日銀総裁 緩和的な金融環境は続く
✍️記事要約
日銀の植田和男総裁は23日、金融政策決定会合後の記者会見で、物価見通し実現の確度は引き続き高まっていると指摘、金融政策の正常化に前向きな姿勢を示した。4月までにマイナス金利が解除されるとみた金融市場では債券先物が下落、外為市場は円高に振れた。植田総裁はまた解除後の際も「大きな不連続性の発生は避ける」とし、「(解除後も)極めて緩和的な金融環境が当面続く」とその先の政策スタンスに踏み込んだ。
<マイナス金利解除、時期は明言せず>
日銀は決定会合で、金融政策の現状維持を決めると同時に「経済・物価情勢の展望」(展望リポート)を改訂した。消費者物価の基調的な上昇率が見通し期間終盤にかけて「『物価安定の目標』に向けて徐々に高まっていく」と改めて指摘するとともに、「先行きの不確実性はなお高いものの、こうした見通しが実現する確度は、引き続き、少しずつ高まっている」と明記した。
植田総裁は記者会見で、物価目標実現の確度が高まったと考える根拠として、展望リポートで示した2024年度・25年度の生鮮食品とエネルギー価格を除く消費者物価指数(コアコアCPI)の見通しがともに前年度比プラス1.9%で前回と変わらなかったことを挙げた。「(前回は)まだ必ずしも自信が持てないと申し上げてきたが、もう1回点検してみたら同じような見通しになった」と説明した。
ただ、物価目標実現の確度が少しずつ高まってきているいうことは好ましいことだが、「どれくらい近づいたかという定量的な把握自体は非常に難しい」と述べた。その上で、マイナス金利の解除時期は明確にしなかった。
3月会合前に政策変更に十分な判断材料がそろうかとの質問には「毎回会合時点までに得られた情報をもとに丁寧に判断していく姿勢に変わりはない」と話した。3月会合の前に春闘の集中回答日が予定されている。
4月会合の前には日銀短観や支店長会議がある。「もちろん3月に比べれば4月は情報量が増える。そうした中でどういう決断になるかはその時その時、新たに追加された情報をもとに考えていく」と述べるにとどめた。衆院補選が4月会合の直後に予定されているが「選挙の有無に関わらず、適切な金融政策運営をしていきたい」と話した。
<異次元緩和の「次」は>
一方、植田総裁は異次元緩和の「次」の金融政策の姿については踏み込んだ。「長く続いたマイナス金利がゼロ、ないしプラスに変わるかもしれないところで大きな不連続性が発生するようなことは避ける金融政策運営を、他の政策手段の調整も含めて考えていきたい」と語った。
現在見えている経済の姿を踏まえれば、仮にマイナス金利を解除することになっても「極めて緩和的な金融環境が当面続くということは言えるのではないか」とも述べた。長期国債の買い入れについても、「出口の前後で大きな不連続性が発生することがなるべくないように運営したい」とした。
市場ではこれまで4月の決定会合でのマイナス金利解除を見込む声が多かったが、こうした見方が一段と強まった。
科学技術振興機構の鵜飼博史チーフ・エコノミストは、植田総裁の会見で「タイミングはともかく、遠くない先にマイナス金利を解除するだけでなく、その後の政策スタンスまで考えていることが示された」と指摘。マイナス金利解除は4月に実施されてもおかしくないとみている。
<中小企業の賃上げ、見極めは「総合判断」>
2%物価目標の実現の前提として、日銀は賃金と物価の好循環を掲げている。大企業の一部で積極的な賃上げ方針が出てきているが、日銀では中小企業の賃上げ動向を見極めるべきだとの声が出ている。
植田総裁は、中小企業がみなそこそこ賃金が上がらないと金融政策の判断ができないわけではないと強調。「賃金そのものを見なくても、ほかの経済の動きから中小企業の賃金がどうなりそうか類推できるし、ヒアリング情報も入手可能だ」と述べた。大企業の動向や中小企業の中で先行する企業の動き、中小企業の業績やサービス価格の状況などを「総合判断」して見極めていく考えを示した。
植田総裁は賃金から物価への波及に期待感を示した。取引先との価格交渉の際に原材料コストの転嫁はできても賃金の上昇分は転嫁しにくいとの声や、価格交渉で使用される算出式に賃金が入っていないなどの話もあるが「賃金上昇がどれくらい続くかによって変わってくるとの見方もある」と指摘。社会で転嫁を許す雰囲気が広まる可能性もあり、「少しずつ転嫁が進むとみている」と述べた。
<能登半島地震>
植田総裁は記者会見の冒頭、1日に発生した能登半島地震について「金融機能の維持と資金決済の円滑確保に万全を期すとともに、今回の地震の影響に関する情報収集と分析に努めている」と述べた。
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☘️ヤフコメ❗️ピックアップ☘️
日々の生活で購入するものの大半を輸入にたよる日本では、賃金が5%上がっても円が35%も下落していては世界的には日本全体の貧困化であり、多くの国民の生活は楽にはならないでしょう。円高是正とインフレ抑制に効果がある金融引き締めは、世界の流れから考えると待てば待つほど実施出来なくなるでしょう。
✅ 植田総裁の言っていることは、食料品をはじめ、かなりのインフレにも関わらず、大企業を起点とした賃金上昇の流れができるまでデフレ対策を続けます、ということだと思います。つまり、物価上昇に苦しむ一般庶民より円安で儲ける大企業を重視しているに過ぎません。
加えて、日銀サイドからのコメントはありませんが、金利上昇した場合の日銀財務の悪化の問題も金利政策決定に影響していると思われます。
即ち、日銀は物価上昇に苦しむ一般庶民よりも、大企業や日銀自身の財務を優先に考え異次元金融緩和政策を続けているように思えます。
昨年、日銀総裁が変わったばかりですが、一般庶民の生活を第一に考える日銀総裁や政策決定改造メンバーに変わってもらったほうがいいのではないかと思います。
✅ 世界各国とは全く異なる金利政策は、一歩一歩修正していかないと、そのうちタイミングを失ってしまうだろう。日銀の計画は、海外の投資家からは見通しだと思う。今安い日本の株をドルで買って日本の株価を上げ、公定歩合修正によって下がる前に売れば大儲けができる。マイナス金利など早急に修正してしまうべきだ。