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米で高まる自国優先 日本にも矛先[2024.11.8]

米で高まる自国優先 日本にも矛先

【記事詳細】Yahooニュース

✍️記事要約

✅ 米国で高まる「自国優先」 対中摩擦、同盟国・日本にも飛び火

米大統領選で共和党のトランプ前大統領の勝利が浮き彫りにしたのは、米国内での「自国優先」の内向き意識の高まりだ。

トランプ氏は、電気自動車(EV)や半導体、重要鉱物などの輸出で経済的な威圧を強める中国に対し高率関税を武器に強硬姿勢を強めてきた。その矛先は同盟国・日本にも向けられる。世界経済への下押し圧力や日本企業による対米戦略の不透明感が増しそうだ。

 「地政学的な分断、貿易摩擦の先に勝者はいない」。国際通貨基金(IMF)のスリニバーサンアジア太平洋局長は1日、時事通信のインタビューでこう強調した。

 選挙戦で展開された民主党のハリス副大統領とトランプ氏の主張は、自国の産業や雇用を保護し、中国との対立を増幅させるものだった。

 巨額の補助金によるEVなどの過剰な生産、重要資源の輸出規制で貿易の「武器化」を強める中国。先進7カ国(G7)の首脳はこうした振る舞いは世界経済に「有害だ」と非難するが、その一員の米国や欧州連合(EU)も中国に対する関税措置で応酬。国際的なルールの下で「自由」であるはずの貿易は各所で目詰まりを起こしている。

 通商政策の監視機関グローバル・トレード・アラートによると、各国政府が通商政策に介入した「阻害措置」は2024年、既に2800件を超え、09年の10倍以上に膨らんだ。

 トランプ氏は一律10~20%、中国に対しては60%の関税をかけると主張。さらに日本の自動車メーカーが多く進出するメキシコからの輸入車に対し、100~200%の関税を課すとも表明し、影響は免れない。「貿易戦争」がもたらす生産減少は、世界の経済成長を後退させ続ける。

 経済安全保障を理由に自国産業を守る自国優先主義は、日本の企業活動への脅威としても現れた。日本製鉄によるUSスチール買収計画では、阻止を掲げるトランプ氏だけでなく、民主党のバイデン大統領やハリス氏も反対を表明。選挙後に決着が持ち越された買収計画がトランプ氏の判断に左右される可能性もある。こうした状況に日鉄以外でも「同様の事態が起こり得る」(金融筋)と、日本企業による今後のM&A(合併・買収)への懸念の声も出ており、保護主義の暴走へ警戒感は高まっている。 

■英訳 

The U.S. presidential election, which highlighted a victory for former President Trump of the Republican Party, has underscored a growing inward-looking, “America First” sentiment within the United States.

Trump has adopted a hardline stance, using high tariffs as a weapon against China, which has intensified its economic pressure through the export of electric vehicles (EVs), semiconductors, and critical minerals. This approach could also extend toward allies like Japan, potentially exerting downward pressure on the global economy and creating uncertainty for U.S.-focused strategies among Japanese companies.

“There are no winners in geopolitical divisions and trade friction,” Srinivasan, Director of the Asia-Pacific Department at the International Monetary Fund (IMF), emphasized in an interview with Jiji Press on the 1st.

The campaign positions of Democratic Vice President Harris and Trump focused on protecting domestic industries and jobs while heightening tensions with China.

China’s increased “weaponization” of trade includes excessive production spurred by massive subsidies, restrictions on critical resource exports, and other measures. Leaders of the G7 nations have condemned such actions as “harmful” to the global economy, yet both the U.S. and the European Union, also G7 members, have retaliated with tariffs against China. Trade, supposedly “free” under international rules, faces blockages across various points.

According to Global Trade Alert, a trade policy monitoring agency, there were over 2,800 trade intervention measures taken by governments worldwide in 2024, more than ten times the number in 2009.

Trump has proposed imposing uniform tariffs of 10-20% on imports, with a 60% tariff on imports from China. He has also indicated he would apply a 100-200% tariff on cars imported from Mexico, where many Japanese automakers have established operations, meaning significant impact is inevitable. The production downturns triggered by this “trade war” would continue to slow global economic growth.

“America First” policies, justified by economic security, pose a threat to the business activities of Japanese companies. In the planned acquisition of U.S. Steel by Nippon Steel, opposition has not only come from Trump but also from Democratic leaders, including President Biden and Vice President Harris. The acquisition’s resolution has been postponed until after the election, potentially leaving it in Trump’s hands. This situation has raised concerns about future mergers and acquisitions (M&A) by Japanese companies, with one financial source warning that “similar cases could arise.” There is a growing wariness toward a potential escalation of protectionism.

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☘️ヤフコメ❗️ピックアップ☘️

✅ 国の指導者が「自国優先」を唱えるのは、ある意味当然とはいえ、トランプ氏の「同盟国」や友好国にも課す「高率関税」政策は自国=アメリカ国民を「優先」するかが興味深い。
 輸入品への関税分だけ米国内の販売価格は上昇します。その範囲内で米国内産業が復活できたにしても米国の物価が上がるには違いなくインフレを促進する材料です。
 高関税は日本を含む外国からの輸入を減らします。気がかりなのは米国内通貨のドルが同時に基軸通貨でもある点。金兌換を停止して以降のドルは不換紙幣で、にもかかわらず基軸通貨たり得たのは米経済への信認を前提とした国際協調体制があったればこそ。結果として「ドル本位制」とも呼べる態勢が半世紀以上続き、それこそがアメリカ最大級の国益ともなってきました。前政権から察するにトランプ氏は現実的に対応すると予測されるも仮に文字通りの「自国優先」を押し通したら却って「自国毀損」になりかねません。
✅ 国際関係論の理論に基づく解説を、非常に簡単に説明すると、国際システムは、①覇権国の利益、②多数国の協調、③規範(そうあるべきだとする常識)の三つに支えられる。法律や国際組織は、この三つの制度化の手段ということになる。

その上で、米国は自由貿易体制が、国際システムの安定においても、また国際社会や経済の発展にとっても、また米国の国益にとっても良いと判断したので、選択したのである。ただし、このシステムの維持は、覇権国が国際公共財を提供するか、多数国の合意があり負担分担をすることで成り立つ。

トランプ政権を支えているのは、米国が単独で国際公共財を提供することが不公平であるという勢力と、自由貿易体制が米国の利益になっていない、という勢力の連合体のように見える。あるいは、自由貿易体制を維持することには合意するが、半導体などの戦略製品では例外措置を設けるべき、との勢力も存在しているように見える。
✅ 特に政治が混迷する中、日本は、「MAGA」という米国第一主義を掲げ、短期的で短絡的な対応や政策をとることが予想されるトランプ新政権への対応が難しい。他方で、日本は本当に「独立国」かと疑うような面も多々ある。その意味では、トランプ大統領およびその政権(その時の。以下、同様)が今後求めてくるであろう「ディール」をうまく活用することで、日本はより対米自立対応の方向に変えていけるかもしれないとも考えられる。しかし今のそのような方向に日本を向かわせられるリーダーが果たしているのだろうか。石破総理は個性が強い分、同様に個性の強烈なトランプと意外に相性が合い、実はそのような役回りを果たせるかもしれない。トランプは基本ビジネスにしか関心がなく、石破総理が基本安全保障にしか関心ないがないということも、二人の相性がぶつかり合わず、意外と合うことになるかもしれない。今後、乞ご期待といえるだろう。

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