現代ビジネス

ワクチンの効果期間を調べる必要条件の困難さとは[2024.8.2]

ワクチンの効果期間を調べる必要条件の困難さとは

【記事詳細】Yahooニュース

✍️記事要約

✅ 「5600万人」が命を落とした脅威のウイルス「天然痘」…ワクチンの効果期間を調べる必要条件の困難さに絶句…

20世紀のおわりから21世紀の今日にかけて、免疫の“常識”は大きく変わった。自然免疫が獲得免疫を始動させることがわかり、自然炎症という新たな概念も加わり、制御性T細胞の存在は確かなものとなり、mRNAワクチンは現実のものとなった。

免疫を学ぶとき最初に読むべき一冊として高く評価された入門書が最新の知見をふまえ、10年ぶりに改訂。

免疫という極めて複雑で動的なシステムの中で無数の細胞がどう協力して病原体を撃退するのか?わたしたちのからだを病原体の攻撃から守る免疫の基本的なしくみはどうなっているのか?本連載では、世界屈指の研究者達が解き明かした「免疫の最前線」を少しだけご紹介しよう。

*本記事は、自然免疫研究の世界的権威審良 静男、B細胞研究の第一人者黒崎 知博、T細胞研究・炎症学研究の第一人者村上 正晃3名の共著『新しい免疫入門 第2版 免疫の基本的なしくみ』(講談社ブルーバックス)を抜粋、編集したものです。

未解明の迷宮

プロローグでのべたように、二五〇〇年も前に「二度なし」の現象が書物に記録されている。また、二〇〇年前にジェンナーが最初の天然痘ワクチンを接種、その後たくさんのワクチンが開発され、数多くの病気が征圧されている。にもかかわらず、免疫記憶のメカニズムは、よくわかっていない。

図8‐1は、免疫記憶の説明に使われる典型的なグラフである。抗原の初回の侵入では、七日目あたりから抗体が増えはじめ、一五日目あたりでピークとなる。それが二回目の侵入になると、七日目で初回のピークを大きく超え、一〇日目で初回の一〇〇倍近くに達する。すなわち、初回の侵入が記憶され、二回目の侵入では迅速かつパワフルに対応する。

現象としては一目瞭然なのに、なぜメカニズムが解明できないのだろうか。

最大の理由は、記憶細胞は計測がむずかしく、いちじるしく実験が困難なことにある。そのうえ一年をこえるスパンでの実験には強靱な精神力が必要だ。長年、免疫記憶の迷宮にはまっている筆者(黒崎)がいうのだからまちがいない。

そうはいっても、研究者たちの努力でいろいろなことが少しずつわかってきた。本章では、それらをオムニバスに語ろう。

記憶B細胞、記憶キラーT細胞、記憶ヘルパーT細胞。現在では、これらの細胞が存在することは確かであるとされている。

なにをいまさら、と思われるかもしれないが、免疫記憶の説明に、免疫記憶に特化した記憶細胞の存在が絶対に必要かというとそうではない。たとえば、図8‐1の現象を説明するのに、必ずしも記憶細胞という特殊な細胞の存在は必要ない。侵入した抗原が少量だけ体内で生き残りつづけるしくみがあるなら、それを説明できる可能性がある。

だから記憶細胞は、「一度、抗原を経験して、そのあと抗原が存在しない状況下でも生きのびている細胞」をその定義としている。

このような定義のもと、現在では、記憶B細胞、記憶キラーT細胞、記憶ヘルパーT細胞とも、たとえ体内に抗原が存在しなくても、サイトカインによって長期間維持されることが実験的に証明されている。

また米国では、天然痘ワクチン接種後の免疫記憶の持続に関する研究がおこなわれ、記憶B細胞、記憶キラーT細胞、記憶ヘルパーT細胞とも、ほぼ生涯維持されていることが報告された。このような研究が可能だったのは、天然痘は一九八〇年に全世界で撲滅され、「抗原が存在しない状態」が実現したからである。

ただし、すべての病原体感染やワクチン接種で、これほど長く免疫記憶が維持されるわけではないことに注意してほしい。維持期間に差のある理由はよくわかっていない。

免疫記憶のしくみをかんたんに説明してみよう。

まず、抗原刺激により、ナイーブB細胞、ナイーブキラーT細胞、ナイーブヘルパーT細胞が抗原特異的に活性化され、増殖する。増殖した細胞はそれぞれの役割をはたすべく一生懸命にはたらく。これまではとくに言及しなかったが、この時期の細胞を各細胞のエフェクター細胞とよぶ。「はたらく細胞」という意味合いである。一方、増殖した細胞の一部は記憶細胞になる。

抗原が排除されると、エフェクター細胞はやがてアポトーシスによって死んでしまう。一方、記憶細胞はそのまま生きつづけて、つぎの抗原侵入にそなえる。

同じ抗原がつぎに侵入したとき、これらの記憶細胞が抗原特異的に活性化される。

記憶細胞は、

(1)すぐにエフェクター細胞に分化できる段階にあること

(2)抗原特異的な細胞の割合がナイーブ細胞にくらべて高いこと

(3)空間的にエフェクター機能を発揮しやすい場所に位置していること

などから、二回目の反応は迅速かつパワフルにおこる。

以上が、先に示した図8‐1の謎解きでもある。

おそらくこういう流れであろうということで、細部はまだ不明なところが多い。記憶B細胞ができるメカニズムは、3章でのべたようにかなりわかってきた。記憶T細胞ができるメカニズムについては、それらの細胞がさまざまな臓器に存在していることから、偶然に生存因子としてのサイトカイン発現の多いところに行くことで形成されていると考えられている。記憶細胞がつぎの抗原侵入まで維持されるしくみについても、主にサイトカインなどの影響と考えられているが、臓器ごとの詳細などはっきりとはわかっていない。

前項でのべた免疫記憶のしくみのなかで、かつて記憶ヘルパーT細胞について議論になったことがある。それは、記憶B細胞が活性化する際に、記憶ヘルパーT細胞は必要なのか、という点である。

二回目の反応が迅速なのは、そもそも記憶B細胞は活性化ヘルパーT細胞の助けなしに活性化できるからではないかと考えられていた時期があった。活性化ヘルパーT細胞の助けがいらないことも、記憶B細胞の反応が迅速である一つの理由だと……。

しかし、研究が進み現在では、記憶B細胞の活性化には、やはり活性化ヘルパーT細胞の助けが必要であると考えられている。また、その任にあたるのも、同じ抗原を認識する記憶ヘルパーT細胞から生じた活性化ヘルパーT細胞だと考えられている。

*      *      *

さらに「新しい免疫入門 第2版」シリーズの連載記事では、免疫学の最前線について詳しく解説しています。

■英訳 

From the end of the 20th century to today in the 21st century, the "common knowledge" of immunology has undergone significant changes. We now understand that innate immunity initiates adaptive immunity, a new concept of innate inflammation has emerged, the existence of regulatory T cells has been confirmed, and mRNA vaccines have become a reality.

The highly acclaimed introductory book, recommended as the first read when learning about immunology, has been revised for the first time in ten years to reflect the latest findings.

How do countless cells within the extremely complex and dynamic immune system work together to fend off pathogens? What are the basic mechanisms of our immune system that protect our bodies from pathogenic attacks? In this series, we will introduce a glimpse of the "cutting edge of immunology" unraveled by some of the world's leading researchers.

*This article is an excerpt and edit from "New Introduction to Immunology, 2nd Edition: Basic Mechanisms of Immunity" (Kodansha Bluebacks), co-authored by world-renowned natural immunity researcher Shizuo Akira, leading B cell researcher Tomohiro Kurosaki, and leading T cell and inflammation researcher Masaaki Murakami.*

**The Unexplored Maze**

As mentioned in the prologue, the phenomenon of "no second time" was recorded in books 2,500 years ago. Furthermore, 200 years ago, Jenner administered the first smallpox vaccine, leading to the development of numerous vaccines that have conquered many diseases. Yet, the mechanisms of immune memory remain poorly understood.

Figure 8-1 shows a typical graph used to explain immune memory. Upon initial exposure to an antigen, antibody levels start to rise around the seventh day and peak around the fifteenth day. With a second exposure, the response surpasses the initial peak by the seventh day and reaches almost 100 times the initial response by the tenth day. In other words, the initial exposure is remembered, and the response to the second exposure is swift and powerful.

Despite the clarity of the phenomenon, why is the mechanism so elusive?

The primary reason is that memory cells are difficult to measure, making experiments exceedingly challenging. Moreover, experiments spanning over a year require immense mental fortitude. Having been entangled in the maze of immune memory for many years, I (Kurosaki) can attest to this.

Nonetheless, researchers' efforts have gradually unveiled various aspects. In this chapter, we will discuss these in an omnibus fashion.

Memory B cells, memory killer T cells, and memory helper T cells are now known to exist.

You might think this is common knowledge, but to explain immune memory, the presence of memory cells specialized for immune memory is not necessarily required. For example, the phenomenon shown in Figure 8-1 can be explained without the existence of specialized memory cells if there is a mechanism by which a small amount of the invading antigen persists in the body.

Therefore, memory cells are defined as "cells that have experienced the antigen once and survive even in the absence of the antigen."

Under this definition, it has been experimentally proven that memory B cells, memory killer T cells, and memory helper T cells can be maintained for long periods by cytokines, even in the absence of the antigen.

In the United States, studies on the persistence of immune memory after smallpox vaccination have shown that memory B cells, memory killer T cells, and memory helper T cells can be maintained almost for a lifetime. This research was possible because smallpox was eradicated worldwide in 1980, creating a state of "no antigen."

However, it should be noted that not all infections or vaccinations result in such long-lasting immune memory. The reasons for differences in maintenance duration are not well understood.

Let's briefly explain the mechanism of immune memory.

First, upon antigen stimulation, naive B cells, naive killer T cells, and naive helper T cells are activated and proliferate in an antigen-specific manner. The proliferated cells work hard to perform their respective roles. During this period, these cells are called effector cells. Some of the proliferated cells become memory cells.

Once the antigen is eliminated, the effector cells undergo apoptosis and die, while the memory cells survive and prepare for the next antigen invasion.

When the same antigen invades again, these memory cells are activated in an antigen-specific manner.

Memory cells:

1. Are already in a stage where they can quickly differentiate into effector cells.
2. Have a higher proportion of antigen-specific cells compared to naive cells.
3. Are located in places where they can easily exert effector functions.

This explains why the second response is swift and powerful, as shown in Figure 8-1.

This flow is likely accurate, but many details remain unclear. The mechanism by which memory B cells are formed is fairly well understood, as discussed in Chapter 3. The mechanism by which memory T cells are formed is thought to involve randomly arriving at sites with high expression of survival cytokines. The maintenance of memory cells until the next antigen invasion is also mainly attributed to cytokines, but the specifics in each organ are not yet well understood.

Regarding the mechanism of immune memory, there has been debate about the necessity of memory helper T cells for the activation of memory B cells. It was once thought that memory B cells could be activated without the help of activated helper T cells, explaining the rapid response of memory B cells.

However, current research suggests that the activation of memory B cells still requires the help of activated helper T cells, which are derived from memory helper T cells recognizing the same antigen.

* * *

Further detailed explanations of the latest advances in immunology are provided in the series of articles based on "New Introduction to Immunology, 2nd Edition."

◇   ◇   ◇

☘️ヤフコメ❗️ピックアップ☘️

✅ 小さいころワクチンの記憶はない、腕のところに跡があるので「疱瘡」と聞いたことがある、あとは小学校の時ツベルクリンのあとにBCGを、BCGはいたかったので検査の時に腕を軽くたたいてBCGを避けるようにしていた。
今はインフルエンザ(もう10年くらいやっていない)も接種するとその時にはほぼインフルエンザになったのでその後はやっていない。
帯状疱疹もワクチン接種を検討する前に罹るし、医者曰くかかったら5年10年はかからないからワクチン不要と言われたそのあとに帯状疱疹になる。
たぶんコロナワクチンを接種したからだろうと思っている。

コロナも罹った、本当かウソか知らないけどワクチンを接種したから軽症だとか、ほんとうかなあ。
✅ 唯一ワクチンで撲滅できたのは天然痘だけです。5600万人が命を落とした脅威のウィルスですがワクチンにより全滅。それに比べてコロナは、永久的だし、コロナは、変異を繰り返すペースも早くどんな新たな変異株を登場させるのかわからないので、殆ど免疫も出来ないと思うし集団免疫を獲得することも出来ないですね。今、流行しているKP.3の感染者が、9月には2000万人らしい、感染力が強く、免疫回避力もJN.1の2倍なので抗ワクチンの防御何か突破するので、中等症に重症になる可能性もあるしかしコロナ感染者が9月には2000万人にもなれば入院出来ない人達が大勢いることに、今でも入院先が見つからないのに、コロナ治療薬のゾコーバが医療費3割の人で1万5000で高い薬は3万もするので経済的に無理な人達が多いので家で症状が重くなり亡くなる人達が増えるこんだけ日本人の感染者がいるのに外国人観光客に感染者がいないのはおかしい
✅ 江戸時代、天然痘は致命率が(20〜50%)と高かった。
幕府も右往左往してるだけ。
これに、天然痘の予防には牛痘の種痘が効果的だと知った佐賀藩主鍋島直正が、国外から痘苗(ワクチン)をとりよせ、藩医の楢林宗建が長崎で試したのち、嘉永2年(1849年)佐賀城で藩主鍋島直正の息子淳一郎(直大)に接種。その成功によって牛痘種痘は藩内に広がり、やがて全国に普及した。
佐賀藩の蘭方医だった伊東玄朴らが、江戸の神田お玉が池に種痘所を設立。
これがのちの東大医学部発祥の地。
蘭癖大名がいて良かったな。

-現代ビジネス
-, ,

© 2024 News HACK By Powered by AFFINGER5