米FRB、0.25%の利上げを決定
✍️記事要約
米連邦準備制度理事会(FRB)は22日、政策金利を0・25%引き上げると決めた。急激な利上げを背景とする銀行破綻で金融システムへの不安が広がったが、記録的なインフレの抑制を優先し、利上げを続けることにした。9会合連続の利上げで政策金利の誘導目標は4・75~5%となる。
FRBは2022年6月から4会合連続で従来の3倍の0・75%の大幅利上げを進めた後、12月会合で0・5%、23年2月会合では0・25%に利上げ速度を落としていた。ただ、米国の2月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比6・0%上昇と8カ月連続で鈍化したが、FRBの目標とする2%を大幅に上回っている。パウエル議長は3月7日の米議会の公聴会で「より早い金融引き締めが必要とのデータが出てくれば、利上げを加速する用意がある」と、利上げペースを再加速させる可能性を示唆。市場では「3月会合でFRBが利上げ幅を0・5%に戻す」との見方が浮上していた。
しかし、その数日後、FRBの急激な利上げに伴う国債価格の下落を背景に米中堅のシリコンバレー銀行(SVB)など2行が相次いで経営破綻。中小規模の銀行から預金を引き出す動きが加速し、金融システムへの不安が広がった。欧州でも金融大手クレディ・スイスの経営不安が再燃し、市場では一転して「FRBが大幅な利上げをするのは難しい」との見方が増え、利上げを見送るとの観測も出ていた。
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☘️ヤフコメ❗️ピックアップ☘️
外為市場は利上げ決定発表直前に既に大きく振れ始め、日本時間23日午後5時のリアルタイムでは、1ドル、131円かなり近くに、つまり、1円程の円高に振れている。
外為市場の受けとめ方は、しかし、円高と言う以上に、円ドル相場のドル安で、FOMC云々よりも、米国のみならず欧州市場での金融不安が、依然として払拭されていないとの多様な市場心理を反映。
タカ派、ハト派云々以前の、『米FOMC側の権威を守る為の防御的な利上げ』と専門分析。
✅ 0.25%利上げは市場の大方の予想通りでした。ただ、声明やパウエル議長の記者会見では今後の利上げに慎重な姿勢も示されました。インフレ退治という面では利上げ継続が必要ですが、この2週間で起こった金融システムの動揺にも配慮を強めていたからです。
パウエル議長は「金融システムは健全」としつつも、不確実性が高い点も認めました。金融市場の動揺事態が、景気にブレーキをかける可能性も意識しており、利上げ見通しは2週間前よりも引き下げられたと説明しました。市場では次回会合での利上げ停止や年央以降の利下げも意識されています。
FRBはこれまで、インフレ退治に全力を注いできましたが、金融安定というもう一つの使命への対応に迫られるようになりました。やっかいなジレンマに挟まれ、かじとりは一段と難しくなっています。
✅ 利上げは既発債の価格を押し下げていくため、債券運用の多い金融機関には厳しい局面が続くものと思われます。
債券価格が下落しても期限まで持っていれば元金が償還されるため巨額の損失までには至らない事が多いのですが、途中で売却しなければならなくなると話は別です。米銀の破綻では、預金の流出が多くなったため資金確保のために価格の下落した債券を投売りせざるを得なくなり、そのことが新たな信用不安を呼ぶ悪循環に陥ってしまいました。
銀行の破綻は融資を受けている企業にも影響があります。別の銀行から融資を受ける事が出来れば良いのですが、取引実績が無いと融資を受ける事が難しくなる可能性があるためです。過去のリーマンショックでは多くの企業も倒産に追い込まれ多くの人が失業していきました。
日本でも日銀に利上げを求める声がありますが、国内金融機関も大量に国債を保有している事を考えると慎重な判断が必要だと思います。