巨大地震注意の呼びかけ検証 政府
✍️記事要約
史上初の南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)の終了を受け、政府は国民への注意の呼び掛けが適切だったか検証する方針だ。
一部の地域で宿泊施設のキャンセルが相次ぐなど、政府が想定していない反応を招いたとの反省からだ。
岸田文雄首相は15日、松村祥史防災担当相ら災害担当者と首相官邸で協議し、「一連の対応や社会の反応を振り返り、国民への呼び掛け要領など運用面で不断の改善を図る」よう指示した。
臨時情報が発表された8日、首相は官邸で記者団の取材に応じ、国民に向けて「日ごろからの備えを再確認し、地震が発生したらすぐに避難できる準備を行ってほしい」と発信。一方、林芳正官房長官は記者会見で、今回の臨時情報は「巨大地震警戒」よりレベルが下の「注意」だと強調し、国民に冷静な対応を要請した。
首相は9日に記者団の前に再度立ち、「国民には情報の性格をよく理解し、旅行、帰省などを含めて社会経済活動を継続してほしい」と強調。しかし、実際には、三重、和歌山、徳島、愛媛、高知、宮崎各県などで宿泊のキャンセルが例年より増え、物資の買い占めなども起こった。徐行運転や一部運休に踏み切った鉄道会社もあった。
官邸関係者は「できることはやったが、一部で過剰な反応があった」と課題を口にする。政府の発信が分かりにくかったとの指摘に加え、首相が外遊を土壇場で取りやめたことが影響したとの見方も政府関係者の間では出ている。
首相との協議後、松村氏は記者会見で「初めての臨時情報発表だったので、国民には戸惑いもあったと思う」と分析。「(内閣府の)ワーキンググループで国民への周知のありようを議論する。今後の対応に生かしていく」と強調した。
■英訳
In response to the conclusion of the first-ever Nankai Trough Earthquake Emergency Information (Warning of Major Earthquake), the government has decided to review whether its call for public caution was appropriate.
This decision comes from the reflection that the government's announcement triggered unexpected reactions, such as a wave of hotel cancellations in some regions.
On the 15th, Prime Minister Fumio Kishida met with Disaster Management Minister Yoshifumi Matsumura and other disaster officials at the Prime Minister's Office. He instructed them to "review the series of responses and societal reactions, and to continuously improve the methods used to call for public caution."
On the 8th, when the emergency information was issued, the Prime Minister spoke to the press at the Prime Minister's Office, urging the public to "reconfirm your daily preparations and be ready to evacuate immediately if an earthquake occurs." Meanwhile, Chief Cabinet Secretary Yoshimasa Hayashi emphasized in a press conference that the emergency information was a "caution," which is a level lower than a "warning of a major earthquake," and called for the public to remain calm.
On the 9th, the Prime Minister again addressed the media, emphasizing, "I urge the public to fully understand the nature of the information and to continue their social and economic activities, including travel and homecoming." However, in reality, there were more cancellations of accommodations than usual in Mie, Wakayama, Tokushima, Ehime, Kochi, and Miyazaki prefectures. Panic buying also occurred, and some railway companies decided to reduce train speeds or partially suspend operations.
A source from the Prime Minister's Office commented on the situation, saying, "We did what we could, but there were excessive reactions in some areas." In addition to criticisms that the government's message was unclear, some government officials believe that the Prime Minister's last-minute decision to cancel his overseas trip also had an impact.
After his meeting with the Prime Minister, Matsumura analyzed the situation in a press conference, stating, "Since this was the first time such emergency information was issued, I believe there was some confusion among the public." He emphasized that "a working group within the Cabinet Office will discuss how to effectively inform the public and apply the lessons learned to future responses."
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☘️ヤフコメ❗️ピックアップ☘️
ただ、制度設計を担った名古屋大学の福和伸夫名誉教授からは「予知はできない。でも巨大地震は必ず来るので、被害は減らさないといけない。実際の情報は『空振りもある』というスタンスで出されるが、起こり得ることは伝えられる」といった話を聞かされてきました。普段より異常な現象が起こっているのに、国が社会に向けて何も発信しないのはおかしいし、曖昧だけれどきちんと受け止めて行動できる人が多いことも明らかになりました。
「過剰反応」だったかどうかを一つ一つ検証するとともに、何より政府や自治体、あるいはメディアなどでもこの制度についての正しい理解や議論を進めた上で「次」に生かすことが求められます。
✅ ここでちゃんと避難リュック作ったからいいんだ。ヘルメットもかぶってサイズ合わせたし。ツイッターでいろんなアドバイス流れてきて、良さそうなのは取り入れたし、放電されてた充電の電池も充電したし、懐中電灯も履物も各部屋に設置したし、備えを強化できて良かった。
✅ 過剰というが、正式に南海トラフ情報というかたちで発表されれば反応せざるを得ない。
個人的には地震発生の危険が高まっているという物理的根拠がない状況での情報発表には疑問を感じている。
例えば海水浴場は閉鎖され、結果それに関連する観光施設でのキャンセルによって実害を被った業者もある。
また情報は一週間で解除されたが、地震発生の危険度が下がったわけではないでしょう。
危険度は今後一定規模の地震が実際に発生し、エネルギーが放出されない限り下がるはずのないものでしょうから。
今回の状況であれば、これまで同様の注意を怠らないようにという注意喚起をするくらいが妥当な処置だったのでは、という思いはあります。