性別ごとに見ると、男性では20代以上の世代で幅広く感染者が報告されているのに対し、女性では20代が突出して多くなっています。
一部の報道ではマッチングアプリと梅毒の増加との関連が指摘されているようですが、必ずしも疫学的に因果関係が明らかになっているわけではありません。
国立感染症研究所のデータからは、むしろ梅毒と診断された男性の28%に過去6ヶ月以内の性風俗店の利用歴があり、また梅毒と診断された女性の39.6%に性風俗店の従事歴があったことが分かっており、性風俗店の利用や従事は明確な梅毒のリスクと考えて良さそうです。

梅毒は梅毒スピロヘータによる性感染症であり、性行為によって感染します。
最初の症状は、感染からおよそ1ヶ月後に梅毒スピロヘータが感染した部位に潰瘍が現れます。
生殖器同士の接触により感染することが多いため、陰部に潰瘍が出現することが多いですが、口に現れることもあります。
この時期を一期梅毒と呼びます。
写真は口唇に現れた一期梅毒の潰瘍病変です。
この潰瘍病変に梅毒スピロヘータが存在するため、生殖器同士の接触だけでなく、オーラルセックス、キスなどによっても感染することがあります。

この一期梅毒の時期を放置しておくと、感染から1〜3ヶ月後に二期梅毒へと進展します。
二期梅毒は皮疹(皮膚のぶつぶつ)が手のひらや足の裏を含めて全身に出現したり、発熱、だるさなどが現れます。
一期梅毒、二期梅毒のいずれも放置しておいても自然に症状は消失します。
全く症状がなくなった状態を潜伏梅毒と呼びます。潜伏梅毒の時期でも1年くらいは周りに感染させることがあります。
また妊婦さんが感染することで、胎児が感染し皮疹、知的障害、麻痺などがみられることのある先天梅毒となることがあります。

■梅毒の診断は?

梅毒の診断は、血液検査によって可能です。
RPR、TPHAといった項目を測定し、それぞれの結果に基づいて診断します。
梅毒が疑われる症状のある方、不特定多数の性行為相手のいる方はぜひ検査を受けるようにしましょう。保健所・健康福祉事務所などに聞けば、無料で検査できるところを教えてくれます。
また、もし梅毒と診断された場合は、あなたがうつしたかもしれない方にも梅毒の検査を勧めましょう。
なお、TPHAという項目は過去に感染した人はずっと陽性となり続けるため、必ずしも今現在の感染を意味しません。
気になる方はかかりつけ医に相談するようにしましょう。

■ 梅毒の治療は?

梅毒は抗菌薬が有効な感染症です。
通常、ペニシリンという抗生物質を用います。
従来は飲み薬を2週〜4週間内服して治療をしていましたが、2021年から点滴による治療が行えるようになり、1回の筋肉注射で治療可能となりました(感染から1年以上経過している、もしくは感染時期が不明である後期梅毒では週1回注射を3回行います)。
治療を開始して24時間以内に熱が出ることがあり、ヤーリッシュ・ヘルクスハイマー反応と呼ばれます。
多くは自然に治まるものであり解熱薬などで様子を見ていただいて大丈夫なことが多いですが、稀に重症となることもあります。
ペニシリンアレルギーのある方は別の抗菌薬も使用できます。詳しくはかかりつけ医にご相談ください。

■梅毒に感染しないためには?

性行為の際にコンドームを適切に使用することが重要です。
ただし、コンドームが覆わない部分から感染することもあるため、コンドームで100%予防できるわけではありません。
もし皮膚や粘膜に潰瘍や皮疹が出た場合は、性行為を控え、早めに医療機関を受診して相談しましょう。
性行為をするパートナーが複数いるなど、感染リスクの高い方は症状がなくても定期的に梅毒や他の性感染症のスクリーニング検査を受けることが勧められています。
また一度梅毒に罹ったことがある方でも、また梅毒に感染することがあります。

私の患者さんでは5回感染した方がいらっしゃいました。
「一度感染したから自分は大丈夫」ということはありませんので、梅毒が疑われる症状のある方、不特定多数の性行為相手のいる方はぜひ検査を受けるようにしましょう。

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