Yahooニュース

健康のために8時間睡眠を死守…それって本当?[2023.9.4]

健康のために8時間睡眠を死守…それって本当?

【記事詳細】Yahooニュース

✍️記事要約

✅ 健康のために8時間睡眠を死守…それって本当?医師「4、5時間で十分な人もいるし、年齢を根拠に何時間眠ればよいとは判断できない」

なかなか寝つけない…、途中で何度も目が覚める、といった睡眠不足が原因で疲れがとれず悩んでいる方もいらっしゃることでしょう。「睡眠不足によって重大な病気を招くことがあるだけでなく、ぐっすり眠れない背景には危険な病気が潜んでいることもある」と語るのは、睡眠総合ケアクリニック代々木理事長の井上雄一先生。井上先生「年齢を重ねるにつれ、睡眠時間は徐々に短くなっていきます」と言っていて――。

◆Q:加齢とともに睡眠時間が短くなっているように思います

A:若いころはそれこそ何時間でもよく眠れたし、休日などには二度寝、三度寝をして昼過ぎまで寝るのが当たり前だったという人も多いでしょう。ところが、年齢を重ねるにつれ、睡眠時間は徐々に短くなっていきます。

10歳くらいまでは8~9時間は眠っていますが、15~25歳くらいになると7~8時間ほどになります。さらに40歳代以降になると6時間半くらいとなり、70歳をすぎると5~6時間に減っています【→グラフ】。

このように睡眠の持続時間は年齢とともに短くなる傾向があるのですが、その理由は加齢によって睡眠が浅く分断されやすくなっていくことと、必要とする睡眠時間が少なくなっていく傾向のためだと考えられています。

若いころと比べると、加齢によって活動量や基礎代謝(人が生きていくために最低限必要なエネルギー量)も減少します。そのぶん脳やからだの休息に要する時間も減ってくるため、睡眠時間も短くてすむようになるのです。

また、高齢者では体内時計も加齢によって変化し、体温やホルモン分泌など睡眠にかかわる機能の生体リズムが前倒しになります。早寝早起きになるのはこのためです。

とはいえ、睡眠時間の長短には個人差があります。4~5時間眠れば十分という人もいれば、少なくとも9時間は寝たいという人もおり、年齢だけを根拠に何時間眠ればよいと判断することはできません。

重要な点は、睡眠時間が短くなっていてもそれが加齢によるもので、日中の活動に影響がなければ不眠ではなく心配はいりませんが、眠気やだるさなどの不調があり、昼間の生活に支障が出ているなら原因を探って対処する必要があるということでしょう。

◆Q:夜中に何度もトイレに起きてしまいます

A:夜、寝ている間に排尿のために1回以上起きなければならないことを「夜間頻尿」といいます。睡眠の途中で目が覚めてしまうことから「中途覚醒」の問題として捉えることもできますが、夜間頻尿は、加齢とともにその頻度が高くなります。

その理由としては、以下のような要因が考えられます。

・膀胱の容量の減少
加齢によって膀胱の筋肉組織の弾力性が低下し、広がりにくくなります。すると膀胱の容量が少なくなって膀胱内にためておける尿量が減り、尿意をもよおしやすくなります。

・泌尿器系の病気の影響
男性では前立腺肥大症が関係しているケースが多いようです。前立腺肥大症は加齢によって増える病気で、肥大した前立腺によって尿道が圧迫され、十分排尿できないために膀胱内に尿が残りやすく、排尿回数が増えてしまいます。

また、過活動膀胱による頻尿もあります。過活動膀胱とは、膀胱内に尿が十分にたまっていないのに急激に尿意をもよおす状態で、夜中に急に尿意が起こり夜間頻尿の原因になります。そのほかに尿路感染症によって頻尿になることもありますが、この場合は感染症の治療をすれば頻尿は改善されます。
◆夜間頻尿の要因

・服用している薬の影響
高血圧などで利尿薬を服用しているために尿量が多くなり、頻尿になることがあります。

・脚のポンプ機能の低下
加齢によって脚の筋肉や心臓のポンプ機能が低下すると、血液の循環が悪くなって下肢(主にふくらはぎ)に水分がたまりやすくなります。その水分は就寝時に横になると脚から上半身に戻ってきますが、そのうちの余分な水分は尿となるため夜間頻尿につながります。

高齢者は活動量が減り、日中歩いたりからだを動かしたりする機会が少ないことから、下肢に水分がたまりやすくなり、これが夜間頻尿につながります。

・就寝前のアルコールやカフェインの摂取
アルコールやカフェインには利尿作用があります。就寝前にお酒やコーヒー、緑茶、紅茶などを飲む習慣があると尿量が増えて夜間頻尿につながります。

このように夜間頻尿にはさまざまな原因がありますが、高齢者は注意が必要です。そもそも高齢になると生理的に眠りが浅くなり、すると軽い尿意やちょっとした物音などがきっかけで目を覚ますことが多くなります。

そして目が覚めると、用心のために“トイレに行っておいたほうがいいかも”と考えて、トイレに起きてしまうのです。こうしたことをくり返しているうちに、目が覚めたからトイレに行くのか、トイレに行くために起きたのかわからなくなってしまいます。

このような場合には、頻尿に対する治療よりも、頻回な中途覚醒を減らす治療のほうが有効なことが多いようです。

夜間頻尿を中途覚醒の問題として捉えて、その原因をつきとめ、適切に対処することも考慮すべきでしょう。
◆夜中にトイレに起きるときは転倒事故に注意

夜間頻尿で夜中にトイレに起きる際は転倒に注意しましょう。高齢者では転倒による骨折やけがのリスクが高いからです。

トイレに起きるときは明かりをつけて足元を照らし、段差や階段などで転ばないようにしましょう。

手すりや段差解消のスロープを設置する、寝室にポータブルトイレを備えることも検討します。

就寝時だけでも尿取りパッドなどを使用すれば多少漏れても安心。尿意に気づいてもあわててトイレに駆け込まずにすみます。

※本稿は、『名医が答える! 不眠 睡眠障害 治療大全』(講談社)の一部を再編集したものです。

  ◇   ◇   ◇

-Yahooニュース
-

© 2024 News HACK By Powered by AFFINGER5