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世界初「ミューオン」再加速成功[2024.6.16]

世界初「ミューオン」再加速成功

【記事詳細】Yahooニュース

✍️記事要約

✅ 「ミューオン」再加速に成功 透過素粒子、構造物調査で活用 標準理論検証も・高エネ研など

高エネルギー加速器研究機構と日本原子力研究開発機構などの研究グループはこのほど、両機構が共同運営するJ―PARCセンター(茨城県東海村)で、素粒子の一つ「ミューオン」を人工的に冷却し、再加速させることに世界で初めて成功した。物質を構成する素粒子のふるまいを説明する物理学の「標準理論」の検証につながるほか、現在利用されている巨大構造物の内部調査での精度向上などが期待されるという。

ミューオンは物質を透過する能力が非常に高く、厚さ数キロある岩盤でも通り抜けられる。一方で、物質の密度が高ければ透過する粒子数が減るため、粒子の飛来した方向と数を調べることで、地盤や巨大構造物内部の密度分布を可視化することができる。ただ、極めて寿命が短い上に、粒子の速さや向きをそろえることは難しかった。

 研究グループは、加速器で発生させた光速の30%ほどの速さのミューオンを、スポンジ状の断熱材「シリカエアロゲル」に通してからレーザー照射して冷却し、いったんほぼ停止させた。その上で、エネルギーを加え光速の約4%まで再加速させることに成功した。

 停止状態から再加速させたミューオンは粒子の向きと速さがそろっているため、透過した物質の形などを判別する精度が向上。構造物内部のより詳細な調査やより精密な顕微鏡の開発などへの応用が期待される。

 さらに、現在の「標準理論」では説明できない未解明の物理現象を解明するカギとなる可能性もあるという。

 研究チームは今後、ミューオンを光速の約94%まで再加速させる技術開発を進めており、2028年の完成を目指している。

 研究代表を務める高エネ研の三部勉教授は「(今回の成果で)世界唯一のミューオンを使った顕微鏡開発などへの一歩を踏み出したと言える」と話している。 

  
■英訳

A research group including the High Energy Accelerator Research Organization (KEK) and the Japan Atomic Energy Agency (JAEA) has successfully cooled and re-accelerated muons, a type of subatomic particle, at the J-PARC Center in Tokai Village, Ibaraki Prefecture. This is the first time in the world that such a feat has been achieved. This success is expected to contribute to the verification of the Standard Model of particle physics, which explains the behavior of fundamental particles, as well as improve the accuracy of internal inspections of large structures currently in use.

Muons have a very high ability to penetrate matter, capable of passing through rock several kilometers thick. However, the number of particles that penetrate decreases with higher density materials, allowing the visualization of density distributions within the ground or large structures by examining the direction and number of incoming particles. Despite this, muons have an extremely short lifespan, and aligning their speed and direction has been challenging.

The research group produced muons traveling at about 30% of the speed of light using an accelerator. They passed these muons through a sponge-like insulating material called silica aerogel and then used laser irradiation to cool them, bringing them to an almost stationary state. Subsequently, they successfully re-accelerated the muons to about 4% of the speed of light.

Since the re-accelerated muons from a stationary state have aligned speed and direction, the accuracy in identifying the shapes of penetrated materials is improved. This advancement is expected to be applied in more detailed internal inspections of structures and the development of more precise microscopes.

Furthermore, there is potential for this technology to unlock mysteries of physical phenomena that the current Standard Model cannot explain.

The research team plans to develop technology to re-accelerate muons to approximately 94% of the speed of light, aiming for completion by 2028.

Professor Tsutomu Mibe of KEK, who leads the research, stated, "With this achievement, we can say we have taken the first step towards developing the world's only microscope using muons."

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☘️ヤフコメ❗️ピックアップ☘️

✅ ピラミッドの中に新しい秘密の部屋があることを発見したのはミューオン、電波の届かない地下でGPS以上に精密な測位ができることを実証したのもミューオン。
いずれもまだ私たちが利用できるような段階ではないが、研究から実用に移行しつつある技術なので期待が膨らむ。
ミューオンの利用価値は、どんな物を透過するときもほぼ光速であるところにあるので、再加速が光速の4%程度では、まだ先は長い。
それでも、自然に飛んでいるミューオンを検出して利用するだけだったこれまでと違い、方向を揃えたミューオンを自由に発することのメリットは大きいので、研究の進展がとても楽しみだ。
✅ これ、すごいのは一旦止めてるからエネルギーの揃った加速粒子ビームが作れるところなんですよね。止めなくていいならずっとエネルギーも量も多いミューオンを作れますけど、それだとエネルギーが揃ってないから精密測定に向かない。
素晴らしい技術ですね!
✅ この研究は、非常に重要。ミューオンは、宇宙線としても絶えず地球へも降り注いでおり、半導体内部をも透過してしまうので、半導体内の計算をビットレベルで、誤差を引き起こすことも指摘されています。

我々の社会に深く影響する事象とも関連が強く、非常に重要な研究テーマです。

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